吉岡美保の持つ総合格闘技ベルトの防衛戦が行われる。
対戦相手は地下リングの大物から推薦があった白岩麻衣だ。
表での実績はあるものの地下リングでの実績は乏しいが、美保が42歳、麻衣が30歳と年齢的には分がある。
『赤コーナー 169cm 85-59-87 吉岡美保~』
美保は黒のビキニにオープンフィンガーグローブを装着して登場してきた。
初防衛を目指す美保はベルトを肩にかけてリングに入るとベテランらしく堂々とした振る舞いを見せている。
『青コーナー 162cm 81-59-84 白岩麻衣~』
麻衣は白のビキニにオープンフィンガーグローブを着けて出てきた。
ベーシックな白ビキニは透き通った美肌によく映えている。
対角線のコーナーから睨み合う美保と麻衣。
『カーン』
試合が始まると軽くジャブを放ちながら間合いを測る麻衣と美保。
互いに良い距離になるとパンチを打ち合っていく。
バシ、バシ、
切れ味鋭いパンチを繰り出す麻衣だが、打撃ではより重いパンチを持つ美保が優位なようで、美保が麻衣をやや押している。
バキッ、
打ち合っていた麻衣だが、美保のパンチが頬にヒットするとマウスピースを吐き出して血飛沫を吹き出している。
麻衣の体がふらつくと美保はチャンスと見てラッシュをかけていく。
麻衣はガードを固めて守ろうとするが、美保のパンチの威力に押し込まれてロープを背にしている。
追い込まれた麻衣だが、カウンターの膝蹴りを美保のボディに打ち返していった。
ドス、
美保:あうぅ、
麻衣の鋭いカウンターの膝蹴りが決まると美保は踞りかけている。
麻衣はその隙にタックルで美保を倒すとマウントポジションを奪った。
既に美保のパンチで顔を腫らしている麻衣はやり返そうと美保の顔にハンマーパンチを振り落としていく。
バキッ、バキ、
美保はガードを固めて守っているが、馬乗りになられてパンチを打たれると防ぎきれず、鼻血を吹き出している。
美保が逃れようと下からバランスを崩しにかかると麻衣は逆手に取って美保の右手を掴むと腕ひしぎに移行していった。
美保:クッ、ここで腕ひしぎか。
美保が思わず呟くが、麻衣はガッチリと美保の右腕を極めている。
美保は技を解こうと抵抗するが、麻衣も粘っている。互いに汗をびっしょりとかいており、消耗戦になってきた。
麻衣は美保が腕ひしぎを外しそうになると技を自ら解くと機動力を活かして背後に回り込んでスリーパーをかけて更に体力を削って追い込んでいく。
百戦錬磨の美保といえども麻衣の連続攻撃に苦戦を強いられている。
それでも美保は麻衣の側頭部に激しくエルボーを打ち込むと何とか難を逃れた。
美保:ハア、ハア、ハア、
麻衣が頭を抑えて間が出来ると美保は右肩を抑えて呼吸を荒くさせている。
再び立ち上がった両者は序盤と同様にパンチを打ち合っていく。
バシィ、バシッ、
先程は持ち前のパンチ力で麻衣を押し込んでいた美保だが、腕ひしぎのダメージの影響か豪腕が鳴りを潜め、逆に麻衣のパンチを顔に喰らって押し込まれている。
ロープ際に追い込まれた美保はこのままではと麻衣に強引に組み付いた。
取っ組み合いになる麻衣と美保。
麻衣も踏ん張るが体格に勝る美保が押し倒していった。
美保はマウントポジションを奪うと体重をかけながら麻衣の顔にハンマーパンチを振り落としていく。
バキ、ガァン、
鈍い音が鳴ると麻衣も鼻血を吹き出した。
上から顔を殴られて苦しい展開になる麻衣だが、下から美保の右手を捕まえた。
美保は懸命に振り払おうとするが、麻衣はしぶとく美保の右手を掴むと体勢を入れ替えて再び腕ひしぎをかけていった。
美保:ああぁぁ~~、
既にダメージを負っている美保は激痛に絶叫している。
優位なポジションだったはずの美保だが、下から麻衣に右腕を極められて悶絶している。
麻衣は懸命に美保の右腕を伸ばしていくが、美保は上から強引に右腕を引き抜くと左腕でパンチを麻衣の顔面に浴びせていく。
バシィ、
麻衣は上からのパンチを喰らって苦悶の表情を浮かべるが、下から美保の左手を掴んで引っ張るとバランスを崩した美保はうつ伏せに倒れた。
美保が「しまった」という表情を浮かべると麻衣は美保の背後を取るとスリーパーをかけていく。
散々体力を削られてからのスリーパーに体に汗を滲ませて険しい顔つきになる美保。
麻衣は勝負を決めようと腕に力を込めていくと美保は体をブルンと震わせている。
麻衣は美保の上体を起こして観客に美保の顔が見えるようにすると口をパクパクとさせながら藻操き苦しむ美保の顔が観客に晒されている。
麻衣はこのまま絞め落とそうとするが、美保が首と麻衣の腕の間に指を滑り込ませて防ぐと麻衣はスリーパーを諦めざるを得なくなった。
麻衣:チッ、タフな女ね。
麻衣は技を解くとうつ伏せにバタリと倒れた美保の首に美脚を巻きつけてレッグスリーパーをかけていった。
再び美保を絞め落とそうと襲いかかる麻衣。
美保は苦しい戦いが続くが、技をかけられたまま体を反転させると麻衣の首に脚を巻きつけてレッグスリーパーをかけ返していった。
美保の太ももに絞め上げられる麻衣。
予想外にもレッグスリーパーの掛け合いとなり、壮絶な消耗戦へと試合は展開していく。
互いに相手のレッグスリーパーを外そうと太ももにすがりつくが、中々外す事が出来ない。
次第に技を外すよりも自らが落ちるよりも早く相手を落とす事に主眼を置くようになってきた。
苦悶の表情を浮かべながら太ももに渾身の力を込める麻衣と美保。
レフリーも頻繁に両者の状態を確認している。
『カーンカーンカーン』
ここでレフリーが危険だと判断してゴングを要請すると同時に黒服にリングに入るように指示した。
ゴングが鳴っても技を解かない美保と麻衣の体を黒服が引き離すと両者は口から泡を吹き出して失神してしまっていた。
『両者ノックアウトのため、引き分けとします。ベルトにつきましては規定により吉岡美保の防衛と致します。』
場内アナウンスが流れると失神するまで追い込まれながらも相手を絞め落とすという壮絶な試合を戦いきった麻衣と美保に観客から労いの拍手が送られた。