第4回チーム別対抗戦『女VS男』(能勢あんなVS黒服D)
- 2021/12/26
- 09:48
1勝2敗と逆転を許した女チームは能勢あんなを送り込んで、五分に戻そうと目論んでおり、この試合から第1試合を戦った香理奈がセコンドに入る事となった。
ルールはKー1ルールで行われ、キックボクシングを習得しているあんなに有利に働きそうだ。
今回の試合もグローブ無しで行う事が決まり、Kー1ルールでの激しい殴り合いが期待される。
『赤コーナー 180cm80kg 黒服D~』
黒服は黒のパンツで登場してきた。
180cm以上の大男が毎試合出てきて層の厚さを見せている。
『青コーナー 166cm 能勢あんな~』
あんなはロングヘアを靡かせながら青のネイルを施し、青のパンツで出てきた。
前回は香理奈とのタッグマッチで黒服相手に勝利したあんなだが、今回はシングルマッチで男に勝利しようと意気込んでいる。
『カーン』
ゴングが鳴るとファイティングポーズをとりながらリングを旋回するあんなと黒服。
あんなはジャブを打ちながら間合いを測るとミドルキックを打っていった。
バシッ、
乾いた音が場内に響き渡る。
先ずはあんなが切れ味鋭い攻撃を見せるが、黒服はそれ程動じていないように見える。
あんなは黒服が反撃して来ないので、続けてハイキックを側頭部に打っていった。
バシィ、
あんなは威力のあるハイキックを放つが、黒服は読んでいてガードして防いでいる。
黒服:フッ、フッ、フッ、こんなもんか。
黒服は敢えてあんなに聞こえるように呟くと急に前に出てきてあんなの顔面にパンチを打っていった。
バキィ、
あんな:あううぅぅ、
突然の強打に面喰らうあんな。
黒服は怯んだあんなの顔面にパンチを連打してラッシュをかけていく。
バシッ、バキッ、バキィ、
ガードを固めて守るあんなだが、男の圧力に押されてロープ際に追い込まれていく。
セコンドの香理奈もエプロンサイドを叩いて声援を送るが、黒服のアッパーカットがあんなの顎に炸裂するとあんなは膝から崩れ落ちた。
バキィ、
強烈な一撃を喰らってダウンを喫するあんな。
セコンドの香理奈が悲痛な表情をしているのとは対象的に黒服は豪快にガッツポーズを決めている。
カウントが数えられているが、あんなはマウスピースを吐き出して四つん這いになっている。
あんな:ハア、ハア、ごめんね、香理奈。
香理奈:あんな!?
あんな:これ以上姉として恥ずかしい姿を見せられないわ。
あんなはふらつきながらも立ち上がるとファイティングポーズをとった。
あんな:男だからと言って調子に乗るんじゃないわよ。覚悟しなさい、ここからはリミッターを外して戦うわよ。
『ファイト』
あんなが吠えると試合が再開された。
黒服は畳み掛けようと前に出るが、あんなも攻撃は最大の防御と応戦すると激しい打撃戦になった。
バシィ、バキィ、バシッ、バキッ、
筋肉隆々の腕から次々と重たいパンチを繰り出す黒服に対して、筋力不足が否めないあんなはより筋肉量の多い脚力を活かしてキックで対抗している。
『カーン』
ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
それぞれ自陣に戻る両者。
黒服はあっさりと勝負を決めれると思っていただけに戸惑った様子をしている。
一方のあんなは屈強な男と互角の戦いを演じたもののダメージは大きく、セコンドの香理奈に激励されるもどこか目が虚ろになっている。
あんな:(パワーを出しきっているのに互角だなんて・・・)
あんなは内心抱く狼狽を隠しつつも2ラウンドの戦いへと戻った。
『カーン』
ゴングが鳴るとあんなは1ラウンドと同じくフルパワーで戦いを挑んでいく。
黒服もあんながエンジン全開で来る事は予測しており、対応してきている。
バキィ、バシィ、バキィ、
2ラウンド開始早々から激しい打撃戦となるあんなと黒服。
バキィ、
あんなはハイキックを打ち続けると遂に黒服の側頭部にヒットした。
ふらつく黒服。あんなはチャンスと見て、ラッシュをかけていく。
しかし、黒服は口唇を切って流血しながらも体勢を立て直すとあんなの顔面にパンチを打ち返していった。
バキッ
あんな:ううぅぅ、
呻き声をあげるあんな。一撃で流れを変える男のパワーに動揺している。
しかも1ラウンドの後半からハイキックを連打しているあんなはここにきてダメージが溜まってきて動きが鈍くなってきた。
黒服は口唇を切って流血している事に苛立っており、それを拳にぶつけてきた。
バキィィ、
強振した黒服のパンチがあんなの顔面にヒットするとあんなは血飛沫をあげている。
興奮した黒服が更に襲いかかるとあんなはガードして守るが、コーナーに追い込まれている。
逃げ場が無くなったあんなのボディに次々に黒服のパンチが突き刺さっていく。
バシッ、バキィ、バシィ、
時折カウンターを返すあんなだが、威力・手数で圧倒されて、ボコボコにされていく。
顔や体を痣だらけにさせるあんなだが、破れかぶれになりながらもカウンターの膝蹴りを打っていった。
ドス、
黒服:おうぅぅ、
すると期せずして黒服の股間にヒットしてしまった。
踞る黒服。あんなも意識を朦朧とさせて両腕をダラリとロープに掛けて倒れるのを防ぐのが精一杯だ。
試合が止まるが、一応レフリーは「急所攻撃によるインターバル」としている。
『ファイト』
黒服が体勢を起こして、あんながヨロヨロとしながらもファイティングポーズをとると試合が再開された。
猛攻を急所攻撃で削がれた黒服は怒りをぶつけるべく一直線に向かっていくと再びあんなをコーナーに追い込むと両肩を掴んで、膝蹴りを股間に打ち返していった。
ガァン、
あんな:んん~~~、
衝撃に目を見開くあんな。
怒れる黒服はあんなの両肩を掴んだまま敢えてダウンさせず、膝蹴りをあんなの股間に連打していく。
ガァン、ガァン、ガァン、
あんな:あああぁぁぁ~~~、
あんなはあまりの激痛に涙を流しながら絶叫している。
香理奈:反則よ!レフリー、試合を止めなさいよ!
セコンドの香理奈がアピールするとレフリーもあんなの状態が危険だと判断して、ゴングを要請した。
『カーンカーンカーン』
ゴングが鳴ると黒服も我に返ったのか攻撃を止めた。
足元には太ももを閉じながら股間を抑えて涙を流すあんなが横たわっていた。
レフリーはリング下の主催者と対応を協議しているとそこに香理奈が割り込んできて、声を張り上げてアピールしている。
『只今の試合は黒服の急所への攻撃により能勢あんな選手が試合続行不可能となった為、無効試合とします。』
場内アナウンスが流れるとブーイングも聞こえてくるが、状況からやむ無しとの声が大半を占めている。
『ただし、第4試合につきましては強い申し出が香理奈選手よりありました為、「香理奈VS黒服D」として続行致します。』
観客としては予想外の展開に歓迎する歓声が沸き起こっている。
香理奈としては目の前で姉のあんなが弄ばれ、最後には大事な股間に猛打を喰らい続けて倒れた事が我慢ならなかったようで、強烈なアピールが実り、変則的なリマッチが実現したようだ。
あんな:香理奈、迷惑かけるわね、頼んだわよ。
香理奈は担架で運び出されるあんなの手を握ると想いを託されて決意を一層強くしている。