第4試合
第7回K-1ビューティーマックスの1回戦最後の試合は屈指の好カード。
元トップアスリートの青樹愛と前回女王の蒼野楓の対決。
連覇を目指す楓としては強敵・愛が相手といえども負けられない一戦になる。
『赤コーナー 173cm 青樹愛~』
愛は紺色のパンツに赤のグローブで登場してきた。
観客は元トップアスリートのボリュームのあるボディーに歓声を上げている。
『青コーナー 169cm 蒼野楓~』
楓は青のパンツに青のグローブで登場してきた。
堂々たる体格の楓は愛にも劣らないボディーを誇っている。
対角線のコーナーから睨み合う愛と楓。地下リングに慣れている両者は貫禄たっぷりだ。
『カーン』
激戦の予感が漂うゴングが鳴った。
ファイティングポーズをとって向かい合う愛と楓。
空手をバックボーンに持つ楓に対して愛は元トップアスリートの経歴に加えて最近になってキックボクシングを習い始めて凄味を増している。
バシ、バシ、バシィ、バシ、
互いに実力に自信があるのか序盤から激しく打ち合ってい楓と愛。
楓はハイキックを打っていくが、これはガードする愛。
すると愛もパンチで楓の顔面を狙っていく。
バシ、
しっかりガードする楓だが、ガードの上からでも威力のあるパンチに驚いている。
しかし、楓も愛の顔面にパンチを打ち返していく。
バシ、
楓のパンチが愛の顔面を捉えるとふらつく愛。
更に楓がハイキックを打っていくと必死にガードを固める愛。
バシィ、
愛がガードするもガードを叩いた楓のハイキックが凄まじい音を立てて観客は沸いている。
一気に行こうとする楓だが、愛もキックボクシングを習っていてテクニックもあるのかガードをしつつもカウンターでパンチを返して攻め込ませない。
それでも一撃の威力に自信がある楓は再びハイキックで愛の頭部を狙っていくが、今度はガッチリとガードする愛は逆にミドルキックで楓のボディーを叩いた。
バシィ、
楓:うぅぅ、
空手で鍛えた楓のボディーも愛のパワフルなキックの威力に耐えきれず、呻き声を上げている。
愛は効いていると感じた様で、パンチを楓のボディーに集めてラッシュをかけていく。
バシ、ドス、ボシュ、
必死にガードを固める楓だが、愛の連打を受けて思わずマウスピースを吐き出してしまった。
愛のパワーに焦る楓だが、意地になって愛の顔面にパンチを打ち返していった。
バキ、
楓の鋭いパンチにふらつく愛。
楓は押し返したいところだが、ボディーのダメージが思っているよりも重くすぐに前に出れない。
すると愛も体勢を立て直してきた。
『カーン』
ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
愛は倒せなかったものの効果的な打撃を打てて手応えを感じている。
一方の楓は顔面への強打は効いているものの攻め手に欠いており、険しい表情を浮かべている。
『カーン』
両者が再びリング中央に戻ると2ラウンド開始のゴングが鳴った。
パワーを活かしたい愛は距離を詰めようとするが、楓はローキックを打って近付かせない。
バシ、バシ、
楓のローキックが愛の太ももにヒットすると愛は嫌がっている。
しかし、愛もそれならばとローキックを楓の太ももに蹴り返していく。
バシ、バシ、
容易にヒット出来るため、いつの間にかローキックの蹴り合いになっていく楓と愛。
バシ、バシ、バシ、バシ、
シンプルな技だが、パワーのある両者のローキックに愛と楓は太ももを真っ赤にさせている。
時折表情を歪める楓と愛。
愛は角度を上げてミドルキックを打っていった。
バシィ、
筋肉質な愛の脚が楓のボディーにヒットすると楓は苦悶の表情を浮かべるが、楓もアッパー気味のパンチで愛のボディーを突き上げていく。
ドス、
ヒットするが、愛は腹筋を入れて耐えると楓のボディーに膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュュ、
楓:うげぇぇ、
愛の膝が楓のボディーに突き刺さると楓は踏ん張る事が出来ずに、マウスピースを吐き出してお腹を抱えながら座り込んでしまった。
会心の一撃に思わずガッツポーズが出る愛。
楓は泣きそうな顔になっているが、何とか堪えると立ち上がってファイティングポーズをとった。
『ファイト』
楓の根性に歓声が沸き起こる場内。
愛が一気に試合を決めようと距離を詰めていくと楓は前蹴りを蹴って距離をとろうとする。
しかし、愛は離れていても長い脚を活かしてミドルキックで楓のボディーを狙っていく。
バシ、
距離があっても確実に楓のボディーを捉えてくる愛のミドルキック。
楓は愛の攻撃範囲の広さに驚いている。
愛は楓が攻めて来ないので、勢いに乗ってミドルキックを楓のボディーに打っていく。
バシ、バシィ、
愛の強打に思わずガードを固めざるをえなくなる楓。
前蹴りが無くなってきたので、かえって愛は攻めやすくなって楓をコーナーに追い込んでいく。
バシ、バシ、ドス、
逃げ場が無くなった楓のボディーにパンチを打ち込んでいく愛。
楓は額に汗をびっしょりとかいて苦悶の表情を浮かべながらも耐えている。
『カーン』
何とか耐えきった楓は2ラウンド終了のゴングに安堵している。
愛は完全に流れを掴んでガッツポーズをしてアピールしながら自陣コーナーに戻った。
一方の楓はダウンを喫して厳しい状況になっているが、まだまだ前回女王の闘志は衰えず、最終ラウンドに全てを賭ける覚悟を固めている。
『カーン』
雌雄を決する最終ラウンドが始まった。
ボディーに所々に青紫色の痣が出来て劣勢の楓だが、逆転を賭けて体に鞭を打って前に出てきた。
バシ、
楓がいきなりハイキックを打っていくと愛は予測していなかった様で、ガードしきれずに側頭部を掠める様にしてヒットした。
少しふらつく愛。
楓はもう一発ハイキックを打っていくが、これは何とかガードする愛。
しかし、楓は攻勢を緩めずに愛の顔面にパンチを打っていく。
バシィ、バキ、
楓の強打を受けて頬を紅潮させて表情が険しくなる愛。
愛はガードを固めて立て直そうとするが、楓のパンチが愛の顔面を襲っている。
バシィ、バシ、
目を虚ろにさせる愛。
楓は今度こそとハイキックを打っていくが、愛は避けると渾身のハイキックが空振りに終わり、無念の表情を浮かべる楓。
すると愛は体勢が崩れた楓のボディーにカウンターのパンチを打っていった。
バシィ、
楓:うっ、
一発で呻き声を上げる楓。元々ダメージを負っていただけにボディーの打撃は辛いところだ。
愛は動きが止まった楓のボディーにもう一発パンチを打っていく。
ボシュ、
一瞬呼吸が止まりそうになって踞りかける楓。
愛は体勢を建て直して形勢逆転と攻勢に出ると無論楓のボディーにターゲットを絞っていく。
素早く楓の青紫色の痣が出来たボディーにパンチを連打する愛。
バシ、ドス、ボシュ、
ガードが間に合わずに苦悶の表情を浮かべる楓はコーナーに追い込まれていく。
逃げ場が無くなった楓は打ち返そうとするが、愛のアッパー気味のパンチが立て続けにボディーにヒットして苦悶の表情を浮かべる楓。
すると愛は楓のボディーに突き刺す様にして膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュュュ、
楓:あうぅ~~、
串刺しにされる楓のボディー。
楓は悶絶してマウスピースを吐き出して脚をプルプルと震わせているが、意地でもダウンはしない。
しかし、完全に動きが止まって逃げ場が無い楓に愛はラッシュをかけていく。
ドス、バシ、バシ、ボシュ、
愛の猛攻にグロッキー状態になる楓。
愛はフィニッシュを決めようと再び突き上げるようにして楓のボディーに膝蹴りを打ち込んでいった。
ボシュュュ~、
楓:グエェェ~~、
蹲りそうになりながら口から黄色い液体を吐き出す楓。
楓は耐え切れずに必死にクリンチしようとするが、間に合わずに膝から崩れ落ちてしまった。
愛に跪く様にして屈辱のダウンを喫した楓は内臓を蹴られまくって最早起き上がる事が出来ない。
『カーンカーンカーン』
勝利のゴングにガッツポーズをする愛。
『勝者:青樹愛』
前回女王を撃破しての初戦突破に元トップアスリートの愛といえども安堵している。
観客も激しい打ち合いを制した愛に歓声を送っている。
一方の楓は前回女王として一回戦負けという結果に悔し涙を流しているが、楓にも激戦を演じたとあって労いの拍手が送らている。
これで金城麻央、香理奈、能勢あんな、青樹愛とベスト4が出揃った。
インターバルを挟んでいよいよ準決勝が始まる。