タイトルマッチの前にエキシビションマッチが1試合、プロレスルールで組まれた。
対戦カードは38歳の能勢えれなと25歳の今居みどりで共に地下リング初勝利を目指す。
特に、えれなとしては妹の香理奈が地下リングのエースとして君臨しているだけに自身の戦績には不甲斐なさを感じている。
『赤コーナー 166cm 能勢えれな~』
えれなは白のビキニで出てきた。
知名度はそれほど無くてもモデルだけにスタイル抜群で、早くも観客を魅了している。
『青コーナー 165cm 今居みどり~』
みどりは黒のビキニで登場してきた。
魅せる職業柄、ポージング等は決まっており、観客の歓声を浴びている。
スレンダー美女の両者がリングに揃うとゴングが鳴った。
『カーン』
試合が始まるとリングを回りながら慎重に相手の出方を伺うえれなとみどり。
互いに時折ローキックを打ちながら反応を探ると両者は急速に距離を詰めて組み合った。
取っ組み合いになるえれなとみどり。同じくらいの体格だけに拮抗した押し合いになるが、ここはえれなのパワーが勝ってみどりをロープまで押し込んでいった。
『ロープ』
ロープブレイクがかかるとえれなはすんなりと離れるが、勝ち誇った表情を見せた。
みどりはえれなの表情に苛立った様子を見せると走っていってラリアットを打っていくが、えれなは冷静に身を屈めて避けてやり過ごすとバックをとった。
みどりは抵抗して逃れようとするが、えれなは構わずバックドロップで投げていった。
バターン、
後頭部から叩きつけられてぐったりと倒れるみどり。
えれなは馬乗りになるとみどりの顔面に張り手を叩き込んでいく。
バシ、バシッ、
顔を叩かれてみどりの端整な顔が苦痛に歪んでいる。
えれなは頃合いを見計らうとみどりを立ち上がらせてブレーンバスターの体勢に入ろうとするが、みどりは踏ん張るとコーナーまでえれなを押し込んでいった。
背中をコーナーに押し付けられて表情を歪めるえれな。
するとみどりは膝蹴りでえれなのボディを突き上げていった。
ボシュ、
えれな:おええぇぇ~~、
ボディを串刺しにされるとえれなは口をパクパクさせて悶絶している。
みどりは形勢逆転と表情をニヤリとさせた。みどりは体が沈みかけているえれなの髪の毛を掴んで、上体を起こさせるとコーナーに据え付けてもう1発膝蹴りをえれなのボディに打ち込んだ。
ボシュュ、
お腹を抑えて崩れ落ちるえれな。
みどりはえれなをコーナーの下にセットするとコーナーによじ登った。
みどりはアピールしてからフライングボディプレスを放つが、えれなが素早く反応して避けるとみどりはお腹をリングに打ち付けてしまった。
リングに叩きつけられて痛がるみどり。
えれなもダメージが残っていて中々起き上がれずにいるとダブルノックアウトの様相を呈してきた。
しばらくしてから両者はほぼ同時に立ち上がると開始早々のように体をぶつけ合って取っ組み合いになった。
体にダメージが残る中、必死に力を振り絞って押し合うえれなとみどり。
えれなが同じように押し込もうとするが、みどりは踏ん張ると逆に脚を引っ掛けて大外刈りのようにしてえれなを倒していった。
取っ組み合いを制したみどりは馬乗りになるとえれなの喉元にギロチンチョークを落としていった。
えれな:ぐえぇぇ~、
呼吸が苦しくなって思わず、声を漏らすえれな。
しかし、レフリーはこれは反則だと止めるとみどりは舌打ちしながらも技を解いた。
えれなはふらつきながらも何とか立ち上がるが、みどりが待ち構えていた。
みどりはえれなのボディにミドルキックを浴びせていった。
バシィ、
鋭いキックを食らって体をくの字に折り曲げるえれな。
するとみどりは背後に回り込んで延髄切りを放った。
ヒットするとえれなは意識を飛ばしかけて前のめりに倒れ込んだ。
みどりはえれなに跨がるとキャメルクラッチをかけていった。
えれなは体を反り返らされると苦悶の表情を浮かべている。
初勝利を諦めたくないえれなは必死にロープを目指すが、まだまだ遠い。
悲壮感を漂わすえれなとは対照的にみどりは不敵な笑みを浮かべている。
みどり:もう限界なんじゃない?年なんだから無理しない方がいいわよ。
屈辱的な言葉を浴びせられるえれなだが、最早他に逃れる術はなく、目に涙を浮かべながらみどりの脚をタップした。
『カーンカーンカーン』
えれながギブアップするとレフリーはゴングを要請した。
『勝者:今居みどり』
待望の地下リング初勝利をあげたみどりは笑顔で声援に応えて存在をアピールしている。
若いみどりが初勝利を手にする一方で未だ未勝利のえれなは悔しそうな様子でセコンドに抱き抱えられながらリングを去った。