第5試合は今大会ようやく初出場を迎える藤原紀華と3試合目の香理奈となる。
香理奈は優勝に王手をかけているものの対戦相手の紀華はフレッシュな状態でこの試合に臨む為、2試合休んだものの既に2試合を消化している香理奈としては体力的に厳しい試合となると予想されている。
『赤コーナー 171cm 88-60-89 藤原紀華~』
紀華は黒のパンツに赤のグローブで出てきた。
既に52歳を迎えた女帝の紀華は表でも好調で、地下リングでもタイトルを狙っている。
『青コーナー 165cm 80-58-88 香理奈~』
香理奈は青のパンツに青のグローブで登場してきた。
39歳の香理奈は30代最後の大会を優勝で締め括るのに紀華は相応しいと考えている。
香理奈:女帝の紀華さんと優勝を賭けて戦えるなんて光栄だわ。
紀華:もうとっくに私なんて抜いてるじゃない。女帝と呼ばれるのももういいわ。
紀華に敬意を表する香理奈と香理奈の戦績を称える紀華。
試合前のリング内では珍しく友好的なムードに包まれる中、ゴングが鳴った。
『カーン』
香理奈と紀華はグローブを合わせてから試合が始まった。
ファイティングポーズをとる紀華と香理奈。
地下リングの黄金カードの1つが始まると観客はそれだけで盛り上がっている。
最初の試合の紀華に対して、香理奈は3試合目とスタミナ面に不安があるものの女帝・紀華に称えられて気分を良くしたのか好戦的な姿勢を見せている。
紀華も同じく香理奈に敬意を表されて応じようと前に出てきた。
バキィ、バキィ、
早速、ハイキックを打ち合う紀華と香理奈。
紀華が52歳とは思えない美しいモーションで長い脚を振り上げると香理奈も筋肉美脚を全開にして応えている。
顔にヒットするが、アドレナリンが満タンの両者は構わず、パンチを打ち合っている。
バシッ、バシィ、
試合開始早々から激しい打ち合いになる香理奈と紀華。
互角の打撃戦となるが、香理奈がミドルキックを紀華のボディにヒットさせていった。
バシィ、
紀華:ううっ、
香理奈の鋭いミドルキックに声を漏らして動きが止まる紀華。
香理奈はチャンスと見て紀華の顔面にパンチを打っていくが、紀華はガードしてカウンターのパンチを打ち返した。
バキッ、
紀華が流石の切り返しを見せると香理奈は表情を歪めている。
紀華は続けて香理奈のボディに膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュ、
香理奈:あううぅ、
紀華の重たい膝蹴りでボディを抉られた香理奈は悶絶している。
早くも体に滴らせて息を荒くさせる香理奈。
紀華は攻め込もうとするが、香理奈は紀華の体に抱き着いてクリンチで難を逃れている。
紀華のパーフェクトボディと香理奈のスレンダーながらも筋肉質なボディが密着し合うと妖艶なムードになりながらも互いの息遣いで相手の疲労具合を推し量っている。
『ファイト』
両者が離れると試合が再開された。
紀華は香理奈のボディを狙ってミドルキックを打っていくが、香理奈は避けると空振りした紀華が少しバランスを崩すと香理奈が紀華の顔にパンチを打ち返していった。
バキッ、
香理奈のカウンターのパンチでふらつく紀華。
香理奈は更にミドルキックをボディに打っていった。
バシィ、
香理奈のミドルキックがヒットするが、紀華は耐えると香理奈の顔にパンチを打っていった。
バキッ、
打たれ強さを見せる紀華。
香理奈も表情を歪めているが、すぐに顔にパンチを打ち返していった。
バキィ、
香理奈もハートの強さを見せている。
女帝・紀華とナンバー1の香理奈の打撃戦に観客は歓声を上げている。
好戦的な2頭の女豹は体に疲労やダメージがあるものの前に出てきた。
紀華と香理奈は一瞬目が合ったように感じると互いにフルパワーでハイキックを打っていった。
バキィィィ、
両者の長い脚が空中でぶつかり合うと物凄い衝撃音が場内に鳴り響いている。
筋肉美脚の香理奈がパワーで押し勝って、紀華はバランスを崩すと右脚を痛めてふらついている。
香理奈が続けて攻めようとするが、紀華は堪えきれずしゃがみ込んでしまった。
レフリーはダウンを宣告して紀華の状態を確認しに行くと紀華はよろよろとしながらも何とか立ち上がるが、右脚が相当痛そうな様子を見せている。
紀華:この脚じゃ、無理ね。負けたわ。
紀華が試合続行が出来ない事を伝えるとレフリーが認めてゴングが鳴らされた。
『カーンカーンカーン』
『勝者:香理奈、よって第15回Kー1ビューティーマックス女王は香理奈。』
優勝が決まり、前人未到の3連覇を果たした香理奈は感激して喜んでいる。
香理奈は主催者から優勝トロフィーを受け取ると高々と掲げて見せた。
すると場内からは大歓声が沸き起こり、香理奈を祝福している。
しばらくすると敗れた紀華が右脚を引き摺りながらも偉業を称える為に歩み寄った。
握手をして言葉を交わす香理奈と紀華。
紀華:完敗よ、3連覇おめでとう香理奈。
香理奈:ありがとうございます。紀華さんに勝っての優勝は嬉しいです。
紀華:こんな力負けをしてもう女帝と言われるのも恥ずかしいわ。香理奈、年齢的にも丁度良くなってきたと思うからこれからはあなたが女帝を名乗りなさい。
紀華はそう言うと“女帝”の称号の伝達式としてか香理奈の口唇にキスをした。
紀華:年をとると体も色々大変だから気を付けて頑張りなさいよ。試合中にクリンチした時に気づいたけど、体が相当消耗しているわ。それも無理ないわね、最近はシャーロットブレアーや男との試合ばかりで体に過度に負担がかかっているのかも。これからは女帝としてゆったりと振舞いなさい。
女帝となった香理奈はトロフィーを持ったままじっと紀華の話を聞いている。
紀華:それじゃあ、これから私は気楽にやらしてもらうわ。
紀華は最後に言い残すと右脚を引き摺りながらもリングを去った。
リングに残された香理奈は新たな女帝として観客から3連覇を祝う歓声を心地良く浴びている。
主催者から女帝・香理奈にマイクが渡された。
香理奈:ご声援ありがとうございました。Kー1ビューティーマックスの3連覇を達成出来て最高の気分よ。年齢は重ねているけど、これからは女帝としてより一層強い香理奈を見せれるようにするので、応援宜しくお願い致します。
香理奈が言い終えて、一礼すると場内からこの日1番の大歓声が送られると第15回Kー1ビューティーマックスは幕を下ろした。