伊藤美咲が持つ総合格闘技ベルトに挑戦するのは表の世界で確固たる地位を築いている長沢まさみ。
ほとんど隠居状態の美咲はこの地下リングで活躍する為に体を鍛えており、年齢差はあるものの防衛する自信は大いにありそうだ。
『赤コーナー 171cm 伊藤美咲~』
美咲は白のビキニにオープンフィンガーグローブを装着して登場してきた。
46歳にして未だに衰えない美貌を誇っており、場内の視線を釘付けにしている。
『青コーナー 168cm 長沢まさみ~』
まさみは黒のビキニにオープンフィンガーグローブを着けて出てきた。
クイーンカップでは無敗で2位に入っており、ここで初タイトルを獲得しようと気合いが入っている。
『カーン』
ゴングが鳴るとファイティングポーズをとりながら互いの間合いを測る美咲とまさみ。
美咲の方が積極的にジャブやローキックを繰り出しているのに対してまさみはガードしながら様子を伺っている。
美咲がローキックを打っていくと読んでいたまさみはステップバックして避けるとタックルで組みついていった。
踏ん張ろうとする美咲だが、太ももをガッチリと掴まれてはどうしようもなく、仰向けに倒されてしまった。
まさみは素早くマウントポジションを奪うと美咲の顔にパンチを浴びせていく。
バキッ、バシィ、
美咲は顔を殴られて苦しい表情になるが、ガードを固めて懸命に守っている。
まさみは一気に勝負を決めようとパンチを振り落としていくが、美咲は下からまさみの両腕を掴まえると攻撃を防いでいる。
まさみは振り払って攻撃を継続しようとするが、美咲も必死に食らいついてまさみの腕を掴んでいると膠着していく。
レフリーは動きが無いからと試合を止めるとスタンディングでの再開を指示した。
両者は立ち上がるとまさみが判定に不満そうな表情をしているのに対して、救われた美咲は鼻血を流しながらも安堵した様子をしている。
『ファイト』
試合が再開されるとまさみは美咲の顔にパンチを打っていくと美咲も殴り返していく。
グランドの攻防から一転してスタンディングでの殴り合いに会場は盛り上がっている。
バキッ、バキィ、バシィ、バシッ、
激しく顔を殴り合う美咲とまさみは互いに頬を紅潮させて瞼を腫らしているいるが、美咲の鼻血の流血は酷くなっている。
バキッ、
まさみ:あぁん、
劣勢かと思われた美咲のパンチがまさみの顎にヒットするとまさみは喘ぎ声をあげてふらついている。
美咲は前に出ると長い脚を折り畳んで膝蹴りでまさみのボディを突き上げていった。
ドス、
まさみ:ううぅぅ、
美咲の膝蹴りでボディを抉られたまさみは目を見開いて声を漏らしている。
まさみが倒れ込むと美咲は馬乗りになってハンマーパンチを振り落としていく。
バキ、バキッ、
美咲:さっきはよくも私の顔をやってくれたわね。ボコボコにやり返してやるわ。
美咲はやり返そうとパンチにより力が入っていくとまさみも鼻血を吹き出している。
顔を殴られて苦しくなるまさみだが、下から美咲の右腕を掴むと体勢を入れ替えて右腕を極めていった。
美咲の一瞬の隙を突いて逆転の一手を打ったまさみは美咲の右腕を伸ばしていく。
腕ひしぎを極められて苦悶の表情を浮かべる美咲だが、何とか左手でロックして防いでいる。
試合が止まってるからとレフリーは再びスタンディングでの試合再開を指示するとまさみの不満が爆発した。
まさみ:なんで私が攻めてる時だけ止めるのよ。
激怒するまさみをレフリーはなだめるが、まさみの怒りは収まらない。
美咲は既に立ち上がっていてファイティングポーズをとっている。
『ファイト』
試合が再開されると美咲が距離を詰めてまさみの顔にパンチを打ってきた。
バキッ、
立ち遅れたまさみは顔を殴られるもパンチを打ち返していくが、美咲はガードして守るとミドルキックを打ってきた。
バシィ、
まさみ:ううぅぅ、
美咲のミドルキックがボディに突き刺さるとまさみは悶絶している。
美咲は更にまさみのボディに膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュュ、
まさみ:おええぇぇ~~、
まさみはマウスピースを吐き出すと座り込むようにして倒れてしまった。
美咲はうつ伏せに倒れるまさみの上に覆い被さるとわき腹に膝を打ち込んでいく。
ドス、ボシュ、
筋肉が無いところを蹴られてまさみは口をパクパクさせて苦しんでいる。
まさみは抜け出そうとするが、背後から美咲に乗られてコントロールされてはどうする事も出来ず、度々襲ってくる美咲の膝蹴りに怯える時間を過ごしている。
ボシュ、
まさみ:あぁ~、もうやめて~、
あまりの激痛に涙を流すまさみ。
美咲はまさみを弱らせると首に腕を巻きつけてスリーパーをかけていった。
わき腹に膝蹴りを受けて既にグロッキーな状態のまさみは更にスリーパーで締め上げられては耐えきれず、美咲の腕をタップするしかなかった。
『カーンカーンカーン』
レフリーがまさみのギブアップを認めるとゴングが鳴らされた。
『勝者:伊藤美咲』
勝利して初防衛を果たした美咲はガッツポーズをして喜んでいる。
ピンチはあったものの乗り越えての勝利に安堵している。
一方、敗れたまさみは勝機があっただけにリングに拳を叩きつけて悔しそうにしている。
美咲は倒れているまさみに上から見下して視線を送ると主催者から受け取ったベルトを腰に巻いて先にリングを去っていった。
まさみもしばらくしてから立ち上がるとふらつきながらも自分の足で引き揚げた。