『2019年最終興行』の第2試合は青樹愛VS稲邑亜美の対決となった。
元トップアスリートの愛にアスリートクラスの身体能力を持つ亜美の試合は以前よりファンからの要望が多かったカードであったが、今回は『2019年最終興行』という事で、タイトルホルダーの亜美もワンマッチに参戦する事になり、愛との対戦が実現した。
『赤コーナー 173cm 86-61-88 稲邑亜美~』
亜美は黒のビキニで登場してきた。
愛との対戦とあってやや緊張した様子を見せているが、勝利すれば、一躍スターダムのし上がれると気合いが入っている。
『青コーナー 173cm 85-60-83 青樹愛~』
愛は白のビキニで出てきた。
競技を引退してしばらく経つが、未だに肉体美は健在で、今日もパワフルなファイトを見せようと意気込んでいる。
『カーン』
ゴングが鳴るとリングを静かに回りながら相手の様子を探る亜美と愛。
亜美は愛のパワーがどれ程かと確かめようと先ずは力比べを誘ってきた。
愛も亜美のパワーには興味があると誘いに乗ると両者はリング中央で組み合って力比べになった。
渾身の力を込めて押し合う亜美と愛。
互いに一歩も引かずに押し合っていくと場内から拮抗した力比べに歓声が上がっている。
早くも額から汗を滴り落とす愛と亜美。
白熱した力比べを見せる両者だが、亜美が押し込んでいくと愛の背中をロープに押し付けていった。
『ロープ』
ロープブレイクで一旦離れる亜美と愛。
押し勝った亜美は精神的にやや優位に立てたのか、少し表情に余裕が出ている。
一方の愛は亜美のパワーには驚いているが、まだ序盤とそれほど深刻には捉えていないようだ。
亜美はロープに走って反動をつけるてショルダーアタックにいくと愛は力を入れて弾き返そうとするが、亜美のパワーに押されて倒されてしまった。
仰向けに倒れる愛に亜美は馬乗りになると体重を落としながら愛の顔面に張り手を打ち込んでいく。
バシ、バシッ、
愛といえども亜美に上に乗られると脱け出すのは容易ではなく、顔を叩かれて頬を紅潮させている。
観客も愛がパワーで押し込まれる姿はそう無いと食い入って見ている。
亜美は何発か張り手を打って愛を弱らせると両肩を抑えてフォールに入った。
『ワン、ツー、』
ここはカウント2で返す愛。
亜美は愛の髪の毛を掴んで起き上がらせるとブレーンバスターの体勢に入るが、愛も踏ん張るとブレーンバスターで投げ返そうとしている。
投げ勝ったのは愛で、亜美をリフトアップするとリングに叩きつけていった。
バターン、
今度は愛がパワーを見せると亜美は表情を歪めて仰向けに倒れている。
亜美は立ち上がろうとするが、愛は背後から掴まえるとスリーパーをかけて亜美の体力を削りにかかる。
亜美はエルボーで愛を振り払うと向かい合うと愛の太ももにローキックを打っていった。
バシッ、
表情を歪める愛だが、すぐに亜美の太ももにローキックを打ち返していった。
バシィ、
強打で場内に破裂音が鳴り響いている。
愛は更に攻撃に行こうと距離を詰めてくるが、亜美はラリアットを愛のバストに叩き込むと愛は仰向けに倒れた。
立ち上がろうとする愛だが、亜美は背後から掴まえるとバックドロップで愛を投げていった。
バターン、
後頭部から叩きつけられる愛。
亜美はフォールに入った。
『ワン、ツー、ス、』
カウント2で返す愛。
しかし、元トップアスリートの愛といえどもバックドロップの衝撃で中々体を起こす事が出来ない。
亜美は愛の髪の毛を掴んで起き上がらせると試合を決めようとブレーンバスターの体勢に入った。
渾身の力を込めて愛を投げようとする亜美だったが、愛も踏ん張ると膝蹴りを亜美のボディに打ち込んでいった。
ボシュ、
踞りかける亜美。
逆に愛は亜美を掴まえるとブレーンバスターの体勢に入った。
踏ん張ろうとする亜美だが、愛の怪力にリフトアップされると勢いよく叩きつけられてしまった。
バターン、
仰向けに倒れる亜美。
続けて愛はコーナーに登ると亜美のボディを目掛けてフットスタンプを放った。
ボシュュュ~~~、
亜美:うげぇぇぇぇ~~~、
愛の全体重が両足に集約されると亜美のボディに突き刺さった。
鍛えたボディを持つ亜美といえども悶絶している。
愛は涙目になる亜美の髪の毛を掴んで強引に起き上がらせるとパワーボムの体勢に入った。
体に力が入らない亜美は耐えれずに愛に軽々とリフトアップされると後頭部からリングに叩きつけられた。
バターン、
元トップアスリートのパワーを見せつけた愛はそのままフォールに入った。
『ワン、ツー、スリ、』
ギリギリのところで何とか返す亜美だが、目は虚ろになっている。
愛は続けて亜美の上体を起こすとドラゴンスリーパーをかけていった。
徹底的に亜美を痛めつける愛。
亜美の体は汗をびっしょりとかいている。
レフリーは亜美の様子を心配して伺うが、亜美は指を振ってまだ戦う意思を示している。
亜美は腕力を見せて強引に愛のドラゴンスリーパーを外した。
難を逃れた亜美だが、疲労困憊の様子でぐったりと倒れている。
愛は亜美の体をうつ伏せにセットすると今度は逆エビ固めをかけていった。
リングに這いつくばって体を反り返らされる亜美は苦悶の表情を浮かべている。
愛:これがトップアスリートの力よ。男の子と野球で遊んだくらいで私に敵うと思った?
苦境に立たされる亜美だが、何とかロープに辿り着くとロープブレイクになった。
『ロープ』
一旦、技を解く愛。
亜美:ハア、ハア、ハア、
亜美はうつ伏せになって呼吸を荒くさせている。
愛:いくら技をかけても耐えれる丈夫さだけは褒めてあげるわ。そんなあなたにはとっておきの技を用意したわ。
愛はそう言うと背後から亜美をがっちりと掴まえるとジャーマンスープレックスの体勢に入った。
亜美には抵抗する力が残っておらず、投げられると後頭部と背中をリングに叩きつけられた。
バターン、
愛は亜美をロックした両手を離さずに体勢を入れ替えるともう1発ジャーマンスープレックスを放つとそのままフォールに入った。
バターン、
『ワン、ツー、スリー!、カーンカーンカーン』
連発式ジャーマンスープレックスホールドで試合を鮮やかに決めた愛は会心のガッツポーズをしている。
『勝者:青樹愛』
地下リングでは見た事もない大技に観客は騒然としている。
大技を喰らった亜美は未だ目を虚ろにさせて首の辺りを氷嚢でアイシングを受けている。
勝利した愛には盛大な大歓声が浴びせられると愛はビクトリーロードと化した花道を悠然と歩いてリングを去った。