クイーンタッグベルトに続いてもう一つ新設された総合格闘技ベルトの初代女王を決めるタイトルマッチが行われる。
今まで無かったのが不思議なベルトだが、主催者が現在来日しているジゼルブンチャンの得意種目が総合格闘技という事でお金を稼ぐために新設したようだ。
ジゼルの参戦が決まると猛然と手を挙げたのは藤原紀華だった。
栄えある初代女王を黒船に奪われまいとNo.1女優として名乗りを上げてきた。
注目の一戦だけに記者会見が行われる。
《記者会見》
既に紀華とジゼルは長テーブルの両端に座っていて真ん中には主催者が座っている。
腕を組んで睨み合うジゼルと紀華。
すると主催者よりもすぐにジゼルがマイクを取った。
ジゼル:K-1やアルティメットバトルの様なお遊びと違って本当の実力が問われる総合格闘技のベルトが日本にも出来て嬉しいわ。私の異次元の実力を見せてあげるから日本のファンは楽しみに待ってなさい。
ジゼルが話し終えると紀華がすかさず反論してきた。
紀華:初代女王の座をあなたの様な外国人に渡す訳にはいかないわ。
ジゼル:紀華、ユーが日本ではNo.1らしいけど、40超えたオバさんがNo.1なんて日本も終りね。
紀華:口が過ぎるわよジゼル。私が強すぎるのよ。
ジゼル:チビで貧相な体のクセに調子に乗るんじゃないわよ。
紀華:生意気なのはそっちよ。見なさい、私のボディーを。
紀華はそう言うとドレスを脱ぎ捨ててランジェリー姿になって自慢の紀華ボディーを見せつけている。
記者からは驚きの声が上がるが、ジゼルも同様にドレスを脱ぎ捨てた。
記者:!!!
元スーパーモデルのジゼルのランジェリー姿に驚愕する記者陣。
ジゼル:オバさん、無理しない方が良いわよ。私は世界レベルのボディーなんだから。
記者の反応で圧勝したジゼルは身長差が10cm程ある紀華を見下ろすと満足そうに会見場から去っていった。
屈辱を味わった紀華は試合で雪辱する事が出来るか!?
《試合当日》
記者会見での因縁もあり超満員に膨れ上がる場内は既に熱気に包まれている。
『赤コーナー 180㎝ 89-59-89 ジゼルブンチャン~』
ブラジル人のジゼルはカナリアイエローのビキニを着てオープンフィンガーグローブを着けて登場してきた。
褐色の肌に黄色のビキニが合っていてパーフェクトボディーに歓声が上がっている。
『青コーナー 171cm 88-60-89 藤原紀華~』
反対側の登場ゲートから紀華がストロングスタイルの黒のビキニを着て出てきた。
オープンフィンガーグローブを叩きながら気合いが入っている。
対角線のコーナーに肘を掛けて睨み合うジゼルと紀華。
『カーン』
総合格闘技ベルトの初代女王を決める一戦が今始まった。
ファイティングポーズをとって小刻みにステップを踏みながら攻撃の機会を伺う両者。
紀華は打撃で勝負しようとするが、ジゼルは組み合おうとしている。
バシ、バシ、
紀華は狙い通りにパンチでジゼルの顔面を捉えるが、ジゼルは強引に紀華の腕を掴まえると取っ組み合いに持っていった。
紀華も押し返そうとするが、ジゼルは長い脚で紀華の脚を刈っていくと紀華を倒してサイドポジションを奪うとボディーに膝蹴りを打ち込んでいく。
ドス、
紀華:うぐぅぅ、
筋肉の無い所を突かれて呻き声をあげる紀華。
ジゼル:自慢のボディーはどうしたのかしら?
ジゼルは紀華を押さえ付けるともう一発膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュュ、
紀華:あうぅぅぅ、
口をパクパクさせて悶絶する紀華。
ジゼルは紀華の動きを止めると易々とマウントポジションを奪っていった。
紀華も脱け出そうと必死に抵抗するが、ジゼルの腕力に押さえ付けられて動きがとれない。
紀華は痛めつけられたボディーに乗られるとそれだけで痛そうにしている。
ジゼルが紀華の顔面にパンチを振り落としていくと紀華は懸命にガードを固めている。
バキ、バキ、
固くガードをする紀華だが、ガードの上からでも破壊力のあるパンチに鼻血を吹き出す紀華。
観客も女帝・紀華が防戦一方になる姿に驚いている。
バキ、バキィ、
ジゼルがハンマーパンチを振り落とす度に紀華は顔を歪めているが、このままではやられてしまうと下からジゼルに抱き着いてパンチを打たせない様にして試合を止めていく。
しばらくするとレフリーが両者に一旦離れてスタンディングから試合を再開する様に指示を出した。
立ち上がった紀華だが、呼吸が荒くなって顔も腫らしている。
『ファイト』
試合が再開されるとジゼルは一気に勝負を決めようと猛然と前に出てくると紀華も手負いの肉体に鞭を打って迎え撃つ。
バシ、バシィ、
激しく顔面を殴り合う紀華とジゼル。
紀華はガードを固めながらもハイキックをジゼルの側頭部に打っていった。
バシィ、
ジゼルも予想していなかった様で、紀華のハイキックをまともに喰らうとややふらついている。
チャンスと見た紀華はすかさずタックルでジゼルを倒していった。
仰向けに倒されるジゼル。
すると紀華はジゼルの右腕をとって腕ひしぎを極めていった。。
ロープブレイクが無い中で紀華の腕ひしぎが極って紀華の逆転勝利を期待する観客。
ジゼルも顔を歪めて痛そうな表情になると紀華は勝負を決めようと必死に締め上げていく。
しかし、ジゼルは強引に体を起こすと左手で右腕を掴んでロックすると紀華の腕ひしぎを防いで見せた。
膠着状態になると再び試合を止めるレフリー。
スタンディングからの再開を指示すると立ち上がるジゼルと紀華。
ジゼルは右腕を気にしながらも鋭い目付きになってファイティングポーズをとっている。
一方の紀華もびっしょりかいている汗を拭いながら構えている。
『ファイト』
試合が再開されるとジゼルは腕ひしぎをかけられた事に腹を立てているのか前に出てきた。
紀華の顔面を殴ろうとするジゼルだが、紀華も徐々に慣れてきた様で、ガードをしてからカウンターでジゼルの顔面にパンチをヒットさせていった。
バシ、
顔を殴られて益々頭に血が上るジゼル。
紀華はペースを掴んでくるとミドルキックをジゼルのボディーに打っていくが、ジゼルは蹴られながらも紀華の右脚を掴むと引き付けて紀華のボディーにパンチを打っていった。
ボシュ、
紀華:おえぇ~~、
ジゼルの強烈なパンチに悶絶する紀華。
ジゼルは一撃で流れを変えるとそのまま紀華を押し倒していった。
マウントポジションを奪おうとするジゼルだが、紀華もそれは避けたいと激しいグラウンドの攻防になっていく。
しかし、体格差からジゼルが紀華を組み伏せるとマウントポジションを奪っていった。
再びマウントポジションを獲ったジゼルは紀華を押さえ付けてハンマーパンチを紀華の顔面に振り落としていく。
バキ、バキィ、バキィ、
紀華:あうぅぅ、
必死にガードする紀華だが、ジゼルのハンマーパンチを防ぎきれずに重たいハンマーパンチを喰らう度に呻き声を上げている。
何とか脱け出したい紀華だが、ジゼルはバランスをキープして脱出を許さずに、逆に紀華のガードに隙が出来るのを待っている。
ガンッ、
紀華:あああぁぁ~~~ん、、
ジゼルの破壊力のあるハンマーパンチが紀華の額にクリーンヒットすると額がパックリと割れて流血している。
紀華はあまりの激痛に泣きそうな表情になりながら悲鳴を上げている。
まだマウントポジションを奪われている事に恐怖する紀華。
ジゼルはガッチリと状態をキープしたまま紀華の顔面を破壊すべくパンチを振り落としていく。
バシィ、バキィ、バシィ、
紀華のガードも関係無くジゼルがハンマーパンチを打ち込むと紀華は顔面を殴られる度に体を震わせている。
意識が朦朧とする紀華の顔はジゼルにボコボコに殴られて大流血を起こしている。
バキィ、バキィ、バキィ、
返り血を受けながらも紀華の顔面を殴るジゼル。
『カーンカーンカーン』
紀華の反応が無くなっているので、遂にレフリーがゴングを要請した。
衝撃的な圧殺劇に驚愕する観客。
『勝者:ジゼルブンチャン、よって初代総合格闘技ベルト女王はジゼルブンチャン!』
コールを受けるとジゼルは貫禄たっぷりに立ち上がると失神して白眼を剥いている紀華の顔面を踏みつけて見せた。
地下リングの女帝・紀華の無惨な姿に観客も動揺している。
するとジゼルはマイクを要求した。
ジゼル:日本のNo.1ですらこの様!全然大した事無いわ!今日の試合を見てそれでも私に挑戦する根性がある奴がいるんだったら出てきなさい、叩きのめしてやるわ!
ジゼルはそう言うとマイクを叩きつけて代わりに受け取ったベルトを肩に掛けると悠々とリングを去っていった。
リングに残された紀華は立ち上がる事が出来ずに担架で運ばれていった。
会場に見に来ている女優、アイドルも今の話を聞いているはずで日本の地下リングの威信を賭けて名乗りを上げる者がいるはずだ。