第二回クイーンカップ その2
- 2014/10/19
- 12:46
第三試合
クイーンカップの1回戦も後半戦に入ってきた。
第三試合のカードは元女子プロレスラーの納見佳代と元ヤンキーの鈴本紗理奈の対決だ。
出産も経て順風満帆の佳代に対して壮絶な夫婦喧嘩の末に離婚した紗理奈とあって紗理奈は相当なコンプレックスを感じており、リングでは佳代を打ちのめしてやろうと考えている。
一方の佳代は女優・アイドルのトーナメントに参戦するとあって優勝は至上命題と考えており他の女優・アイドルを少々見下している。
そのような背景の中、選手入場を迎えた。
『赤コーナー 164㎝ 納見佳代~』
なんと佳代は愛息子を連れて入場してきた。白のスポーツビキニでどこか余裕を漂わせた入場だ。
『青コーナー 162㎝ 鈴本紗理奈~』
反対側のコーナーか入場してきた紗理奈黒のスポーツビキニにオープンフィンガーグローブを装着しては殺伐とした雰囲気で佳代を睨み付けている。佳代が子供連れで登場してきた事が余程気に入らないようだ。
リング中央で向かい合う佳代と紗理奈。
紗理奈:神聖なリングにガキ連れてくるんじゃないわよ。二度とガキが寄り付かない顔にしてやるから見ときな。
佳代:レスラーの私がヤンキーに負ける訳無いでしょ。覚悟しなさい。
紗理奈:レスラーにしては随分と貧相な体ね。私の方がいい体してるわよ。
紗理奈はそう言うと両腕で力こぶを作って見せた。盛り上がった立派な上腕二頭筋に6つに割れた腹筋をしていて誇らしげな表情を浮かべている。
それを見た佳代は自分も鍛えてきたが、正直言って自分よりも筋肉量が多い体に焦りを覚えている。
『カーン』
不穏な空気の中ゴングが鳴り響いた。
紗理奈は宣言通り前に出て佳代の顔面目掛けてパンチを打ってくると佳代も張り手で返していく。
いきなりの殴り合いに盛り上がる観客。
バシィ、バシィ、バキィ、バシィ、バシィ、
オープンフィンガーグローブで殴りつける紗理奈の方にやはり分があるようで、佳代をコーナーに押し込んでいく。
「ロープ」
レフリーはロープブレイクを指示するとクリーンに離れると見せかけて紗理奈は不意に佳代の顔面にパンチを見舞った。
倒れ込む佳代、紗理奈は更に攻め込もうとするが、これは反則とレフリーが制した。紗理奈は納得してない様でレフリーの制止を振り切ろうと暴れている。
佳代はふらつきながらもロープにもたれかかって休んでいる。
「ファイト」
レフリーは佳代が回復するのを待って試合を再開させた。
紗理奈はやる気満々で勢いよくタックルを仕掛けていく。
佳代は踏ん張るが、紗理奈は筋力を活かして強引に佳代を押し倒していった。
バタン
紗理奈は佳代を押さえつけると顔面にハンマーパンチを落としていく。
ドス、ボシュ、
佳代:うぅぅ、
顔が潰されるようなパンチに思わず呻き声を上げる佳代。
ボシュュ~
ここで佳代が顔に意識がいった所に紗理奈は佳代の脇腹にに強烈な膝蹴りを撃ち込んでいった。
佳代:うぎゃゃゃ、、
元レスラーの佳代も悶絶する程の紗理奈の破壊力。
紗理奈:何?このふにゃふにゃの腹は。やっぱりお腹を痛めつけて上げるわ。
紗理奈はそう言うと佳代のボディーに膝蹴りを連打していく。
ボシュ、ボシュ、ボシュ、
痛がる佳代だが、一発打つ度に体勢が崩れるのでなんとか逃げ出した。
紗理奈は逃してやや悔しそうな表情を浮かべるが、切り替えてスタンディングでの戦いに臨むことにした。
ようやく逃れた佳代だが、紗理奈のパワフルなファイトに驚きを隠せない。
スタンディングから組み合う両者。
組み合うとレスラーの佳代が優勢になりそうになるものの紗理奈が佳代のボディーを膝蹴りで突き上げると情勢は一変する。
ボシュ、
佳代:オエ~
強烈な膝蹴りにお腹を押さえて蹲る佳代。
紗理奈は佳代の髪の毛を掴んで強引に起き上がらせるとバランスを崩してロープに振っていった。
紗理奈もすぐ後ろに付いて行くと佳代の振り向き様に膝蹴りを打ち込んでいくと呻き声を上げる佳代。
紗理奈は効いているからともう一度反対側のロープに振って膝蹴りを打つと佳代を崩れ落ちた。
マットを叩いて悶絶する佳代。
納見の息子:ママー!
母の苦しそうな様子を心配した息子が佳代に声をかけると、佳代は無様な姿を見せられないと気丈に振る舞って笑顔を作った。
佳代:ママは大丈夫よ~
起き上がりながら息子にアピールする佳代。
紗理奈はその隙を逃さず佳代のバックを取るとバックドロップで投げていった。
不意にバックを取られた佳代、しかも紗理奈のバックドロップはレスラーではないので綺麗に投げれなかった分変な体勢でマットに叩きつけられてしまった。
ボキ、
肩と後頭部を強打する佳代。
紗理奈はすかさずフォールに入った。
「ワン、ツー、ス」
カウント2で返す佳代だが、痛々しそうに左肩を押さえている。
起き上がった紗理奈は佳代の左肩に蹴りを入れると佳代は大の字に倒れ込んだ。
紗理奈は佳代のボディーにスタンピングを落として佳代を痛めつけていく。
ドス、ドス、ドス、
しかし、佳代は紗理奈の攻撃パターンを読んで足を捕まえると下から崩していった。
佳代はそのまま右足を掴んで極めていく。
レスラーに足を極められて悶える紗理奈。
紗理奈は顔を歪めるが、何とかロープに辿り着くとレフリーはロープブレイクを指示する。
紗理奈の打撃を避けて自らの体力も消耗したくない佳代は紗理奈をリフトアップするとボディースラムで叩きつけた。
バターン、
佳代はリング中央で紗理奈を仰向けに倒すと四の字固めをかけていった。
ガッチリ極められて身動きが取れない紗理奈の表情が又しても歪んできた。
佳代はこのままギブアップを奪いたいが、紗理奈が抵抗すると解けてしまった。
佳代と紗理奈はほぼ同時に立ち上がると紗理奈が先に佳代にタックルで組み付いていった。
しかし、佳代は読んでいたようで受け止めるとお返しと言わんばかりに紗理奈のボディーを膝蹴りで抉っていった。
佳代:!!
紗理奈の腹筋の固さに驚く佳代。
紗理奈:そんなへなちょこキックなんか効かねえよ。
紗理奈は動揺して動きが止まった佳代のボディーに逆に膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュ~、
佳代:あぅぅぅぅぅ、、、
紗理奈の足元にお腹を抱えて蹲る佳代。
紗理奈は無理矢理佳代をリフトアップするとコーナーに逆さ吊りにしていった。
紗理奈は佳代のお腹を指でつついて馬鹿にしている。
紗理奈:鍛え方が足りないんじゃないの?
佳代:うるさいわよ、一般人との対戦ならこのくらいで十分よ。
紗理奈:随分生意気な口を利くわね。これでもそんな口が利けるかしら。
そう言うと紗理奈は佳代のボディーを爪先で蹴り上げた。
ドス、
佳代:んぐぅぅぅ、、
嗚咽を漏らして苦しむ佳代。
レフリーは流石にこれは反則と止めに入ろうとするが、紗理奈の裏拳がレフリーの顔面にめり込んだ。
バキ、
不意に強力な裏拳を喰らって失神するレフリー。
紗理奈:喧嘩の邪魔すんじゅねえぞ、テメエはそこで寝てろ。
通常の試合ならここでストップがかかるが、ここは地下リング。レフリー不在のまま試合は続行される。
紗理奈:さあ、邪魔者は退かして上げたわよ。これで思う存分やり合えるわね。
これには佳代も顔をひきつらせている。
紗理奈は佳代を馬鹿にするかのように爪先で蹴り上げているがダメージは馬鹿にならない。
佳代:うぎゃぁぁぁ~~
紗理奈:いい響きね。そろそろ決めてあげるわよ。
紗理奈は少し距離をとると喧嘩キックを佳代の傷んだボディーに撃ち込んだ。
ボシュ~~~、
佳代:ギャアァァァァァァァーーーー
ボディーに紗理奈のブーツが食い込んで悶絶する佳代。
佳代のボディーは青紫色に変色しており、余りの衝撃に意識を飛ばしそうになるが、股間がジワジワと濡れてきているのを感じて息子に失禁した姿を見せるわけにはいかないと慌てて意識を取り戻した。
しかし、余程痛いのか涙目になりながらお腹をさすっている。
紗理奈は幸せ一杯の佳代を痛めつけれて満足したようで高笑いが止まらない。後は佳代の青紫色に変色したボディーにピンポイントで拳を打ち付けていく。
ドス、ボシュ、ボシュ、ドス、
一発殴られる度に体をビクつかせる佳代。内臓に響くような重たいパンチに必死に繋ぎ止めていた意識も弱くなってきた。
レフリー:ストップ、ストップ、反則だ。紗理奈。
ここで意識を取り戻したレフリーが紗理奈の反則を止めに入った。
やっと解放された佳代はマットに崩れ落ちてグッタリと倒れこんだ。
佳代は苦痛のあまり顔を歪めている。
紗理奈は佳代の髪の毛を掴んでリング中央まで引っ張っていくと顔面をマットに叩きつけた。
紗理奈は佳代をうつ伏せに倒すとキャメルクラッチをかけていく。
佳代は嫌がるが、紗理奈が佳代に鼻フックをかけていくと不細工な顔が息子に晒されてしまった。
佳代:いやぁぁぁぁ~~~~、
息子に恥ずかしい所を見せさせられて思わず顔を背ける佳代。
佳代が抵抗して崩れると紗理奈は再び佳代を起き上がらせるも佳代は起き上がらずにタックルで紗理奈を倒していった。
バターン、
打撃戦では適わないとグランドで勝負しようとする佳代は紗理奈の腕を取ろうとしていく。
しかし、紗理奈も警戒して自らの両手をロックして腕を取らせない。それならばと佳代は紗理奈の首にスリーパーを仕掛けていった。
あまりにも首が無防備になっていたのでガッチリ極められてしまったという表情を浮かべる紗理奈。
佳代は紗理奈のボディーに両足を巻きつけて互いの体を密着させて固定していく。
逃れようと躍起になる紗理奈だが、逃れようとすればするほど、佳代の腕が首に巻き付いていくので、焦りを募らせる紗理奈。
レフリー:チョークだ、佳代。
ここでレフリーが佳代にスリーパーの位置を修正するように指示した。
佳代は不満そうな表情を浮かべるが、反則をとられては堪らないからと指示に従った。
紗理奈にとってはスリーパーが緩まって楽になり、激しく抵抗し出した。すると佳代のスリーパーも滑って解けてしまって漸く紗理奈は解放された。悔しそうな表情を浮かべる佳代
紗理奈:ハアハアハアハアハアハアハア、
紗理奈は苦しそうに喉元を押さえているので、佳代はチャンスとみてブレーンバスターで投げていった。
バターーン、
フォールに入る佳代。
『ワン、ツー、スリ、』
カウント2で辛うじて返す紗理奈だが一杯一杯になっている。
佳代はフィニッシュに入ろうと再び紗理奈を起き上がらせると気合いを入れた。
佳代:決めるぞぉーーー、
吠える佳代だが、紗理奈が息を吹き返すと何発か膝をボディーに入れて弱らせると佳代の顎をアッパーカットで撃ち抜いた。
ガン、
意識を飛ばして仰向けにダウンする佳代。
紗理奈はふらつきながらもコーナーによじ登ると佳代のお腹にフットスタンプを撃ち込んだ。
ボシュュュュ~~~、
佳代:グエェェェェェ、
口から黄色い胃液を吐き出して苦しむ佳代は涙を流している。
紗理奈としては佳代が弱っているので、攻め込みたい所だがダメージの蓄積で膝をついて動けない。
佳代はリングに這いつくばって泣き叫んでいる。
佳代:あぁん、あぁん、痛いよ~、
紗理奈は時間をかけながらもなんとか起き上がると佳代を起き上がらせてコーナーに顔を叩きつけて弱らせてからバックドロップで投げようとするが、佳代はレスラーでは無い紗理奈の“甘い”投げ技を2度も喰らわないとエルボーで紗理奈を外すと逆にボディースラムで紗理奈をマットに叩きつけていった。
バタン、
シンプルな技だが流石は元レスラー、確実に紗理奈を仰向けに倒していった。
すると佳代はもう一度上から被さってスリーパーを仕掛けていった。
呼吸が出来ずに苦しむ紗理奈は足をバタバタさせてもがき苦しんでいる。
佳代はスタミナ的にもここで勝負を決めるしかないと必死で紗理奈を締め上げているが、紗理奈も逃れようと必死だ。
死力を尽くして戦ってきた2頭の女豹が最後の最後にリング中央で互いの体をもつれあわせながら懸命に後一歩で届きそうな勝利を目指して争っている。
紗理奈:ん、あ、ん~
息む紗理奈の表情は苦しそうだが、佳代も必死の形相だ。
紗理奈はジリッジリッと体を動かしてロープに近づいてきた。
佳代:フン~~~~、
佳代は渾身の力を込めるが、紗理奈もヤンキー魂で耐える。
意識を飛ばしそうになるが、意地でもタップはしない紗理奈。
ロープは後一歩、紗理奈が左足伸ばす。
しかし、紗理奈の左足は数cm届かず、その直後紗理奈は無念の表情を浮かべると失神してしまった。
『カーンカーンカーン』
グッタリと失神して倒れる紗理奈の横で勝者の佳代もバタリと倒れこんだ。
『勝者:納見佳代』
勝者のコールが告げられるが佳代は応える事が出来ずに、紗理奈と共に担架で控室まで運ばれた。
第四試合
壮絶な第三試合の後の第四試合も中々の好カード。
体格差もほぼ同じの両者に観客も好試合を期待している。
そしていよいよ選手入場だ。
『赤コーナー 168㎝ 84-58-85 杉元有美~』
有美は黒のスポーツビキニで登場してきた。
『青コーナー 168㎝ 84-57-84 山樫舞彩~』
舞彩は白のスポーツビキニでの登場だ。
リング中央に歩み寄ると互いの体を見合う両者。
有美は豊満なボディーを持つが舞彩は高校までは水泳の選手とあってサイズでは有美に勝ってそうだ。」
舞彩:他のアイドルさんだったら体のサイズだけで圧倒出来るんだろうけど、私が相手ならそうはいかないわよ。
有美:何年この世界でやってると思ってるのよ。リングの怖さを教えて上げるわ。
両者、熱い言葉を交わすとコーナーに戻って闘志を燃やしている。
『カーン』
第二回クイーンカップの一回戦最後の試合が始まった。
有美は自分のボディーの方がパワーがある事を証明するためにいきなり体当たりで舞彩を倒していった。
バタン、
いきなり倒された舞彩は怒っているようで、すぐに立ち上がって有美を睨み付けると舞彩も体当たりにいくと有美も体当たりで対抗する。
豊満なボディーを持つ美女同士の体当たり合戦になっていく。
パァァン、パァァン、パァァン、
リング中央で体をぶつけ合う両者。
有美と舞彩は手と手を取り合って力比べの体勢になった。
全力で押し合う両者だが、アスリート体型でガッチリしている舞彩が有美をロープ際まで押し込んでいく。
舞彩:力勝負なら負けないわよ。
レフリーはロープブレイクを指示するが、舞彩は有美のバストを張っていった。
バシィーン、
これには激怒する有美。
有美は舞彩の顔面に張り手を打っていく。
バシィ、
乗ったとばかりに舞彩も有美の顔面に張り手を打っていくと張り手合戦になっていく。
バシィ、バシィ、バシィ、
互いに頬を紅潮させながら張り手を打っていくが、次第に張り手合戦を仕掛けた有美がふらつき始めた。
舞彩はチャンスとばかりに膝蹴りを打って動きを止めるとブレーンバスターの体勢に入った。
有美も抵抗するが、舞彩はパワーを活かして有美をブレーンバスターで叩きつけた。
バターン、
フォールに入る舞彩。
『ワン、ツー、ス』
カウント2で返す有美。
舞彩は連続攻撃を仕掛けようと有美の髪の毛を引っ張って起こすと、バランスを崩してロープに降っていった。
返ってきた有美にラリアットを食らわせようとする舞彩だが、逆に有美のドロップキックで倒されてしまう。
有美はうつ伏せに倒れた舞彩にキャメルクラッチをかけていく。
舞彩は有美に指で鼻の穴を突っ込まされて鼻フックをかけられる屈辱を味あわされるが、懸命に耐えて体を揺すりながらロープに手をかけた。
序盤はパワーで主導権を握った舞彩だが、ここにきて有美がペースをつかみ始めた。
有美は舞彩が起き上がるとバックを取ってバックドロップの体勢に入るが、舞彩がすぐにロープを握って逃れた。
一旦離れる両者。
『ファイト』
スタンディングでファイティングポーズを取る両者は打撃戦を選択していく。
張り手とキックで相手を攻撃していくと、有美のミドルキックが舞彩のボディーにクリーンヒットした。
ボシュ、
思わず蹲る舞彩。
有美は舞彩を掴むとブレーンバスターの体勢になった。
舞彩が踏ん張れずに高々とリフトアップされてしまうとマットに背中から叩きつけられた。
バターン、
フォールに入る有美。
『ワン、ツー、』
カウント2で返す舞彩、有美は起き上がってコーナーによじ登るとボディープレスを放った。
ドン、
再びそのままフォールに入る有美。
『ワン、ツー、ス、』
又してもカウント2で舞彩が返す。呼吸が上がる舞彩。
有美は舞彩を起き上がらせるとジャーマンスープレックスの体勢に入るが、ここは舞彩がエルボーで凌いだ。
舞彩は流れを変えようと振り向きざまに喧嘩キックを撃つと、これが有美の顔面にクリーンヒットした。
バシィィーン、
顔を抑えて倒れ込む有美。
舞彩も一気に攻め込みたい所だが、有美の猛攻を受けて少し休んでいる。
仕切り直しとばかりに両者立ち上がって向かい合うと目が合った。
有美:折角だからパワーで捻じ伏せてやるわ。
舞彩:上等よ、もう生意気な口が利けないようにしてあげるわ。
お互い腰に手を回すとベアバック合戦に挑んでいく。
力を込めて相手を締め付け合う有美と舞彩。
有美の体が一瞬浮きそうになるが、有美は必死に踏ん張る。
美女同士が表情を険しくさせながらぶつかり合っている。
有美:んあああ~~~~、
今度は完全に有美の体が宙に浮いた。
有美は悔しそうな表情を浮かべるが、もう遅い。有美の体は舞彩のパワーで徐々にくの字に曲げられていく。
力勝負で負けた精神的なダメージも含めて痛めつけられていく有美。
舞彩は出来るだけ長くこの状態をキープしたいが、同じくらいの体格差なので長くはキープは出来ずに降ろしてしまった。それでもダメージは十分なようで腰を抑えて倒れ込む有美。
舞彩は勝負を決めようと有美を持ち上げるとコーナーの上に座らせた。舞彩もよじ登ると大技・雪崩式のブレーンバスターを仕掛けようとする。
有美は投げられまいと抵抗しているとコーナーの上で両者立ち上がって揉み合いになる。
不安定なコーナーの上での攻防は危険だが、省みずに手を取り合って押し合う有美と舞彩。
すると案の定両者は落下したが、舞彩が有美の下敷きになってしまった。
バターーン、
舞彩:ああぁぁぁ~~~
肩を場外のマットの上に強打して悶絶する舞彩。涙目になりながら痛がっている。
有美もダメージがあるようだが、こちらはふらつきながらもリングに戻った。
レフリーはアクシデントの落下だからと場外カウントもストップさせてドクターも向かわせた。
舞彩:あぁ~いったい~
肩を抑えて倒れ込む舞彩にドクターが試合続行するか聞いている。
舞彩:やるわよ、んあ、テーピングお願い。
ドクターは急いで舞彩の肩にテーピングを巻いていくと試合は続行されていく。
リングによろめきながら戻った舞彩だが、テーピングが痛々しい。
『ファイト』
有美は舞彩の腕を取ろうとするが、舞彩は嫌がっている。
しかし、舞彩も手を使わずに戦うのは不可能と仕方なく組み合っていくと有美の揺さぶりに想像以上に肩に痛みが走る。
舞彩:あ゛っ
有美は舞彩が痛がっているのに気付いて、いっきに倒して腕を取っていった。
腕を極められて苦悶の表情の舞彩。
有美は腕ひしぎから両腕を掴んで、サーフボードストレッチに移行していく。
舞彩:ぎゃあぁぁ~~~
有美は舞彩を座らせて後ろから両腕を掴むと右脚で舞彩の背中を踏みつけて体重をかけていく。
両肩にダメージがきて顔を歪める舞彩。
手をロックされているので、ギブアップするなら口で言うしかない屈辱的な状況に追い込まれている。
有美:早くギブアップしなさいよ、しないんならこうするわよ。
有美は舞彩の首を跨ぐと首筋にヒップを乗せて全体重を舞彩にかけていく。
(バキバキバキ)
舞彩は意地でもギブアップはコールしないが、両肩の辺りから変な音が聞こえたのでレフリーが慌てて試合を止めた。
『カーンカーンカーン』
「只今の試合、レフリーストップとします。勝者:杉元有美」
ギブアップのコールを奪えなかった有美は少々不満気だが、勝利には満足している。
一方アンラッキーな形で不利な状況に追い込まれた舞彩は悔しそうな表情を浮かべている。
舞彩の両肩に応急措置としてスプレーが当てられているが、汗をびっしょりかいて余りにも痛々しい。
これで第二回クイーンカップの準決勝進出者は藤原紀華、菜々央、納見佳代、杉元有美に4名に決定した。
クイーンカップの1回戦も後半戦に入ってきた。
第三試合のカードは元女子プロレスラーの納見佳代と元ヤンキーの鈴本紗理奈の対決だ。
出産も経て順風満帆の佳代に対して壮絶な夫婦喧嘩の末に離婚した紗理奈とあって紗理奈は相当なコンプレックスを感じており、リングでは佳代を打ちのめしてやろうと考えている。
一方の佳代は女優・アイドルのトーナメントに参戦するとあって優勝は至上命題と考えており他の女優・アイドルを少々見下している。
そのような背景の中、選手入場を迎えた。
『赤コーナー 164㎝ 納見佳代~』
なんと佳代は愛息子を連れて入場してきた。白のスポーツビキニでどこか余裕を漂わせた入場だ。
『青コーナー 162㎝ 鈴本紗理奈~』
反対側のコーナーか入場してきた紗理奈黒のスポーツビキニにオープンフィンガーグローブを装着しては殺伐とした雰囲気で佳代を睨み付けている。佳代が子供連れで登場してきた事が余程気に入らないようだ。
リング中央で向かい合う佳代と紗理奈。
紗理奈:神聖なリングにガキ連れてくるんじゃないわよ。二度とガキが寄り付かない顔にしてやるから見ときな。
佳代:レスラーの私がヤンキーに負ける訳無いでしょ。覚悟しなさい。
紗理奈:レスラーにしては随分と貧相な体ね。私の方がいい体してるわよ。
紗理奈はそう言うと両腕で力こぶを作って見せた。盛り上がった立派な上腕二頭筋に6つに割れた腹筋をしていて誇らしげな表情を浮かべている。
それを見た佳代は自分も鍛えてきたが、正直言って自分よりも筋肉量が多い体に焦りを覚えている。
『カーン』
不穏な空気の中ゴングが鳴り響いた。
紗理奈は宣言通り前に出て佳代の顔面目掛けてパンチを打ってくると佳代も張り手で返していく。
いきなりの殴り合いに盛り上がる観客。
バシィ、バシィ、バキィ、バシィ、バシィ、
オープンフィンガーグローブで殴りつける紗理奈の方にやはり分があるようで、佳代をコーナーに押し込んでいく。
「ロープ」
レフリーはロープブレイクを指示するとクリーンに離れると見せかけて紗理奈は不意に佳代の顔面にパンチを見舞った。
倒れ込む佳代、紗理奈は更に攻め込もうとするが、これは反則とレフリーが制した。紗理奈は納得してない様でレフリーの制止を振り切ろうと暴れている。
佳代はふらつきながらもロープにもたれかかって休んでいる。
「ファイト」
レフリーは佳代が回復するのを待って試合を再開させた。
紗理奈はやる気満々で勢いよくタックルを仕掛けていく。
佳代は踏ん張るが、紗理奈は筋力を活かして強引に佳代を押し倒していった。
バタン
紗理奈は佳代を押さえつけると顔面にハンマーパンチを落としていく。
ドス、ボシュ、
佳代:うぅぅ、
顔が潰されるようなパンチに思わず呻き声を上げる佳代。
ボシュュ~
ここで佳代が顔に意識がいった所に紗理奈は佳代の脇腹にに強烈な膝蹴りを撃ち込んでいった。
佳代:うぎゃゃゃ、、
元レスラーの佳代も悶絶する程の紗理奈の破壊力。
紗理奈:何?このふにゃふにゃの腹は。やっぱりお腹を痛めつけて上げるわ。
紗理奈はそう言うと佳代のボディーに膝蹴りを連打していく。
ボシュ、ボシュ、ボシュ、
痛がる佳代だが、一発打つ度に体勢が崩れるのでなんとか逃げ出した。
紗理奈は逃してやや悔しそうな表情を浮かべるが、切り替えてスタンディングでの戦いに臨むことにした。
ようやく逃れた佳代だが、紗理奈のパワフルなファイトに驚きを隠せない。
スタンディングから組み合う両者。
組み合うとレスラーの佳代が優勢になりそうになるものの紗理奈が佳代のボディーを膝蹴りで突き上げると情勢は一変する。
ボシュ、
佳代:オエ~
強烈な膝蹴りにお腹を押さえて蹲る佳代。
紗理奈は佳代の髪の毛を掴んで強引に起き上がらせるとバランスを崩してロープに振っていった。
紗理奈もすぐ後ろに付いて行くと佳代の振り向き様に膝蹴りを打ち込んでいくと呻き声を上げる佳代。
紗理奈は効いているからともう一度反対側のロープに振って膝蹴りを打つと佳代を崩れ落ちた。
マットを叩いて悶絶する佳代。
納見の息子:ママー!
母の苦しそうな様子を心配した息子が佳代に声をかけると、佳代は無様な姿を見せられないと気丈に振る舞って笑顔を作った。
佳代:ママは大丈夫よ~
起き上がりながら息子にアピールする佳代。
紗理奈はその隙を逃さず佳代のバックを取るとバックドロップで投げていった。
不意にバックを取られた佳代、しかも紗理奈のバックドロップはレスラーではないので綺麗に投げれなかった分変な体勢でマットに叩きつけられてしまった。
ボキ、
肩と後頭部を強打する佳代。
紗理奈はすかさずフォールに入った。
「ワン、ツー、ス」
カウント2で返す佳代だが、痛々しそうに左肩を押さえている。
起き上がった紗理奈は佳代の左肩に蹴りを入れると佳代は大の字に倒れ込んだ。
紗理奈は佳代のボディーにスタンピングを落として佳代を痛めつけていく。
ドス、ドス、ドス、
しかし、佳代は紗理奈の攻撃パターンを読んで足を捕まえると下から崩していった。
佳代はそのまま右足を掴んで極めていく。
レスラーに足を極められて悶える紗理奈。
紗理奈は顔を歪めるが、何とかロープに辿り着くとレフリーはロープブレイクを指示する。
紗理奈の打撃を避けて自らの体力も消耗したくない佳代は紗理奈をリフトアップするとボディースラムで叩きつけた。
バターン、
佳代はリング中央で紗理奈を仰向けに倒すと四の字固めをかけていった。
ガッチリ極められて身動きが取れない紗理奈の表情が又しても歪んできた。
佳代はこのままギブアップを奪いたいが、紗理奈が抵抗すると解けてしまった。
佳代と紗理奈はほぼ同時に立ち上がると紗理奈が先に佳代にタックルで組み付いていった。
しかし、佳代は読んでいたようで受け止めるとお返しと言わんばかりに紗理奈のボディーを膝蹴りで抉っていった。
佳代:!!
紗理奈の腹筋の固さに驚く佳代。
紗理奈:そんなへなちょこキックなんか効かねえよ。
紗理奈は動揺して動きが止まった佳代のボディーに逆に膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュ~、
佳代:あぅぅぅぅぅ、、、
紗理奈の足元にお腹を抱えて蹲る佳代。
紗理奈は無理矢理佳代をリフトアップするとコーナーに逆さ吊りにしていった。
紗理奈は佳代のお腹を指でつついて馬鹿にしている。
紗理奈:鍛え方が足りないんじゃないの?
佳代:うるさいわよ、一般人との対戦ならこのくらいで十分よ。
紗理奈:随分生意気な口を利くわね。これでもそんな口が利けるかしら。
そう言うと紗理奈は佳代のボディーを爪先で蹴り上げた。
ドス、
佳代:んぐぅぅぅ、、
嗚咽を漏らして苦しむ佳代。
レフリーは流石にこれは反則と止めに入ろうとするが、紗理奈の裏拳がレフリーの顔面にめり込んだ。
バキ、
不意に強力な裏拳を喰らって失神するレフリー。
紗理奈:喧嘩の邪魔すんじゅねえぞ、テメエはそこで寝てろ。
通常の試合ならここでストップがかかるが、ここは地下リング。レフリー不在のまま試合は続行される。
紗理奈:さあ、邪魔者は退かして上げたわよ。これで思う存分やり合えるわね。
これには佳代も顔をひきつらせている。
紗理奈は佳代を馬鹿にするかのように爪先で蹴り上げているがダメージは馬鹿にならない。
佳代:うぎゃぁぁぁ~~
紗理奈:いい響きね。そろそろ決めてあげるわよ。
紗理奈は少し距離をとると喧嘩キックを佳代の傷んだボディーに撃ち込んだ。
ボシュ~~~、
佳代:ギャアァァァァァァァーーーー
ボディーに紗理奈のブーツが食い込んで悶絶する佳代。
佳代のボディーは青紫色に変色しており、余りの衝撃に意識を飛ばしそうになるが、股間がジワジワと濡れてきているのを感じて息子に失禁した姿を見せるわけにはいかないと慌てて意識を取り戻した。
しかし、余程痛いのか涙目になりながらお腹をさすっている。
紗理奈は幸せ一杯の佳代を痛めつけれて満足したようで高笑いが止まらない。後は佳代の青紫色に変色したボディーにピンポイントで拳を打ち付けていく。
ドス、ボシュ、ボシュ、ドス、
一発殴られる度に体をビクつかせる佳代。内臓に響くような重たいパンチに必死に繋ぎ止めていた意識も弱くなってきた。
レフリー:ストップ、ストップ、反則だ。紗理奈。
ここで意識を取り戻したレフリーが紗理奈の反則を止めに入った。
やっと解放された佳代はマットに崩れ落ちてグッタリと倒れこんだ。
佳代は苦痛のあまり顔を歪めている。
紗理奈は佳代の髪の毛を掴んでリング中央まで引っ張っていくと顔面をマットに叩きつけた。
紗理奈は佳代をうつ伏せに倒すとキャメルクラッチをかけていく。
佳代は嫌がるが、紗理奈が佳代に鼻フックをかけていくと不細工な顔が息子に晒されてしまった。
佳代:いやぁぁぁぁ~~~~、
息子に恥ずかしい所を見せさせられて思わず顔を背ける佳代。
佳代が抵抗して崩れると紗理奈は再び佳代を起き上がらせるも佳代は起き上がらずにタックルで紗理奈を倒していった。
バターン、
打撃戦では適わないとグランドで勝負しようとする佳代は紗理奈の腕を取ろうとしていく。
しかし、紗理奈も警戒して自らの両手をロックして腕を取らせない。それならばと佳代は紗理奈の首にスリーパーを仕掛けていった。
あまりにも首が無防備になっていたのでガッチリ極められてしまったという表情を浮かべる紗理奈。
佳代は紗理奈のボディーに両足を巻きつけて互いの体を密着させて固定していく。
逃れようと躍起になる紗理奈だが、逃れようとすればするほど、佳代の腕が首に巻き付いていくので、焦りを募らせる紗理奈。
レフリー:チョークだ、佳代。
ここでレフリーが佳代にスリーパーの位置を修正するように指示した。
佳代は不満そうな表情を浮かべるが、反則をとられては堪らないからと指示に従った。
紗理奈にとってはスリーパーが緩まって楽になり、激しく抵抗し出した。すると佳代のスリーパーも滑って解けてしまって漸く紗理奈は解放された。悔しそうな表情を浮かべる佳代
紗理奈:ハアハアハアハアハアハアハア、
紗理奈は苦しそうに喉元を押さえているので、佳代はチャンスとみてブレーンバスターで投げていった。
バターーン、
フォールに入る佳代。
『ワン、ツー、スリ、』
カウント2で辛うじて返す紗理奈だが一杯一杯になっている。
佳代はフィニッシュに入ろうと再び紗理奈を起き上がらせると気合いを入れた。
佳代:決めるぞぉーーー、
吠える佳代だが、紗理奈が息を吹き返すと何発か膝をボディーに入れて弱らせると佳代の顎をアッパーカットで撃ち抜いた。
ガン、
意識を飛ばして仰向けにダウンする佳代。
紗理奈はふらつきながらもコーナーによじ登ると佳代のお腹にフットスタンプを撃ち込んだ。
ボシュュュュ~~~、
佳代:グエェェェェェ、
口から黄色い胃液を吐き出して苦しむ佳代は涙を流している。
紗理奈としては佳代が弱っているので、攻め込みたい所だがダメージの蓄積で膝をついて動けない。
佳代はリングに這いつくばって泣き叫んでいる。
佳代:あぁん、あぁん、痛いよ~、
紗理奈は時間をかけながらもなんとか起き上がると佳代を起き上がらせてコーナーに顔を叩きつけて弱らせてからバックドロップで投げようとするが、佳代はレスラーでは無い紗理奈の“甘い”投げ技を2度も喰らわないとエルボーで紗理奈を外すと逆にボディースラムで紗理奈をマットに叩きつけていった。
バタン、
シンプルな技だが流石は元レスラー、確実に紗理奈を仰向けに倒していった。
すると佳代はもう一度上から被さってスリーパーを仕掛けていった。
呼吸が出来ずに苦しむ紗理奈は足をバタバタさせてもがき苦しんでいる。
佳代はスタミナ的にもここで勝負を決めるしかないと必死で紗理奈を締め上げているが、紗理奈も逃れようと必死だ。
死力を尽くして戦ってきた2頭の女豹が最後の最後にリング中央で互いの体をもつれあわせながら懸命に後一歩で届きそうな勝利を目指して争っている。
紗理奈:ん、あ、ん~
息む紗理奈の表情は苦しそうだが、佳代も必死の形相だ。
紗理奈はジリッジリッと体を動かしてロープに近づいてきた。
佳代:フン~~~~、
佳代は渾身の力を込めるが、紗理奈もヤンキー魂で耐える。
意識を飛ばしそうになるが、意地でもタップはしない紗理奈。
ロープは後一歩、紗理奈が左足伸ばす。
しかし、紗理奈の左足は数cm届かず、その直後紗理奈は無念の表情を浮かべると失神してしまった。
『カーンカーンカーン』
グッタリと失神して倒れる紗理奈の横で勝者の佳代もバタリと倒れこんだ。
『勝者:納見佳代』
勝者のコールが告げられるが佳代は応える事が出来ずに、紗理奈と共に担架で控室まで運ばれた。
第四試合
壮絶な第三試合の後の第四試合も中々の好カード。
体格差もほぼ同じの両者に観客も好試合を期待している。
そしていよいよ選手入場だ。
『赤コーナー 168㎝ 84-58-85 杉元有美~』
有美は黒のスポーツビキニで登場してきた。
『青コーナー 168㎝ 84-57-84 山樫舞彩~』
舞彩は白のスポーツビキニでの登場だ。
リング中央に歩み寄ると互いの体を見合う両者。
有美は豊満なボディーを持つが舞彩は高校までは水泳の選手とあってサイズでは有美に勝ってそうだ。」
舞彩:他のアイドルさんだったら体のサイズだけで圧倒出来るんだろうけど、私が相手ならそうはいかないわよ。
有美:何年この世界でやってると思ってるのよ。リングの怖さを教えて上げるわ。
両者、熱い言葉を交わすとコーナーに戻って闘志を燃やしている。
『カーン』
第二回クイーンカップの一回戦最後の試合が始まった。
有美は自分のボディーの方がパワーがある事を証明するためにいきなり体当たりで舞彩を倒していった。
バタン、
いきなり倒された舞彩は怒っているようで、すぐに立ち上がって有美を睨み付けると舞彩も体当たりにいくと有美も体当たりで対抗する。
豊満なボディーを持つ美女同士の体当たり合戦になっていく。
パァァン、パァァン、パァァン、
リング中央で体をぶつけ合う両者。
有美と舞彩は手と手を取り合って力比べの体勢になった。
全力で押し合う両者だが、アスリート体型でガッチリしている舞彩が有美をロープ際まで押し込んでいく。
舞彩:力勝負なら負けないわよ。
レフリーはロープブレイクを指示するが、舞彩は有美のバストを張っていった。
バシィーン、
これには激怒する有美。
有美は舞彩の顔面に張り手を打っていく。
バシィ、
乗ったとばかりに舞彩も有美の顔面に張り手を打っていくと張り手合戦になっていく。
バシィ、バシィ、バシィ、
互いに頬を紅潮させながら張り手を打っていくが、次第に張り手合戦を仕掛けた有美がふらつき始めた。
舞彩はチャンスとばかりに膝蹴りを打って動きを止めるとブレーンバスターの体勢に入った。
有美も抵抗するが、舞彩はパワーを活かして有美をブレーンバスターで叩きつけた。
バターン、
フォールに入る舞彩。
『ワン、ツー、ス』
カウント2で返す有美。
舞彩は連続攻撃を仕掛けようと有美の髪の毛を引っ張って起こすと、バランスを崩してロープに降っていった。
返ってきた有美にラリアットを食らわせようとする舞彩だが、逆に有美のドロップキックで倒されてしまう。
有美はうつ伏せに倒れた舞彩にキャメルクラッチをかけていく。
舞彩は有美に指で鼻の穴を突っ込まされて鼻フックをかけられる屈辱を味あわされるが、懸命に耐えて体を揺すりながらロープに手をかけた。
序盤はパワーで主導権を握った舞彩だが、ここにきて有美がペースをつかみ始めた。
有美は舞彩が起き上がるとバックを取ってバックドロップの体勢に入るが、舞彩がすぐにロープを握って逃れた。
一旦離れる両者。
『ファイト』
スタンディングでファイティングポーズを取る両者は打撃戦を選択していく。
張り手とキックで相手を攻撃していくと、有美のミドルキックが舞彩のボディーにクリーンヒットした。
ボシュ、
思わず蹲る舞彩。
有美は舞彩を掴むとブレーンバスターの体勢になった。
舞彩が踏ん張れずに高々とリフトアップされてしまうとマットに背中から叩きつけられた。
バターン、
フォールに入る有美。
『ワン、ツー、』
カウント2で返す舞彩、有美は起き上がってコーナーによじ登るとボディープレスを放った。
ドン、
再びそのままフォールに入る有美。
『ワン、ツー、ス、』
又してもカウント2で舞彩が返す。呼吸が上がる舞彩。
有美は舞彩を起き上がらせるとジャーマンスープレックスの体勢に入るが、ここは舞彩がエルボーで凌いだ。
舞彩は流れを変えようと振り向きざまに喧嘩キックを撃つと、これが有美の顔面にクリーンヒットした。
バシィィーン、
顔を抑えて倒れ込む有美。
舞彩も一気に攻め込みたい所だが、有美の猛攻を受けて少し休んでいる。
仕切り直しとばかりに両者立ち上がって向かい合うと目が合った。
有美:折角だからパワーで捻じ伏せてやるわ。
舞彩:上等よ、もう生意気な口が利けないようにしてあげるわ。
お互い腰に手を回すとベアバック合戦に挑んでいく。
力を込めて相手を締め付け合う有美と舞彩。
有美の体が一瞬浮きそうになるが、有美は必死に踏ん張る。
美女同士が表情を険しくさせながらぶつかり合っている。
有美:んあああ~~~~、
今度は完全に有美の体が宙に浮いた。
有美は悔しそうな表情を浮かべるが、もう遅い。有美の体は舞彩のパワーで徐々にくの字に曲げられていく。
力勝負で負けた精神的なダメージも含めて痛めつけられていく有美。
舞彩は出来るだけ長くこの状態をキープしたいが、同じくらいの体格差なので長くはキープは出来ずに降ろしてしまった。それでもダメージは十分なようで腰を抑えて倒れ込む有美。
舞彩は勝負を決めようと有美を持ち上げるとコーナーの上に座らせた。舞彩もよじ登ると大技・雪崩式のブレーンバスターを仕掛けようとする。
有美は投げられまいと抵抗しているとコーナーの上で両者立ち上がって揉み合いになる。
不安定なコーナーの上での攻防は危険だが、省みずに手を取り合って押し合う有美と舞彩。
すると案の定両者は落下したが、舞彩が有美の下敷きになってしまった。
バターーン、
舞彩:ああぁぁぁ~~~
肩を場外のマットの上に強打して悶絶する舞彩。涙目になりながら痛がっている。
有美もダメージがあるようだが、こちらはふらつきながらもリングに戻った。
レフリーはアクシデントの落下だからと場外カウントもストップさせてドクターも向かわせた。
舞彩:あぁ~いったい~
肩を抑えて倒れ込む舞彩にドクターが試合続行するか聞いている。
舞彩:やるわよ、んあ、テーピングお願い。
ドクターは急いで舞彩の肩にテーピングを巻いていくと試合は続行されていく。
リングによろめきながら戻った舞彩だが、テーピングが痛々しい。
『ファイト』
有美は舞彩の腕を取ろうとするが、舞彩は嫌がっている。
しかし、舞彩も手を使わずに戦うのは不可能と仕方なく組み合っていくと有美の揺さぶりに想像以上に肩に痛みが走る。
舞彩:あ゛っ
有美は舞彩が痛がっているのに気付いて、いっきに倒して腕を取っていった。
腕を極められて苦悶の表情の舞彩。
有美は腕ひしぎから両腕を掴んで、サーフボードストレッチに移行していく。
舞彩:ぎゃあぁぁ~~~
有美は舞彩を座らせて後ろから両腕を掴むと右脚で舞彩の背中を踏みつけて体重をかけていく。
両肩にダメージがきて顔を歪める舞彩。
手をロックされているので、ギブアップするなら口で言うしかない屈辱的な状況に追い込まれている。
有美:早くギブアップしなさいよ、しないんならこうするわよ。
有美は舞彩の首を跨ぐと首筋にヒップを乗せて全体重を舞彩にかけていく。
(バキバキバキ)
舞彩は意地でもギブアップはコールしないが、両肩の辺りから変な音が聞こえたのでレフリーが慌てて試合を止めた。
『カーンカーンカーン』
「只今の試合、レフリーストップとします。勝者:杉元有美」
ギブアップのコールを奪えなかった有美は少々不満気だが、勝利には満足している。
一方アンラッキーな形で不利な状況に追い込まれた舞彩は悔しそうな表情を浮かべている。
舞彩の両肩に応急措置としてスプレーが当てられているが、汗をびっしょりかいて余りにも痛々しい。
これで第二回クイーンカップの準決勝進出者は藤原紀華、菜々央、納見佳代、杉元有美に4名に決定した。