決勝戦
第7回Kー1ビューティーマックスの決勝戦が行われる。
対戦カードは金城麻央と青樹愛で、奇しくも今大会最も小さな選手と最も大きな選手の対決となった。
麻央は準決勝で地下リングのKー1最多勝を上げている香理奈を破っての決勝のリングとなる。
一方の愛は前回女王の蒼野楓に能勢あんなといった実力者に勝利しての決勝進出してきた。
厳しい道程を経て大舞台に立った両者だが、ダメージの蓄積は小柄な麻央の方が大きそうだが、果たしてどうなるか?
『赤コーナー 156cm 金城麻央~』
麻央は赤のグローブに黒のパンツを履いて出てきた。激闘から顔や体に痣が見えている。
『青コーナー 173cm 青樹愛~』
愛は青のグローブに紺色のパンツで登場してきた。相手が疲労した小柄な麻央だけに早くも優勝トロフィーを掲げるイメージをしている。
『カーン』
ゴングが鳴るとファイティングポーズをとる麻央と愛。
麻央は相手が長身の愛なので、準決勝の香理奈戦と同様に距離を詰めたいところだが、自らがダメージを負っているのと元トップアスリートの愛のパワーを警戒して中々前に出れない。
図らずも間合いが長くなる両者。
すると愛は踏み込んでミドルキックを打ってきた。
バシィ、
遠距離でも十分に届く愛のキックに驚く麻央。
愛はこの距離の方が麻央の打撃を受ける心配が無く、自分の打撃をヒットさせれるので、好都合だと感じている。
ミドルキックを連打する愛。
バシ、バシ、
長い脚が伸びてきて麻央の体に確実にヒットされると麻央は自分も攻撃出来るポジションに行かなければと距離を詰めざるをえなくなる。
慎重に間合いを詰める麻央だが、むしろ愛は接近戦で打ち合うのを歓迎している。
バシ、バシィ、
愛は麻央が自分の間合いに入ってくるや否や鋭いワンツーパンチを浴びせていく。
強烈なパンチを喰らって麻央は頬を紅潮させているが、ここまで来たら引けないとパンチを愛の顔面に打ち返してく。
バシ、バシ、バキ、
身長差はあるものの顔面を殴り合う麻央と愛。
麻央は香理奈戦と同様にコンパクトな振りで愛の顔面にヒットさせていくが、手数は少ないものの愛が破壊力のあるパンチを身長差を活かして上から麻央の顔面に打ち込んでいくと思わず表情を歪める麻央。
バキィ、
麻央:ああぁぁ、
愛の強烈なパンチが麻央の顔面に振り落とされると呻き声を上げる麻央。
愛は体勢が崩れかかった麻央の側頭部にハイキックを打っていった。
バキィ、
強力なハイキックに崩れ落ちる麻央。
圧巻のダウンに衝撃を受ける観客。
愛は軽くガッツポーズしてみせると自陣コーナーに落ち着いて戻った。
一方の麻央はパワーの差に驚いているが、何とかロープにすがりつきながらも起き上がるとファイティングポーズをとった。
『ファイト』
麻央のガッツに歓声が上がるが、愛は猛然と襲いかかっていく。
必死にガードを固める麻央だが、愛はお構いなくパンチやキックを麻央に打っていく。
バシ、バキ、
前に出てくる愛だが、麻央も勝負所と分かっているのか苦しいながらもカウンターのパンチを愛に打ち返していく。
愛:小さいんだからあまり無理しない方がいいわよ。
麻央:うるさい!身長は関係ないんだから。
愛の挑発に言い返す麻央。
舌戦以上に激しくなるパンチの応酬。
バシ、バシィ、バキィ、
同じように顔面を殴り合う愛と麻央だが、いつの間にか麻央の顔面に痣が出来てきて鼻血も吹き出している。
パワーの違いか自然と顔面をボコボコにされていく麻央。
麻央は愛の強打に意識を朦朧とさせてきたのか手数が減りガードも下がってくると愛は麻央をサンドバックの様にしてラッシュをかけていく。
バシィ、バキィ、バキィ、
麻央は口を開けてマウスピースを吐き出すと全く抵抗出来ずに愛にボコボコにされていくだけになっていく。
バキィィ、
愛が右脚を振り上げるとハイキックが麻央の側頭部に再びクリーンヒットした。
ひとたまりもなく倒れる麻央。
『カーンカーンカーン』
白目を剥いて倒れこむ麻央。
『勝者:青樹愛、よって第7回K-1ビューティーマックス女王は青樹愛!』
2回目の挑戦にして優勝を果たした愛は悠々と主催者からトロフィーを受け取ると豪快なKOに沸く観客に掲げてみせた。
一層の大歓声に包まれる場内。
3戦連続のKo勝利に加えて準決勝、決勝は圧巻の1ラウンドKoに試合時間の短さの不満よりも豪快なKOに対する声援が場内を支配している。
愛は元トップアスリートとして優勝は当然とばかりに余裕のガッツポーズをしている。
一方の敗れた麻央は意識を取り戻すも圧倒的な実力差を認めるしかない。
第7回K-1ビューティーマックスを制した愛はパワーを見せつけての優勝に満足しながらリングを去っていった。