第五試合
ベスト4の4人が出揃った。
既に試合順から対戦ガードは田仲雅美VS青樹愛、蒼野楓VS香理奈に決まっている。
前回大会とは打って変わってKO決着連発のため、勝者はフレッシュな状態で準決勝に臨む事が出来る。
準決勝の1試合目はアスリート対決となった。
共に既に引退しているものの元オリンピック選手で、水泳選手という事も共通点だ。
但し、雅美が競泳の選手なのに対して愛はシンクロの選手と種目が異なっている。
雅美はシンクロの選手を馬鹿にしている事もあって愛は俄然闘志を燃やしている。
『赤コーナー 165cm 田仲雅美~』
筋肉隆々のボディーをした雅美は黒のパンツを履いて登場してきた。
『青コーナー 173cm 青樹愛~』
愛も雅美程ではないが、筋肉の鎧を纏っておりよりしなやかさを感じる。愛は青のパンツだ。
コーナーから対角線上にいる相手を睨み付ける両者。
雅美:シンクロなんて踊ってるだけでしょ。私に勝てる訳ないわ。
愛:黙りなさいオバサン。引退して何年経つのよ。
互いに譲らぬ両者。
観客は元トップアスリート同士の白熱した戦いが見れそうだと期待に胸を膨らませている。
『カーン』
緊張感に包まれた中で、ゴングが鳴った。
愛はジムで習っているキックボクシングのトレーニングを活かしてフットワークを利かせながら雅美の様子を伺うと、素早くローキックを打っていった。
バシ、
雅美の脚にヒットするが、動じる様子は無い。
動きながら雅美の様子を見る愛に対して、雅美は止まって静かにチャンスを伺っている。
バシ、
今度は愛のミドルキックが雅美のボディーにヒットしたが、雅美の筋肉ボディーは愛の強打にも耐えている。
雅美は明らかに愛の動きについていけていない。
愛もその事を認識し始めたようで、ミドルキックにパンチを連打していった。
バシ、バシィ、
次々と決まる愛の打撃。いくら筋肉ボディーの雅美といえども簡単に打ち込まれては苦しいところ。
バシィ、
雅美はパンチを愛のボディーに打ち返していくが、愛の体も鍛えられており簡単には崩れない。
愛はいつでも攻撃は当てれるからと身長差も考えて距離をとって慎重に試合を進める事にした。
雅美としても不必要な打撃は貰いたくないので、消極的になっていく。
『カーン』
ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
両者1ラウンドの戦いを終えて休養をとるというよりも次のラウンドに向けて作戦を練っている。
『カーン』
2ラウンドが始まった。
愛は判定勝負も見据えて手数を増やそうと積極的に前に出る作戦に切り替えた。
再び素早い動きで、雅美にパンチ、キックを打つ愛。
バシィ、バシィ、
雅美は先ずは愛の速い動きを止めようとローキックを打っていくが、愛のフットワークとミドルキックの前に防戦一方になる雅美。
バシィ、バシィ、
しかし、愛の打撃はクリーンヒットしているものの雅美の筋肉ボディーを崩すには至らず、愛は徐々に苛立ちを募らせている。
雅美の筋肉ボディーの穴を探る愛。
ボシュュ、
雅美:うぅぅ、
正解を見つけた愛は雅美のバストにパンチをのめり込ませていった。鍛えられない場所だけに流石の雅美も呻き声をあげている。
ボシュュ、
愛:あうぅ、
今度は雅美が愛のバストにパンチを打っていった。悲鳴を上げる愛。
両者、筋肉の鎧に包まれたボディーを狙うよりもバストを狙った方がダメージを与えれるからとバストの打ち合いになっていく。
バン、ボシュ、ボシュ、ボシュ、
破壊力抜群のパンチが両者のバストにヒットすると悶絶する雅美と愛。
1発KOの恐れがある顔をガードしてるので、バストのダメージは耐えるしかない。
ボシュ、バン、ボシュ、
屈強な美女が、耐え難い痛みを歯を食い縛って堪える光景ヒートアップする場内。
ボシュュ、
パワーに勝る雅美のパンチを受けた愛はバストを抑えてその場に踞った。
逆転のダウンを奪った雅美は派手なガッツポーズでアピールしている。
美形の顔を苦痛に歪める愛だが、何とか立ち上がってファイティングポーズをとったところで、2ラウンド終了のゴングが鳴った。
『カーン』
バストにダメージを負ったが、愛からダウンを奪った雅美は満足気に自陣コーナーに戻った。
両者共に椅子に座ると腫れ上がったバストに氷嚢を当てて貰って冷やしている。
筋肉美女2人も厳しい様で、表情を苦痛に歪めている。
『カーン』
最終3ラウンドが始まる。両者共にここに来てもスタミナ面は問題無いが、バストのダメージだけが問題になっている。
愛はパワー勝負では打ち負けるからと再びフットワークを活かして雅美の攻撃を避けながら攻撃していく。
一方の雅美はダウンを奪ってポイントでは逆転したからと落ち着いてカウンターから一発を狙う戦いにシフトした。
バシ、バシ、
素早く動きながらパンチを打つ愛だが、雅美がガードをしっかりと固めるので、クリーンヒットは許さない。
このままでは判定では厳しい愛はとにかく休まずに打撃を打ち続ける。
バシィ、
雅美:うげぇ~、
愛のミドルキックが雅美のボディーにヒットするとついに雅美の筋肉ボディーが打ち破られた。
踞りそうになりながら呻き声を上げる雅美。
愛は最後のチャンスが来たと一気に攻め立てる。
雅美は何とか体勢を持ち直すが、コーナーに追い詰められていく。
バシ、バシィ、
必死にガードを固める雅美だが、愛の打撃がヒットする度に体を震わせている。
バシィ、バシィ、
サンドバックにされる雅美だが、屈強な肉体と強靭な精神力で耐えている。
バシィ、
雅美もカウンターのパンチを放つと愛の顔面にヒットした。
しかし、愛も譲らず勢いを取り戻した雅美と真っ向から打ち合っていく。
バシィ、バキィ、バシィ、バシィ、
強力なパンチ、キックが飛び交うがダウンはしない両者。
トップアスリートということで肉体も強いが、精神力も相当強い様で、互いに譲らない。
バシィ、バシィ、バキィ、バシィ、
『カーン』
大熱戦の末に試合終了を告げるゴングが鳴ってしまった。
雅美と愛はゴングが鳴っても打ち合っているが、黒服に引き離されてようやく離れた。
一旦落ち着くために自陣コーナーに戻る両者。呼吸は荒いがまだまだ戦えそうなだけに残念なゴングとなってしまった。
判定を下すため再びリング中央に戻る雅美と愛。
『1人目 28-28 ドロー』
『2人目 29-28 赤、田仲雅美』
『3人目 29-28 赤、田仲雅美』
『よって、勝者:田仲雅美』
判定勝利ということで納得はしてない両者。
しかし、ルールだからと互いに睨み合いながらもリングから降りた。