第4試合は熊多曜子に勝利した蒼野楓が連戦をリクエストして6番の岡多智子との試合に決まった
リングに残る楓は曜子戦のダメージが大きいが、すぐに智子が姿を現した。
智子もKー1ベルトを巻いた事がある実力者で、しかもサイズは楓はより大きい。
『赤コーナー 174cm 85-60-88 岡田智子~』
智子は黒のパンツに赤のグローブで登場してきた。
智子としては楓は曜子戦のダメージが大きい為、自分との試合は回避すると読んでいたが、予想外の指名に少し戸惑っている。
『青コーナー 169cm 82-58-86 蒼野楓~』
楓は青のパンツに青のグローブで智子を待ち構えている。
疲労はあるものの31歳と肉体的にピークを迎えており、フィジカルには自信を持っている。
『カーン』
ゴングが鳴ると両者グローブを軽く合わせてから試合が始まった。
ガードを固くしながら互いの様子を伺う楓と智子。
楓は疲労からか積極的に動く事は控えているのに対して、智子も楓の持つ一撃の破壊力を警戒して慎重に試合に入っている。
互いに時折ジャブを打っていくが、膠着したまま時間が過ぎていく。
遂にしびれを切らした智子が思い切ってハイキックを打ってきた。
しかし、楓は避けるとカウンターのパンチを智子の顔に打っていった。
バキッ、
楓のパンチを受けた智子は表情を歪めている。
一方、楓は張り巡らした網に智子がかかったと不敵な笑みを浮かべている。
楓は一転して前に出るとハイキックを智子の側頭部に打っていった。
智子はガードして防ぐが、ガードの上からでも威力のある楓のハイキックにふらついている。
楓としては一気に仕留めたかったのだが、守られたので、再び智子の顔にパンチを打っていった。
しかし、智子は避けるとパンチを打ち返してきた。
バシィ、
顔を殴られた楓は後退している。
その間に体勢を立て直した智子はミドルキックを楓のボディに飛ばしていった。
バシィ、
楓:ううぅ、
ボディを蹴られて動きが止まる楓。
『カーン』
智子は更に攻めようとするが、ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
静かな立ち上がりからいきなりオープンな打ち合いになったところでのゴングに観客からもため息が漏れている。
『カーン』
あっという間にインターバルが終わると2ラウンドが始まった。
智子は1ラウンドではゴングに攻撃を阻まれたたものの固さが取れたのか前に出てきた。
智子がパンチを打っていくと楓はガードして防ぐが、威力のあるパンチに押し込まれている。
楓は前蹴りで距離を取ろうとするが、智子は先に距離を詰めるとボディにパンチを打っていった。
ドス、
楓:あううぅ、
ボディを殴られて息が詰まって動きが止まる楓。
智子は更にミドルキックで楓のわき腹を狙っていった。
バシィ、
楓:ああぁぁ~~ん、
楓が弱々しい悲鳴を上げると踞りかけている。
智子は狙いを定めるとアッパーカットで楓の顎を撃ち抜いた。
バキッ、
鈍い音が鳴ると楓はマウスピースを吐き出して崩れ落ちている。
会心の一撃にガッツポーズをしてアピールする智子。
しかし、優勝への執念を見せる楓はマウスピースを咥え直すとよろよろとしながらも立ち上がってファイティングポーズを取った。
『ファイト』
試合が再開されると智子は一気に試合を決めようと前に出て楓に襲い掛かってきた。
サイズのある智子が迫ってくると楓は圧力を感じている。
智子は左右のパンチを打っていくとガードを固めている楓は後退させられている。
楓は智子が前に出てくる事を利用して膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュ、
智子:ううっ、
楓の膝蹴りを喰らって呻き声をあげる智子。
楓は更に智子の顔にパンチを打っていくが、智子がクリンチして逃れた。
長身美女が呼吸を荒くさせながら抱き合うと観客は興奮している。
『ファイト』
両者が離れて試合が再開されると獰猛な傷だらけの2頭の女豹は相手に殴りかかっていく。
真正面からパンチを打ち合う楓と智子。
楓のパンチが智子の顔にヒットすると智子のパンチも楓の顔面を捉えている。
バシィ、バシッ、
激しい殴り合いになるが、連戦となる楓はかなり苦しそうになってきており、智子の強烈なパンチを浴びて険しい表情になっている。
ボシュ、
楓:んん~
智子のパンチが楓のボディを抉ると楓は呻き声をあげて身を屈めている。
智子は今度は楓のガードが下がったからと顔にパンチを打っていった。
バシィ、
クリーンヒットを許した楓はふらついているが、ここで倒れてしまったら終わってしまうからと必死に耐えている。
智子が追いかけていくと楓はコーナーに追い込まれている。
重戦車の智子は楓に次々と重たいパンチを浴びせていく。
楓はガードしてカウンターを狙うが、智子のパンチの威力にガードも下がってきた。
バキィ、バキッ、バキッ、
智子がラッシュをかけていくと楓は顔をボコボコに殴られている。
『カーンカーンカーン』
楓がコーナーにもたれ掛かりながら崩れ落ちると同じラウンドで2度のダウンにより、ゴングが鳴った。
『勝者:岡多智子』
この大会で2度の優勝を誇る楓を破った智子はコールを受けると右手を上げて応えている。
敗れた楓が智子を見上げる中、智子はリングを回りながら観客にアピールしている。
楓:ハア、ハア、この試合は負けたけど、まだ1勝1敗よ。優勝は諦めないわ。
楓は悔しさを押し殺してそう言うとふらつきながらも自力で歩いてリングを去った。
一方の智子は次の試合を連続して行うかを決める事になった。
智子:この試合で結構疲れたから次に備えて休むわ。
智子としては次の7番の藤原紀華はKー1ベルトのタイトルマッチで敗れている事も考慮したのかここは一旦回避する判断をした。
これによって次の試合は7番の藤原紀華と1番に戻って香理奈が対戦する事となった。