人気アイドルグループのかつてのリーダー同士の試合が総合格闘技ルールで行われる。
互いにプライド以上の看板を背負った対決だけに負けられない一戦となる。
『赤コーナー 162cm 81-59-84 白岩麻衣~』
名前に因んだ白のビキニにオープンフィンガーグローブを装着して登場してきた。
『青コーナー 159cm 83-60-88 五島真希~』
真希はストロングスタイルの黒のビキニにオープンフィンガーグローブを着けて出てきた。
対角線のコーナーから睨み合う両者。
互いのグループの後輩がセコンドに入っており、会場にも多数訪れており、対決姿勢が鮮明になっている。
年齢は麻衣が30歳に対して、真希は37歳と差があるが、真希はグループ内での腕相撲大会で無敗を誇る等、昔から腕っぷしの強さに評判がある。
『カーン』
ゴングが鳴るとファイティングポーズをとって先ずは打撃で試合の主導権を握ろうとする麻衣と真希。
互いにジャブやローキックを打ちながら間合いを測ると真希がローキックで麻衣の太ももを強打した。
バシッ、
衝撃で動きが止まる麻衣。
真希は続けてパンチを麻衣の顔に打ち込むと麻衣は思わず顔を覆った。
バキィ、
真希はチャンスと見てタックルを仕掛けると受け身を取り損なった麻衣は激しく背中からリングに叩きつけられた。
バターン、
真希はマウントポジションを奪うと麻衣の顔にハンマーパンチを振り落として一気に攻勢を強めている。
バキ、バシィ、バキッ、
懸命に顔をガードする麻衣だが、真希の猛攻に早くも鼻血を吹き出している。
真希:猛娘の方が格上だって事を分からせてやるわ。
有利な状況に真希はそう言うと強打しようと大振りになると麻衣は隙を突いて真希の右腕を捉えた。
「しまった」という表情を見せる真希だが、既に麻衣が下から真希の右腕をがっちりと極めている。
真希:ああぁぁぁ、、
先程までとは打って変わって泣きそうな表情で喘ぐ真希。
一方の麻衣は不敵な笑みを浮かべている。
麻衣:ベラベラと喋りすぎなのよオバさん。
ロープブレイクの無い総合格闘技ルールで右腕を極められて悶絶する真希。
麻衣が大逆転で一気に真希からタップを奪うかと思われたが、真希は辛うじて腕力で麻衣の技を解いた。
麻衣は追いかけようとするが、真希はがっちりとガードを固めて麻衣に攻め込ませない。
レフリーはグランドでは動きが無いからと両者に立ち上がるように指示した。
鼻血を気にする素振りを見せる麻衣。真希も極められた右腕を抑えている。
『ファイト』
レフリーの合図で試合が再開されるとファイティングポーズをとって再び打撃で勝負しようとする真希と麻衣。
先程は打撃で主導権を握った真希だが、右腕が上がらず上手く攻撃を仕掛けれてない。
それを察知した麻衣は真希の右肩にキックを打ち込んでいった。
バシィ、
右腕が痺れて動きが止まる真希。
麻衣は真希の顔面にパンチを打っていった。
バキッ、
真希はガードが間に合わず、クリーンヒットを許すと後退を余儀無くされている。
麻衣は真希をコーナーに追い込むとパンチで顔をキックで太ももを捉えていく。
真希も右腕の痛みを堪えてガードを固めながらカウンターで反撃するが、手数で圧倒されている。
バシッ、バキ、バキィ、バシ、
麻衣は威力よりも安定した出力で確実に真希を削っていく。
真希は顔のガードを重視すると下半身のケアが疎かになり、立て続けに太ももにダメージを受けて立っているのも辛くなってきた。
バシィ、
真希:ううぅ~~、
麻衣の強烈なローキックに真希は耐えきれず悲鳴を上げると崩れ落ちた。
麻衣は更に追い込もうと真希の首に腕を巻きつけてスリーパーをかけていった。
汗をびっしょりとかいて麻衣の腕にすがりつく真希。
麻衣:強情な女ね。早くタップしなさいよ。
真希は体力の限界が近付いているが、後輩達が見ていると意地でもタップはしまいと堪えている。
麻衣は真希がタップしないので、スリーパーを解くと真希の右腕を捕まえて腕ひしぎを極めていった。
真希:あああぁぁぁ~~~~、
既に体力をギリギリまで削られている真希は傷んでいる右腕をがっちりと極められて抵抗出来ず、悲鳴をあげている。
後輩の前でタップは出来ず、あまりの激痛に涙を流しながら耐えるだけの辛い展開になっている。
観客も勝ち気な真希の涙顔に興奮している。
麻衣:オバさんでもお客さんに喜んで貰えて良かったわね。
余裕を見せる麻衣に猛娘サイドからは野次も飛んでいるが、肝心の大将が青息吐息で絶望的な状況になっている。
『カーンカーンカーン』
真希のセコンドがこの状況を目にするのが耐えられなくなり、遂にタオルを投入してゴングが鳴った。
『勝者:白岩麻衣』
麻衣は自陣の後輩に向けてガッツポーズをすると、後輩からも地下リング初勝利を祝福されている。
一方、リングに沈んだ真希はタオルを投入した後輩から謝罪を受けている。
後輩:すいません、私がタオルを入れたせいで
真希:無様な姿を見せて悪かったわ。あなたは私がタップしないようにタオルを入れてくれたのね。
真希は後輩に礼を言うと担架で運ばれてリングー後にした。