第6試合
準決勝第2試合は朝日奈彩VS藤原紀華となった。
1回戦で蒼野楓を倒した彩は勢いに乗っていて、今度は兵庫の大先輩の紀華に挑む事になった。
紀華も楓に勝利した彩を警戒しており、簡単な試合にはなりそうもない。
『赤コーナー 171cm 80-58-83 朝日奈彩~』
彩は赤のグローブに赤のパンツで登場してきた。
『青コーナー 171cm 88-60-89 藤原紀華~』
紀華は黒のグローブに黒のパンツで出てきた。
40を越えても尚、筋肉質なボディーを保つ紀華だが、彩も陸上で鍛えたボディーを誇っている。
互いのボディーを見て警戒し合う彩と紀華。
『カーン』
試合が始まるとファイティングポーズをとりながらゆったりと試合に入る紀華と彩。
不用意に前に出られないと互いに警戒しているが、経験に勝る紀華が先にミドルキックを打っていった。
バシ、
彩のボディーにヒットすると紀華のパワーに驚く彩。
しかし、紀華も彩のボディーにあまりダメージを与えられてないと感じている。
彩は紀華の顔面にパンチを打っていくが、これはガードする紀華。
すると紀華は再びミドルキックを彩のボディーに打っていく。
バシィ、
彩:うっ、
今度は強振した紀華のミドルキックに彩は思わず呻き声をあげる。
彩は自分も攻めなければとミドルキックを打ち返していった。
バシィ、
紀華:あうぅ、
コンパクトな振りながらも強烈なミドルキックを喰らった紀華も苦しそうな表情を浮かべている。
彩は続けてハイキックを打っていくが、間一髪で避ける紀華。
彩の体勢がやや崩れると紀華は彩の顔面にパンチを打っていく。
バキ、
紀華のパンチが彩の顔面にのめり込む様にしてヒットすると表情を歪める彩。
紀華はチャンスと見て彩の顔面にもう1発パンチを打とうとするが、彩はガードして防ぐとカウンターのミドルキックを打っていった。
ボシュ、
紀華:うげぇ~~、
無防備な紀華のボディーに決まって紀華は踞りかけている。
彩は動きが止まった紀華の顔面にパンチを連打していくと紀華は必死にガードを固めるが、コーナーに追い込まれていく。
紀華を後退させる彩の破壊力のある攻撃にどよめく場内。
コーナーに追い詰められた紀華は彩のラッシュを受けて口唇を切って、目も虚ろにさせている。
『カーン』
ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
終盤はサンドバック状態にされていた紀華はゴングに救われた格好になった。
一方の彩は女帝・紀華を押し込んだ1ラウンドに手応えを感じている。
『カーン』
2ラウンドが始まった。
ファイティングポーズをとって距離を詰める紀華と彩。
紀華は盛り返そうとミドルキックを彩のボディーに打っていくと彩も紀華のボディーにミドルキックを打ち返していく。
バシ、バシ、
互いに1発ずつ打ち合うと彩は紀華の顔面にパンチを打っていくが、紀華はガードすると彩の顔面にカウンターのパンチを打ち返していった。
バキィ、
彩:ああぁぁ、
紀華の強烈なパンチに思わず呻き声をあげる彩は鼻血を吹き出している。
ファイティングポーズは崩さない彩だが、明らかに流れ出る鼻血に動揺している。
紀華はもう1発彩の顔面にパンチを打っていくが、これはガードする彩。
しかし、紀華の重たいパンチに後退させられる彩。
紀華は一気に攻め込もうとするが、彩も前蹴りで距離をとっている。
彩の前蹴りで近付けない紀華。
彩は1ラウンドで攻撃した顔を攻めようとハイキックを打っていくが、紀華が避けて空振りに終わると逆に紀華がパンチで彩の顔面を殴っていった。
バキィ、
強烈な右ストレートを喰らってふらつく彩。
紀華は畳み掛けようとラッシュをかけていくが、彩もガードをしてからカウンターのミドルキックを打っていった。
バシィ、
紀華:あうぅ、
彩の鋭いミドルキックに呻き声をあげる紀華。
彩は動きが止まった紀華にハイキックを打っていく。
バシ、
何とかガードが間に合う紀華だが、ガードの上からでも威力のある彩のハイキックを喰らってよろめいている。
形勢逆転とばかりに前に出てくる彩だが、紀華も盛り返そうとパンチを打っていく。
バシ、バシ、バシィ、バキィ、
激しく打ち合う彩と紀華。
『カーン』
2ラウンド終了のゴングが鳴って打ち合うのを止めると両者共に肩で息をしている。
彩:ハアハアハアハアハアハア、
紀華:ハアハアハアハアハアハア、
鼻血が一層酷くなる彩だが、紀華も年齢からくるスタミナ切れのせいか汗をびっしょりとかいている。
両者はセコンドでそれぞれ手当てを受けているが、もう試合が再開されるからとリング中央へと向かった。
『カーン』
決勝進出を賭けた運命の3ラウンドが始まった。
ファイティングポーズをとって睨み合う紀華と彩。
ここまで互角の戦いだけに判定になるにしても疲労困憊の中、攻めなければならない。
ミドルキックを打っていく彩。
しかし、紀華は避けると彩の顔面にパンチを打っていく。
バシ、
ガードする彩は又してもミドルキックを打ち返していった。
バシ、
一進一退の攻防を繰り返す彩と紀華。
彩のキックにもまだ威力があるが、それ以上に彩は紀華の顔面へのパンチを嫌がっている。
バキ、バシィ、
紀華は彩が嫌がっているのを分かっているので、パンチを彩の顔面に集めていくと紀華のパンチを受ける度に彩の鼻血が酷くなっている。
バシィ、
彩:ぶへぇ、
紀華の右ストレートが彩の顔面にグリーンヒットすると思わず顔を抑える彩。
若手女優の顔面を潰しにかかる紀華の攻撃に盛り上がる観客。
コーナーに追い詰められる彩は徐々に手数も減ってきて防戦一方になっている。
紀華は一撃を狙うというよりはコンパクトな振りで彩の顔面を押し潰していく。
ガン、バキ、
顔を鼻血で真っ赤にさせる彩は必死にガードするが、紀華のパンチがヒットされ続けると遂に耐えきれなくなって倒れ込んだ。
リングに這いつくばる彩は必死に起き上がろうとするが、顔を殴られ続けて意識を朦朧とさせている。
『カーンカーンカーン』
カウントが10数えられると試合終了のゴングが鳴らされた。
『勝者:藤原紀華』
新鋭の彩を叩き潰しての勝利に拳を突き上げてガッツポーズをする紀華。
序盤、押し込まれながらの逆転勝利に先輩の意地を見せた格好となった。
一方、敗れた彩だが、紀華相手に健闘を見せて観客からも拍手が送られており、期待の高さが伺える。
紀華は決勝戦に備えて足早に控室へと戻っていった。