5日目・第3試合
4戦4KOで、5戦5KOの完全優勝を目指す香理奈と2勝2敗でKー1ベルト女王として勝ち越しを賭けて戦う紀華の戦い。
既に優勝は決まっているものの並々ならぬ気合いを込めて戦う両者の控え室の様子を覗いてみた。
《香理奈・控え室》
全試合KO勝利を狙う香理奈は明るい様子で気合いを入れている。
香理奈:絶対勝つわよ~、
香理奈は準備に余念が無く、K-1の試合ではいつもの様に両手両足に濃いブルーのネイルを塗るとお気に入りのブルーのグローブを手に取って体をウォームアップさせて試合に備えている。
《紀華・控え室》
紀華にはKー1ベルト女王のプライドがある。
絶対に勝ちたい紀華は必勝を期して気合いの入ったウォームアップをしている。
《試合会場》
地下リングを代表するKー1ファイターである香理奈と紀華の一戦とあってリーグ戦の行方とは関係なく観客は楽しみにしている。
ここまで地下リングでK-1ルールで13勝2敗(12KO)の香理奈と10勝3敗(5KO)の紀華の一戦。
『赤コーナー 171cm 88-60-89 藤原紀華~』
紀華は赤のグローブ、黒のパンチで出てきた。グローブをパンと叩いて気合い充分だ。
『青コーナー 176cm 80-58-88 香理奈~』
香理奈は青のグローブ、青のパンツを履いて登場してきた。紀華相手だが、自信満々だ。
睨み合う両者。
『カーン』
香理奈と紀華はフェアにグローブを合わせてから試合が始まった。
紀華の方が意欲的で、動きながらパンチを打って香理奈の様子を探っている。
一方の香理奈は余裕があるのか、ガードをしながら落ち着いて試合に入っている。
攻める紀華に守る香理奈。
バシィ、
上手く紀華の攻撃をガードしていた香理奈だが、紀華の左フックを顔面に受けてしまう。
ガードが緩くなった香理奈にチャンスと見た紀華はパンチを香理奈の顔に打っていくと後退を余儀無くされる香理奈。
ボシュ、
しかし、前のめりになった紀華のボディーに香理奈はカウンターのミドルキックをヒットさせていった。
動きが止まる紀華。
香理奈は攻守交代とばかりにもう一発紀華のボディーにミドルキックを打っていく。
バシィ、
キックでリズムを掴んだ香理奈はパンチを顔面に打っていく。
バキィ、
紀華:あうぅぅ~、
香理奈の連続攻撃に思わず呻き声を上げる紀華。
香理奈は更に攻撃しようとするが、紀華はこれ以上喰らってはとクリンチしてきた。
既に汗をビッショリかいている紀華の体が香理奈の体に抱き着いた。
香理奈は予想以上に紀華が消耗している事に手応えを感じている。
レフリーの指示で一旦離れる香理奈と紀華。
グローブで顔の汗を拭う紀華。
『ファイト』
紀華は試合の流れが途切れて仕切り直しと試合開始と同様に前に出てきた。
香理奈も応じるとリング中央で打撃戦になっていく。
バシィ、バシィ、バシィ、
激しい打撃戦に盛り上がる観客。
香理奈と紀華もヒートアップしていく。
バキィ、
紀華のパンチが香理奈の頬を又しても捉えた、
フラつく香理奈。
紀華はこのチャンスを逃すまいと一気に踏み込んでラッシュをかけていく。
バシ、バシ、バシィ、
紀華のパンチが3発香理奈の顔面にヒットすると頬を紅潮させてコーナーに追い込まれる香理奈。
ダウンを奪いたい紀華だが、香理奈が隙を突いてクリンチしてきた。
今度は汗をビッショリかいた香理奈の体が紀華の体に抱きついた。
香理奈:ハアハアハアハアハア、
香理奈は肩で息をしているが、紀華も相当苦しそうだ。
『ファイト』
試合が再開されると2人とも前に出てきた。
バシィ、バシィ、
顔面狙いの香理奈と紀華。
バキィ、
香理奈の右ストレートが紀華の頬を捉えると紀華は衝撃でマウスピースを飛ばしてしまった。
香理奈はここで一気に決めようと気合を入れてパンチをもう一発紀華の顔面に打っていく。
バキィ、
香理奈のパンチに鼻血を吹き出す紀華。
呼吸が苦しくなる紀華。
『カーン』
ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
激しい打ち合いとなったが、互いにノーダウンと譲らず1ラウンドを終えた。
コーナーに戻って体をリフレッシュさせる香理奈と紀華。
『カーン』
2ラウンドが始まった。
1ラウンドと同様にグローブを合わせてから始める香理奈と紀華。
両者少しずつ距離を詰めると又しても打撃戦になっていく。
バシィ、バシ、バキィ、
しかし、今回は明らかに香理奈が紀華を圧倒して押し込んでいる。
インターバルでパワーを溜めた香理奈と年齢により体力が回復仕切らなかった紀華の差が出た。
バキィ、
紀華:はうぅぅ、
香理奈のパンチが紀華の顔面を捉えると紀華は目を虚ろにさせて悶えている。
香理奈はラストを決めようと長い脚を振り抜くハイキックを打っていった。
バキィィィ、
バタリと倒れる紀華。
マウスピースを口から吐き出して白目を剥いている。
『カーンカーンカーン』
紀華がもう起き上がる事は無いと判断して試合終了のゴングが鳴った。
『勝者:香理奈』
笑顔でガッツポーズをする香理奈。
体力がまだ余っているのか、コーナーによじ登ると観客にアピールしている。
豪快なKO劇に大歓声を送る観客。
香理奈はようやく意識を取り戻した紀華に手を差し伸べると健闘を讃え合うが、笑顔の香理奈とは対称的に紀華はショックが大きいのか早々とリングを去った。
順位が以下の様に確定し、表彰式が行われる。
1位香理奈 5勝(5KO)
2位左藤江梨子3勝2敗(3KO)
3位田中麗菜 3勝2敗(1KO)
4位田仲雅美 2勝3敗(2KO)
5位藤原紀華 2勝3敗(1KO)
6位澤尻エリカ5敗
《表彰式》
Kー1ベルト女王の紀華がまさかの5位に沈んだ第4回Kー1ビューティーマックスの表彰式が行われる。
表彰者は優勝の香理奈と3位までのAクラスに入った左藤江梨子と田中麗菜がよばれている。
既にリングにいる香理奈と控え室で待機していた江梨子、麗菜もリングに入って来て用意が整った。
好成績を納めた3人に歓声が送られる。
『3位:田中麗菜』
主催者から記念のトロフィーを受け取る麗菜。
今回の第4回Kー1ビューティーマックス参加者の中で最も小柄な体格ながら3位に食い込み満足感を表している。
健闘を讃えてか観客も拍手を送っている。
『2位:左藤江梨子』
江梨子が主催者からトロフィーを受け取った。2位という好成績だが、優勝できなかった事が悔しかったのか喜び半分不満半分といったところか。
ダイナマイトボディーで大いに大会を盛り上げた江梨子に歓声が起こる。
『1位:香理奈』
今日1番の大歓声が湧き起る。
5戦5KO勝利の圧巻の内容に香理奈も観客も大満足の様で、祝福ムードに包まれる。
主催者は豪華なトロフィーを香理奈に手渡すと香理奈は高々とトロフィーを掲げた。
大盛り上がりの観客は香理奈の大会を記憶して第4回Kー1ビューティーマックスの幕を閉じた。