いよいよ第10回Kー1ビューティーマックスは第6試合を迎える。
大手をかけている西軍は蒼野楓、一方、連敗を元ヤン・笹木希で止めた東軍は同様に元ヤンの岩左真悠子を起用してきた。
東軍には第5試合で豪快なKO劇を演じた笹木希がセコンドに入ると西軍も一旦控室に戻っていた保田美沙子が治療を終えてセコンドに向かうと一層場内が盛り上がってきた。
真悠子は小柄ながら芸能界・喧嘩最強を自称しているだけに戦いぶりに注目が集まるところだ。
『赤コーナー 155cm 83-58-86 岩左真悠子~』
真悠子は赤のパンツに赤のグローブを着けて登場してきた。
『青コーナー 169cm 82-58-86 蒼野楓~』
楓は青のパンツに青のグローブを着けて出てきた。
リング中央で向かい合う両者。
楓は体格差と空手を習っている経験から余裕を見せていると真悠子はそれが気に入らない様だ。
真悠子:デカいからって調子に乗るんじゃねえぞ!
楓:私は空手やってるからね、あなたはただの不良女でしょ。
真悠子:ヤンキー舐めんじゃないわよ、ヤンキー魂を見せてやるわ。
言い合いになると小馬鹿にする楓に対して、怒る真悠子。
両陣営のセコンドが煽って場内が盛り上がる中、試合開始のゴングが鳴った。
『カーン』
ゴングと同時に飛び出した真悠子は楓の顔面を殴っていく。
しかし、楓は読んでいた様で、ガードを固めて守って真悠子に攻めさせない。
手数は多くなっている真悠子だが、固い楓のガードの前に中々ヒット出来ない。
すると真悠子の動きを読み切った楓は逆に真悠子の顔面にパンチをクリーンヒットさせていった。
バキィ、
楓の強打が顔面にヒットして一発で目を虚ろにさせる真悠子。
楓:隙が多すぎるのよ。
楓はそう言うと長い脚を振ってハイキックを真悠子の側頭部に打っていった。
バキィ、
又しても楓の攻撃が真悠子にクリーンヒットすると堪らずダウンする真悠子。
頭を抱える真悠子だが、喧嘩を売った手前で易々とは負けられないと立ち上がってファイティングポーズをとった。
『ファイト』
試合が再開されるが、真悠子は早々にダウンを奪われて焦っている。
楓:大人しく寝てれば、良かったのに。
真悠子:うるさい、そんなに簡単に負けないわ!
楓の挑発にも反発する真悠子。まだ闘争心は失っていない様だ。
楓はハイキックを打っていくが、真悠子は2回も喰らわないと避けてカウンターのパンチを楓の顔面に打っていった。
バシ、
真悠子は更に楓の顔面にパンチをもう一発打っていくと流石の楓も頬を紅潮させている。
バシ、
真悠子は徐々に自信を取り戻してきたのか表情にも力強さが出てきた。
しかし、楓も盛り返そうと長い脚を伸ばしてミドルキックを打っていった。
バシィ、
真悠子:あうぅ、
楓に蹴られて一瞬動きが止まる真悠子。
真悠子の喧嘩仕込みのファイトスタイルは勢いはあるが、楓の空手をバックボーンにした洗練されたテクニックの前には穴が大きすぎる様で、簡単に打撃を喰らってしまっている。
楓は真悠子の動きが止まっている間に体勢を立て直した。
しかし、喧嘩スタイルの真悠子は前に出ると楓の顔面をパンチで狙っていくが、楓は不用意に距離を詰めてきた真悠子のボディーに膝蹴りを打ち込んだ。
バシィ、
再び動きを止められる真悠子。
楓は真悠子の動きを止めてから顔面にパンチを打っていくが、真悠子も必死に殴り返して殴り合いになった。
バシィ、バキィ、バシィ、バシィ、
激しく殴打し合う楓と真悠子。
やはり楓の方が威力も手数も勝っていて真悠子は顔を腫らしてコーナーに追い詰められていく。
バシィ、バシィ、バキィ、
それでも喧嘩スタイルの真悠子は殴り負けたく無いと必死になるが、楓の強打が確実に真悠子の顔面にヒットして苦しい展開に追い込まれていく。
楓が真悠子の顔面を殴っていくと真悠子はマウスピースを吐き出すと、徐々に反撃も無くなってきて楓に殴られるだけになっていく。
バキィ、バキィ、
楓に顔面をボコボコに殴られる真悠子は耐えられなくなって涙を流しながら崩れ落ちた。
『カーンカーンカーン』
ゴングが鳴ると西軍の優勝を決めた楓は派手なガッツポーズをして見せた。
『勝者:蒼野楓、よって第10回Kー1ビューティーマックス勝者は西軍!』
盛り上がる西軍の観客。
『西軍の勝利が決まりましたが、第7試合がまだ残されているためトロフィーの贈呈は第7試合終了後に行います。』
アナウンスが流れると楓は一先ず西軍のセコンドに下がると祝福するメンバーとハイタッチを交わして喜んでいる。
一方の真悠子はボコボコに殴られた顔にタオルを掛けられて担架でリングを後にした。
ヤンキー魂を見せたかった真悠子たが、自分より年下の女優にボコボコにされて屈辱に塗れている。