第6回クイーンカップもいよいよ決勝戦の1試合を残すのみとなった。
雅美としては相手が地下リングのエース・香理奈とはいえ、鍛え上げた肉体を持つ自分が負ける筈はないとリングへと向かった。
地下リングのエース・香理奈は幾多のタイトルを持っているもののクイーンカップのトロフィーはまだ香理奈のトロフィーケースには無く、是非とも加えたいと考えている。
ルールはKー1ルールと発表された。
香理奈の得意種目だが、雅美もKー1ビューティーマックスでの優勝経験があり、ハイレベルな試合が期待出来そうだ。
『赤コーナー 165cm 田仲雅美~』
雅美は黒のグローブに黒のパンツを履いて登場してきた。
筋肉の鎧を纏った雅美は殺気立った様子で香理奈を待っている。
『青コーナー 165cm 香理奈~』
香理奈は青のグローブに青のパンツで出てきた。
クイーンカップ初優勝を目指す香理奈は気合いが入っている。
『カーン』
賜杯の行方を決する試合開始のゴングが打ち鳴らされた。
ファイティングポーズをとって構える雅美と香理奈。
雅美は序盤から押し込もうとパンチを香理奈の顔面に浴びせて仕掛けていった。
しかし、香理奈もガードして対応するとカウンターのローキックを打ち返していった。
バシ、
ヒットすると雅美は表情こそ歪めたものの前に出ると再び香理奈の顔面にパンチを打っていった。
バシィ、
香理奈としてはローキックで距離をとったつもりだったが、すぐにパンチを打たれて思わず顔をグローブで抑えている。
雅美は更に距離を詰めて攻撃を仕掛けようとするが、今度は香理奈が雅美の顔面にパンチを打ち返していった。
バシィ、
顔を殴られて後退を余儀なくされる雅美。
試合開始早々からの一進一退の激しい攻防に場内は盛り上がっている。
両者は一旦離れたものの燃え盛る闘志を抑えきれないようで、接近してきた。
雅美はミドルキックを打っていくと香理奈も雅美の顔面にパンチを打ち返していく。
顔を殴られた雅美は意地になって香理奈の顔面を殴り返していった。
真っ向から打ち合う香理奈と雅美は更にパンチにキックを乱れ打っていく。
バキッ、バシィ、バキィ、バシィ、バシィ、
肉弾バトルにヒートアップして場内のボルテージが上がっている。
打撃がぶつかり合うと筋肉の鎧を纏う雅美に対して、スレンダーボディの香理奈の方がダメージの蓄積が大きいのか苦しそうだ。
バシィ、
雅美:うっ、
香理奈の膝蹴りが雅美のボディを抉ると雅美は思わず声を漏らすが、すぐに香理奈のボディにパンチを打ち返していった。
ドス、
香理奈:おええぇぇ~、
雅美のパンチが香理奈のボディを突き上げるようにして抉ると香理奈は苦悶の表情を浮かべて膝を着いてしまった。
腹筋の分厚さでは分が悪く、香理奈はダウンを喫してしまった。
それでも香理奈はふらつきながらも立ち上がった。
劣勢に立たされる香理奈だが、セコンドに入っている姉のあんなに気付いた。
あんな:香理奈、絶対優勝するのよ!ファイトー
香理奈はあんなの声援に勇気付けられて合図を送ってからファイティングポーズをとった。
『ファイト』
試合が再開されると雅美は一気に試合を決めようと前に出てきた。
筋肉の鎧を纏う重戦車の雅美が圧力をかけてくるが、香理奈も筋肉美脚で迎え撃つ。
香理奈は先ずは前蹴りで距離を離して一呼吸置くと再び距離が詰まってきた。
雅美は香理奈のボディを狙ってミドルキックを打っていくが、香理奈は堪えると雅美の側頭部にハイキックを打っていった。
バキィ、
今度は香理奈の筋肉美脚が唸りを挙げると雅美はふらついている。
香理奈は雅美の両肩を抱え込むと膝蹴りでボディを蹴り上げた。
ボシュ、
雅美:あううぅぅ~~、
如何に筋肉美女の雅美といえどもまともに膝蹴りをボディに打たれては辛いようで、ダウンは免れたものの後退を余儀なくされている。
香理奈は自陣コーナーに雅美を追い込んだ。
あんなの激励を正面に受けながら香理奈はラッシュをかけていく。
バシィ、バキッ、バキィ、
香理奈の威力のある打撃を受け続ける雅美。
普通の選手ならばKO確実な戦況だが、元トップアスリートの雅美はコーナーを背にしながらもガードを固めて反撃の機会を伺うとカウンターのパンチを香理奈の顔面に打っていった。
バシッ、
ヒットすると香理奈は表情を歪めている。
しかし、地下リング最多タイトルホルダーの香理奈も無論並みの選手ではなく、顔を歪ませながらも雅美の顔面にパンチを打ち返して攻撃してきた。
試合開始からの激しい肉弾バトルに観客は歓声を上げている。
流石の雅美も反撃に転じようとした矢先、すぐに攻撃されて面食らっている。
香理奈は更に雅美のボディにミドルキックを打っていった。
バシィ、
雅美:ふぐぅぅ~、
香理奈の鋭いミドルキックを食らって動きが止まる雅美。
汗をびっしょりとかいて呼吸を荒くさせながらも死力を尽くして戦い続ける誇り高き2頭の女豹。
攻撃を受け続けている雅美だけでなく、1度ダウンを喫した香理奈も肩で荒々しく息していて、体からは汗で湯気が出ている。
香理奈は試合を決めようと狙いを定めると必殺技のハイキックで雅美の側頭部を撃ち抜いた。
バキィィィ、
逃げ場が無いところで香理奈のハイキックを食らった雅美は力無く倒れた。
『カーンカーンカーン』
倒れた雅美に立ち上がる気配は全く無く、カウントが数えられる前に試合終了のゴングが鳴らされた。
雅美を撃ち破った香理奈がガッツポーズを決めると観客も女王を祝福して大歓声を送っている。
『勝者:香理奈、よって第6回クイーンカップの優勝者は香理奈!』
地下リングのエースにして、最多タイトルホルダーの香理奈をして栄えあるクイーンカップは初優勝。主催者からトロフィーを受け取った香理奈は感無量の様子で掲げている。
一歩及ばなかった雅美は意識を取り戻すと敗れた事に気付くと悔しそうな表情をしながらも歩み寄ってきた香理奈に握手を求められると気丈に振る舞って握手に応じてから担架で運ばれてリングを後にした。
優勝した香理奈は途中からセコンドに入っていたあんなや、エキシビションマッチが組まれていた旧知の田中麗菜、かつてエースの座を争い今はタッグを組んでいる蒼野楓が続々と祝福に訪れるとリングは祝勝会の雰囲気になってきた。
香理奈を中心として4人は引き揚げるとこれから華やかなパーティーでも開かれるようだ。