クイーンタッグベルト その9(香理奈&蒼野楓VS黒服A&黒服B)
- 2022/12/31
- 06:29
《会議室》
香理奈と蒼野楓が持つクイーンタッグベルト。
現在、地下リングの勝利数ランキングで1位の香理奈と2位の蒼野楓が組むタッグに対抗出来るタッグはおらず、主催者は対応を悩ませていた。
そこで、女王チームの香理奈と楓を招いて協議する事となった。
主催者:最強タッグに挑戦出来るタッグなど無いぞ、どうしたものか?
香理奈:それじゃあ男とやらせなさいよ。勝ったら殿堂入りでいいわ。その代わり、男とやるんだからファイトマネーは弾みなさい。
蒼野楓:屈強な男とのカードは私たちのタッグに相応しい相手だわ。
二頭の獰猛な女豹が望むとクイーンタッグベルトの殿堂入りを賭けた試合が組まれる事となった。
勝利した場合は香理奈&蒼野楓タッグのクイーンタッグベルトの殿堂入りとなるが、敗れた場合は第5代女王を決定戦により決める。
《試合会場》
舞台は戻って満員の試合会場。
先述の主催者とのやり取りにより決定した事項について場内アナウンスが流れると機運も高まってきた。
『赤コーナー 180cm90kg 黒服A~&175cm85kg 黒服B~』
屈強な肉体をした30歳前後の男が2人、黒のパンツを履いて出てきた。
仕事とはいえ美女2人と体を交わらせる事が出来るので、不敵な笑みを浮かべている。
『青コーナー 165cm 80-58-88 香理奈~&169cm 82-58-86 蒼野楓~』
香理奈と楓は青のビキニで登場してきた。
屈強な男が相手だが、共にメタリックブルーのネイルをした二頭の女豹は臆するどころか自分達の強さを証明出来ると戦う事の喜びさえ感じている。
両陣営は短い時間、話し合うと香理奈と黒服Aが先発を務めるようだ。
『カーン』
ゴングが鳴ると睨み合いながら間合いを詰める香理奈と黒服A。
香理奈がブルーのネイルをした指を絡ませ合うと力比べになった。
38歳の美女が30歳の屈強な男と互角に張り合っている。
真正面からの力勝負に観客は驚いている。
しかも制したのは香理奈で自慢のパワーで黒服Aを押し込んでいった。
『ロープ』
黒服Aの背中をロープに押し付けてロープブレイクを勝ち取った香理奈は一旦距離をとるとロープを背にして逃げ場が無い黒服Aの顔にハイキックを集めていく。
バキッ、バシィ、バキィ、
香理奈のハイキックのラッシュに流石の黒服Aも崩れ落ちた。
香理奈:コイツ、もう戦えないわよ。次、入りなさい。
圧倒的な打撃力を見せつけた香理奈は敢えて交代を促すと黒服Bが入ってきた。
打撃で勝負しようとファイティングポーズをとる香理奈。
黒服Aより体格が劣る黒服Bだが、先程の戦いぶりを見て学習したようで、タイミングを図るとタックルを浴びせていった。
キックで迎撃しようとする香理奈だが、一歩間に合わず、黒服Bの鋭い出足のタックルに仰向けに倒されてしまった。
背中からリングに叩きつけられた香理奈はすぐに起き上がろうとするが、黒服Bは上から押し潰すと馬乗りになって香理奈の顔面に張り手を打ち込んでいく。
バシ、バシィ、
流石の香理奈といえども男に上に乗られては反撃するのは難しく、顔を腫らしている。
黒服Bは香理奈を弱らせると更に上から覆い被さるとスリーパーをかけていった。
黒服Bの脇の下で、体力を削られる香理奈。
黒服B:フッ、フッ、フッ、俺達の狙いはお前だ香理奈。先発で出てきてくれて助かった。このリングで一番年を食ってる香理奈を狙うのが、スタミナ的にもベストな選択肢だからな。おまけに美人ときたら狙うしか無いだろう。ゆっくり楽しもうぜ。
黒服Bが作戦を明かしている間に香理奈は何とかロープに辿り着いた。
『ロープ』
ロープブレイクとなり、スリーパーが解かれた。
香理奈:ハア、ハア、私も舐められたもんだわ。むしろ男との戦いに慣れた私を狙ってくれて好都合よ。男の扱いは私の方が慣れているわ。
香理奈はそう言うと下から黒服Bの股間を蹴り上げた。
黒服Bが踞るとその間に香理奈は楓とタッチした。
楓はリングに入るとすぐさま右脚を振り上げると踵落としを黒服Bの頭に振り落とした。
ガァン、
衝撃音が鳴り響くと膝から崩れ落ちる黒服。
楓も香理奈と同じく打撃で勝負するようだ。
楓は続けて黒服Bにサッカーボールキックを浴びせていった。
バキィ、
楓の強烈な一撃を喰らった黒服Bはグッタリとしている。
楓:コイツ、もう伸びちゃってるわよ。
楓は黒服Bを指差してアピールする余裕を見せている。
しかし、黒服Bは目を覚ますと下から楓の右脚を掴んで強く引っ張った。
黒服Bは楓をグランドに引き摺り込んだ。
グランドの攻防になると黒服Bは掴んだ楓の右脚を伸ばしてそのまま極めていった。
楓:アアアァァ~~、
黒服B:男と女じゃ、体の出来が違うんだよ。少し有利になっただけで調子に乗りやがって。
悲鳴を上げる楓に対して、黒服Bは不敵な笑みを浮かべている。
楓は何とかロープに辿り着いて一旦は難を逃れたが、右脚を抱えて痛がっている。
ここで黒服Bは黒服Aとタッチした。
先発では不発に終わったが、本来は体格で上回りよりパワーがある黒服Aは楓を強引にリング中央に運ぶと楓の右脚を掴んで、太ももにサッカーボールキックを浴びせていく。
パァン、パァン、
楓:アアアアァァ~~、
破裂音が鳴り響くと楓は悶絶している。
黒服Aのキックを喰らった楓の右脚の太ももは腫れ上がって青紫色に変色している。
黒服A:お前の右脚は邪魔だからここで潰しておこう。
黒服Aはそう言うと楓の右脚を極めると更に上から体重をかけていく。
楓:ギャアアアァァァ~~~、
痛めつけられている右脚に圧力をかけられると楓は絶叫している。
コーナーで待機する香理奈もカットに入るタイミングを伺うが、対角線のコーナーから黒服Bが飛び出る準備をしており、迂闊には出れない。
バキバキバキ、
楓:アアアアァァァ~~、
何かが潰れるような音がすると楓は悲鳴を上げているが、それでも楓はタップせずに堪えている。
黒服A:チッ、ここまで痛めつけても耐えるとは強情な女だ。まあいいだろう、俺はさっきコケにされた香理奈に用がある。
黒服Aはそう言うと技を解いて楓を香理奈の前に投げた。
楓:あんな奴、スタンディングなら蹴り倒してやるのに。
香理奈:私が時間を稼ぐから回復させなさい。楓の右脚はこの試合に必ず出番があるわ。
悔しさを滲ませる楓に香理奈は言葉をかけてからタッチを交わした。
黒服A:さっきの借りは返すぞ。俺達の元々のターゲットはお前だ、香理奈。楓は潰しておいたからじっくりとやらせてもらう。
香理奈:普段はライバルとはいえ、私の可愛い後輩をよくもやってくれたわね。私は楓みたいに優しくは無いわよ。男の扱い方は私の方が慣れているわ、覚悟しなさい。
香理奈はリングに入ると得意のキックで仕掛けていく。
黒服Aも対応しようとするが、香理奈が自慢の筋肉美脚を乱舞させると押し込まれていく。
バシィ、バキッ、バシィ、
香理奈は黒服Aの動きが鈍くなってくるとトップコーナーに飛び乗るとジャンピングキックを放った。
パァン、
香理奈の脚が黒服Aの分厚い胸板にヒットして破裂音が鳴り響くと観客からは歓声が上がっている。
香理奈は大の字に倒れる黒服Aにフォールに入った。
『ワン、ツー、』
ぐったりと倒れている黒服Aだが、黒服Bがカットに入ってカウントが止まった。
楓は未だに右脚を傷んでいて、リングに入れない。
香理奈は黒服Bを睨みつけながら起き上がった。
香理奈:元々、2人共倒すつもりよ。
香理奈は吠えると黒服Bにキックを浴びせて襲いかかった。
同じようにキックで押し込んでいく香理奈だが、背後から黒服Aがヨロヨロと立ち上がると両手を握り締めて香理奈の背中を強打した。
ガァン、
香理奈:あうっ、
不意を突かれて踞る香理奈。
すると黒服Aは背後から香理奈を羽交い締めにすると黒服Bは香理奈のボディにパンチを打ち込んでいった。
ボシュュ~、
香理奈:ぐええぇぇ~、
香理奈は無防備な状態でボディを殴られて呻き声を上げて膝から崩れ落ちた。
黒服Bは香理奈の髪の毛を掴んで起き上がらせると黒服Aと2人がかりでブレーンバスターを放った。
バターーン、
2人がかりで威力倍増のブレーンバスターに香理奈はぐったりと倒れている。
試合の権利がある黒服Aはフォールに入った。
しかし、レフリーは2人がかりでの攻撃を認めておらず、カウントが入らない。
黒服B:何でなんだよ。
黒服Bが激怒してレフリーを突き飛ばした。
レフリーへ場外に落ちて倒れるとリング内はレフリー不在の無法地帯となった。
黒服Aは香理奈の髪の毛を掴んで起こすと背後からスタンディングでスリーパーをかけていく。
香理奈は必死に黒服の太い腕にすがりつくが、容易には外せない。
すると黒服Bが香理奈のボディにパンチを打ち込んでいく。
ドス、
香理奈:おええぇぇ~、
無防備な状態でボディを殴られて悶絶する香理奈。
黒服B:まだ頑張るのか、流石は地下リングNo.1の実績。どこまで耐えれるか観客の皆さんにも楽しんで頂こう。
黒服Bはそう言うと香理奈のボディにパンチを連打していく。
ドス、ボシュ、ボシュュ~、
レフリー不在をいい事に2人がかりで攻撃する黒服2人。
香理奈は屈強な男のコンビ技にグロッキーな状態に追い込まれている。
楓はまだエプロンサイドにも戻れていない。
香理奈はこのままではと隙を見て黒服Bの股間を蹴り上げた。
バシィ、
黒服B:おうっ、
股間を抑えて踞る黒服B。
香理奈は続けて右脚を後ろに振り上げると黒服Aの股間も突き上げた。
バシィ、
黒服A:あうっ、
黒服Aも踞っている。
息を切らす香理奈だが、すぐに体勢を立て直した。
香理奈:ハアハアハア、今なら反則なんか関係無いから"アルティメットバトル"ルールで戦えるわ。アルティメットバトルの私の強さを教えてあげるわよ。
香理奈は自らロープに走って助走をつけると並んでいる黒服2人にジャンプして開脚してダブルのジャンピングキックをヒットさせた。
バシィ、バシィ、
仰向けに倒れる黒服2人。香理奈は左右の脚をそれぞれ黒服2人の首に巻きつけると左脚を左手で、右脚を右手で補助するとダブルのレッグスリーパーをかけていった。
香理奈は表で見せる美脚ではなく、逞しい筋肉が露にさせて締め上げていく。
レフリー不在なのでレッグスリーパーがチョークで入っても反則とはならない"アルティメットバトル"の状況を利用している。
観客は屈強な男2人を制圧した香理奈のファイトに歓声を上げている。
香理奈:これがNo.1の香理奈よ。このまま2人とも沈めてやるわ。
香理奈は汗をびしょびしょにかきながらも渾身の力を込めてレッグスリーパーで締め上げていく。
黒服2人も当然黙っている筈はなく、太い腕で香理奈の筋肉美脚を外しにかかる。
長い攻防の末、ようやく香理奈の筋肉美脚が黒服2人の首から外れた。
黒服2人:ゼエ、ゼエ、ゼエ、
黒服2人はレッグスリーパーは解けたものの香理奈に締め上げられて激しく体力を消耗させている。
香理奈も男2人を相手にし続けて体力がかなり消耗している。
それでも香理奈と黒服2人はヨロヨロと立ち上がった。
香理奈は向かい合うと、残る力を振り絞って打撃戦に挑んだ。
バシィ、バキッ、バシッ、バキィ、
激しい肉弾バトルを演じる香理奈。
黒服2人は少し余裕を持ちながら戦っている。
香理奈としては掴まれてグランドに持ち込まれるよりは打撃勝負の方が分があると考えて肉弾バトルを仕掛けたが、流石の香理奈といえども無理があった。
黒服A:このリングで1番年上のくせに頑張るな。
黒服B:極上の女が喘ぐ姿は最高だな。
香理奈:ハア、ハア、ハア、(流石に私も男2人はきついけど、まだ戦えるわ。)
リング上で徐々に追い込まれる香理奈だが、自陣で立ち上がった楓と目が合った。
楓は香理奈に合図を送ると物凄い勢いでリングに入り、右脚を2度振ると黒服2人を文字通り"一蹴"した。
楓:遅くなったわ、ここは私に任せて香理奈さんは少し休んで。
香理奈:レフリーがいないから私も戦うわ。
2人は目を合わせると楓が黒服Bの髪の毛を掴んで起き上がらせると香理奈と2人でダブルのブレーンバスターの体勢に入った。
女優でも屈指のパワーを誇る香理奈と楓は軽々とリフトアップすると美しい弧を描いて叩きつけた。
バターーン、
叩きつけられた黒服Bはぐったりと仰向けに倒れている。
楓:ここは任せたわよ。私はあいつをやるわ。
楓がそう言うと香理奈は再び黒服Bにレッグスリーパーをかけていった。
黒服B:おうぅぅ、
香理奈:さっきは2人を同時に絞めてたけど、1人だと威力が桁違いよ。
香理奈は更に体を反転させると上に跨がると黒服Aの顔に股間を押しつけて圧力をかけている。
一方の楓は黒服Aと対峙していた。
楓:さっきはよくも私の右脚をやってくれたわね。
黒服A:また来たか、この前と同じ目に合わせてやる。
黒服Aが襲い掛かってくるが、楓は正拳突きを鳩尾に打ち込んで動きを止めると頭に踵落としを打っていった。
ガァン、
鈍い衝撃音が鳴り響くと黒服Aは崩れ落ちた。
打撃戦で格の違いを見せた楓は香理奈と同じく黒服Aにレッグスリーパーをかけていった。
楓は先程は痛めつけられた右脚で黒服Aを締め上げてリベンジを図っている。
レフリー不在のリング上では二頭の獰猛な女豹が男をレッグスリーパーで締め上げている。
香理奈と楓が競い合うように渾身の力を込めて締め上げていく。
黒服Bが失神して泡を吹き出すと汗をびっしょりとかいた香理奈は技を解いて楓を待っている。
楓も応えて右脚の痛みを堪えながら懸命に締め上げると黒服Aを絞め落とした。
起き上がった楓は香理奈と勝利を確信してハイタッチを交わした。
試合の権利がある香理奈はレフリーが返ってくるのを待って、ポージングを決めながら黒服Aを踏みつけてフォールに入った。
『ワン、ツー、スリー!!!カーンカーンカーン』
スリーカウントが入ると場内は大歓声に包まれている。
『勝者:香理奈&蒼野楓』
勝利した香理奈と楓は熱い抱擁を交わして互いを讃え合っている。
『香理奈と蒼野楓が防衛しました第4代女王クイーンタッグベルトですが、特例で男タッグに勝利した為、ベルトの殿堂入りと致します。』
クイーンタッグベルトを殿堂入りとする場内アナウンスが流れると主催者から改めてベルトが授与された。
香理奈と楓は腰に巻くとポージングを決めて撮影に応じている。
撮影がひとしきり終わると楓はマイクを取った。
楓:香理奈さんとタッグを組んでる時間は最高でした。でも、私は香理奈さんに勝って地下リングのエースになります。
香理奈:受けて立つわよ。タッグは一度解散してまた楓と熱い試合がしたいわ。もちろん勝つのは私よ。
楓が想いをぶつけると香理奈がそれに応えた。
再び抱擁を交わす香理奈と楓。場内は今後への期待と男2人に勝利した事への祝福の拍手に包まれている。
《香理奈&楓の控室》
光輝くリングから控室へと戻った香理奈と楓はバタリと倒れ込んだ。
男2人とそれほど得意ではないプロレスルールで戦ったダメージは大きく、38歳の香理奈は男2人を相手にする時間が長く体力を激しく消耗している。一方の楓も完全に極められた右脚は言う事は聞かず、悶絶している。
しかし、香理奈は酸素カプセルの中に入り、体力を回復させている間に楓も右脚の整体とマッサージを受けてテーピングを巻いただけで再び立ち上がった。
香理奈が酸素カプセルから出てくると楓が出迎えた。
香理奈:待たせたわね。
楓:私も今終わったところです。
香理奈:右脚の具合はどう?私はまずまずよ。一夜遊ぶくらいの体力は戻ったわ。
楓:まだ痛いですが、食べて飲んだら治りそうです。
香理奈:それじゃあ今日は最強タッグの解散だから盛大にやるわよ。
二頭のタフな女豹はまるで酒と肉で傷を癒そうと夜の街へ繰り出した。