総合格闘技ベルトの女王となったジゼルブンチャンは自らの防衛戦を普段、地下リングで使用するローブが張られた四角のリングではなく、金網で仕切られたオクタゴンで戦う事を主張してきた。
主催者も絶対女王の風格が漂うジゼルの意向に従い、オクタゴンのリングを用意するとそれに伴ってエキシビジョンマッチもオクタゴンのリングで行われる事になった。
こうして“ジゼルプロデュース”のシリーズが始まった。
エキシビジョンマッチは4試合組まれており、1試合目は石河恋VS池畑忍と地下リング初参戦同士の対決となった。
デビュー戦と言っても恋が23歳、忍が33歳と差がある組み合わせとなっている。
『赤コーナー 165cm 83-56-83 石河恋~』
恋は白のビキニを着てオープンフィンガーグローブを装着して登場してきた。
うっすらと割れた腹筋が総合格闘技仕様に見えて観客もファイトに期待している。
『青コーナー 173cm 85-58-86 池畑忍~』
忍は黒のビキニにオープンフィンガーグローブを着けて出てきた。
高身長の忍は恋を見下ろして睨み付けると場内が緊張に包まれる。
『カーン』
ゴングが鳴るとファイティングポーズをとって構える恋と忍。
デビュー戦とあってやや緊張しているのか動きが少なく静かな立ち上がりとなっている。
忍は時折ローキックを打って恋の脚を削ろうとするが、恋は状況を打開しようとタイミングを計ってタックルで忍を倒していった。
静かな立ち上がりから一転して見事なタックルが決まると歓声が上がる場内。
恋は馬乗りになると上から忍の顔面にハンマーパンチを振り落としていく。
バキィ、
鈍い音が場内に響くと忍は表情が歪むが、恋の両手を掴んで攻撃を防いでいる。
恋は忍の手を振り払おうとするが、忍も離さずに粘っていると動きが止まっていく。
レフリーも膠着して互いに攻撃が無いと判断して一旦試合を止めてスタンディングでの試合再開を指示した。
恋:何でなのよ、私の方が有利な展開だったでしょ!
レフリーの指示に従いながらも不満を露にする恋。
一方の忍は殴られた顔を気にしながらも立ち上がると試合再開に備えている。
『ファイト』
試合が再開されると恋は再びタックルを仕掛けていくが、忍は今度は準備していたのか懐深く受け止めると逆に上から押し潰していった。
忍はうつ伏せになる恋のボディーにパンチを打ち込んでいく。
ドス、
恋:あうぅ、
ボディーを叩かれて呻き声を上げる恋。
忍はポジションをキープして恋のボディーにパンチを打ちたいところだが、恋は下から忍を突き上げると忍はバランスを崩してひっくり返されてしまった。
恋は追いかけて上に乗ろうとするが、忍も抵抗するとグラウンドの攻防になっていく。
優位な体勢を奪おうと必死になる両者だが、互いに相手の手を掴んでロックし合う様になると徐々に動きが無くなっていく。
するとレフリーは両者共に攻め手が無いからと再び試合を止めてスタンディングで再開する様に指示を出した。
立ち上がると荒くなっている息を整える忍と恋。
『ファイト』
試合が再開されると恋は少し落ち着こうとタックルを狙うのを止めてファイティングポーズをとって忍の様子を見ている。
一方の忍は恋よりは余裕があるのか時折ジャブを打って攻撃の機会を探っている。
バシッ、
忍のパンチが恋の頬を叩くと恋はふらついている。
忍はチャンスと見てハイキックで恋の側頭部を狙っていくが、これは何とかガードする恋。
続けて忍は恋の顔面にパンチを打っていくが、恋はこれもガードして防ぐとカウンターのパンチを忍の顔面に打っていった。
バキィ、
恋のパンチが忍の顔面にヒットすると今度は忍がふらついている。
攻守交代とばかりに恋は忍の顔面にもう一発パンチを打っていった。
バキィ、
忍:んっ、
恋のパンチを顔面に喰らって呻き声を上げて鼻血を吹き出す忍。
恋は後退を余儀無くされる忍を追いかけていくとボディーにミドルキックを打っていった。
バシィ、
ボディーを蹴られて動きが止まる忍。
恋は忍にタックルを仕掛けていくとバランスを崩して大の字に倒れる忍。
恋がマウントポジションを奪うと忍は恐怖した表情を浮かべるが、恋は容赦なく忍の顔面にハンマーパンチを振り落としていった。
バキィ、
忍:んん~~、
ガードが間に合わずに恋のハンマーパンチがヒットすると辛そうな表情になって悲鳴を上げる忍。
もう顔にダメージは受けたくないからと必死にガードを固める忍だが、恋は忍のガードの隙間からパンチを振り落としていく。
バキ、バシィ、
既に鼻血を吹き出している忍だが、恋のパンチで更に流血させられていく。
年下の若手グラビアアイドルに顔面を破壊される屈辱を味合わされる忍。
恋:オバサン、もう無理しない方がいいわよ。限界来てるんじゃない?
忍:・・・
バキ、バキ、バキィ、
恋の挑発にも言い返せない忍は恋のパンチの雨に顔を血塗らせて意識を飛ばしている。
『カーンカーンカーン』
レフリーはこれ以上は危険だと判断してゴングが要請された。
『勝者:石河恋』
恋はゴングが鳴っても興奮してるからか忍の顔面を殴り続けていると黒服に止められてようやく忍の顔面を殴るのを止めた。
長身の忍を葬っての恋の勝利に観客も驚いている。
しかし、恋は自分の実力ならば当然とばかりにガッツポーズをして見せると、担架で運ばれる忍を見送ってから堂々とリングを後にした。