女優因縁マッチ その19 (女優因縁マッチ 香理奈VS蒼野楓“エースの座”を巡る闘い)
- 2019/11/04
- 10:57
《地下リング主催者の部屋》
先日のK-1ベルトのタイトルマッチの後、主催者は自室に勝利した蒼野楓を呼び出した。
部屋には蒼野楓と主催者、そしてボディガードの黒服が2人。
楓としては主催者としては試合会場等でよく会うもののこうして話す機会は無く、呼び出しを受けてやや怪訝な様子を見せている。
主催者:楓、香理奈によく勝利したな。
楓:もう私の方が強いの。分かったら今度の興業から私をエースとして試合を組みなさいよ。
主催者:フッフッフ、そうきたか。
主催者は不敵な笑みを浮かべると黒服から1枚の資料を受け取って楓に見せた。
主催者:楓がエースの座を狙っていると言うからこの前の興行で観客にアンケートを取ったんじゃ。結果がこれじゃ。
【アンケート:地下リングエースに相応しいのは誰か】
1位:香理奈 51%
2位:蒼野楓 19%
その他 30%
主催者:目の前で楓が香理奈に勝利したにもかかわらずこの結果じゃ。
主催者の説明を聞くまでも無く、明らかに不機嫌になる楓。
楓:それが何だって言うのよ。試合で勝ったのは私よ!
楓は語気を荒げるが、主催者は至って冷静に答えた。
主催者:そうなんじゃ。だからこそわしの力で楓をエースにしてやろう。
楓:??
主催者の言葉に困惑する楓。
主催者:もう肉体的には楓は香理奈を越えておる。さあ、その体をわしに渡すのじゃ。
主催者はそう言うといつの間にか全裸になって楓と抱き着いていた。しかし、ようやく主催者の意図を理解した楓は我に返った。
楓:私を馬鹿にするんじゃないわよ!
怒った楓は主催者のボディに膝蹴りを打ち込んだ。
ボシュ、
主催者:うげぇぇ~~、
踞る主催者。黒服は楓の暴挙に飛び出すが、楓の相手にはならず、反応した楓にそれぞれ正拳突きと回し蹴りで撃退されてしまった。
バシ、バシ、
楓の強さの前にバタリと倒れる2人の黒服。
そして楓は主催者の前に仁王立ちで立ち塞がっている。
主催者:ひ~~~、
楓:覚悟しなさい。
楓が主催者に襲いかかると主催者は怯えて身構えているが、どこからともなくキックが楓の頭に飛んできた。
バシィ、
楓:誰!?
不意打ちに反応出来ず、倒れる楓。
楓の顔にキックを浴びせた主は先日のタイトルマッチで楓に敗れた香理奈だった。
香理奈:楓が主催者と会うって風の噂で聞いたから来てみたら騒々しい事になってるじゃない。
楓:くっ、面倒な事になったわね。
香理奈:ほら、そこの2人。今の内に楓を抑えなさい。
香理奈が指示を出すと黒服の2人は楓を取り抑えた。
先程は一蹴した楓だが、流石に男2人に上に乗られて抑えられては身動きがとれない。
すると香理奈は主催者の顎を掴んで問いかけた。
香理奈:あなた、浮気したかしら?地下リングのエースは誰?
主催者:か、香理奈です・・
楓:あんたさっきは私をエースにするって言ったじゃない。
香理奈:そう、それならどちらをエースにするのか、試合を組みなさい。
ここでようやく楓が黒服2人を振り払って立ち上がると香理奈と対峙した。
楓:フン、何勝手に決めてるのよ。でも、続けて2回私が勝てば、ファンも私がエースだと認めるわね。
香理奈:この前がマグレだったって事を証明して見せるわ。私がエースよ。
睨み合う楓と香理奈。
こうして地下リングのエースの座を巡るK-1ルールでのワンマッチが組まれる事となった。
《香理奈VS蒼野楓・試合当日》
この1試合だけの為に開かれた興業は超満員に膨れ上がっている。
今回の興業は『女優因縁マッチ 香理奈VS蒼野楓“エースの座”を巡る闘い』と銘打たれているだけに、香理奈のファンと蒼野楓のファンのそれぞれの応援席が設けられた。
既に過去の両者の試合や前述の“小競り合い”の様子がオーロラビジョンで流されており、対決ムードを盛り上げている。
前回の対決から1ヶ月以上空いており、準備期間も相当ある事から両者共に体を鍛え上げてきたという情報もあり、観客も先ずはその仕上がりを見ようと選手入場を楽しみに待っている。
『赤コーナー 169cm 82-58-86 蒼野楓~』
先に楓が白のグローブに白のパンツを履いて登場してきた。
26歳の楓が肉体美を披露すると楓のファンを中心に歓声が沸き起こっている。
『青コーナー 165cm 80-58-88 香理奈~』
香理奈が青のグローブに青のパンツを履いて出てきた。
35歳の香理奈が限界まで鍛え上げてきたというボディは鋭い眼光と合わさって威圧感が溢れ出ている。
香理奈:この前の試合から体を鍛えに鍛えたわ。地下リングのエースの実力を見せて上げるわ。
楓:そんなに恐い顔しても無駄よ。もう私には勝てないわ。地下リングのエースは私よ。
試合前からの舌戦で更にヒートアップする場内。
『カーン』
場内が緊張感に包まれる中、試合開始を告げるゴングが打ち鳴らされた。
ファイティングポーズをとって構える楓と香理奈。
楓は前回の試合同様に先ずはローキックで香理奈の脚を削りにいく。
楓が鋭いローキックを飛ばすと香理奈の脚を捉えていく。
しかし、香理奈も分かっているので、早目に仕掛けようとハイキックを打っていった。
バシッ、
ガードして防ぐ楓だが、香理奈のハイキックに押し込まれている。
前回の試合より威力の増した香理奈のハイキックに驚く楓。
香理奈は楓の側頭部に更にもう1発ハイキックを打っていった。
バシィ、
必死にガードして防ぐ楓だが、香理奈のハイキックの威力が頭を揺らして表情が歪んでいる。
序盤から攻撃側には負担のあるハイキックを惜し気もなく連発する香理奈はそれだけの肉体を作ってきたとの自負があるが、前回敗れているという事で焦りもあるようだ。
香理奈は楓をロープ際まで押し込むと顔面にパンチを浴びせていくが、楓はパンチを浴びながらもクリンチで逃れた。
一旦、試合が止められて離れた香理奈と楓は睨み合っている。
『ファイト』
レフリーの合図で試合が再開されると香理奈は休む事無く、ハイキックを打って攻勢に出るが、楓は読んでいて避けるとカウンターのパンチを香理奈の顔面に打っていった。
バシッ、
顔面にパンチを喰らって表情を歪める香理奈。
楓は攻勢に出る事も出来たが、香理奈とは対照的に勝負はまだ先とあえて距離をとっている。
香理奈は体勢を立て直すと距離を詰めようとするが、楓は前蹴りで距離を詰めさせない。
楓は香理奈の動きを観察しながらタイミングを見計らってローキックで香理奈の脚を削りにいく。
バシ、バシ、
何発かローキックを脚に受ける香理奈は持久戦には持ち込ませたくないからと強引に距離を詰めると楓の顔面にパンチを打っていくが、楓はガードして防ぐとカウンターのパンチを香理奈の顔面に打ち返していった。
バシィ、
カウンター発動で香理奈の顔面に2発パンチを浴びせた楓は徐々に乗ってきている。
対照的にグローブで殴られた顔を抑えながら焦りの色が見える香理奈。
楓は香理奈との距離を詰めるとハイキックを打っていくが、香理奈はガードして防ぐとミドルキックでボディを叩いていった。
バシッ、
乾いた音が場内に響くと動きが止まる楓。
香理奈は狙いを定めると楓の側頭部にハイキックを打っていった。
バキィ、
香理奈のハイキックを喰らった楓はふらついている。
香理奈は更に攻めようとするが、ここで1ラウンド終了のゴングが鳴った。
『カーン』
中盤に流れを失いかけた香理奈だが、1ラウンド終盤に押し返してインターバルを迎える事が出来、充実した様子で自陣コーナーに戻った。
一方の楓は早くも頭部にハイキックを受けてやや重い足取りで自陣コーナーに戻った。
1ラウンドでは香理奈がややリードを奪っているが、スタミナ面では若い楓が上回ると予想されるだけにまだまだ勝負の行方は分からない。
『カーン』
インターバルを経て両者がリング中央に帰ってくると2ラウンドが始まった。
ファイティングポーズをとって向かい合う楓と香理奈。
楓はまだダメージが回復してないからと先ずはガードをしっかり固めて試合に入るが、香理奈は強引に距離を詰めてきた。
鍛え上げた肉体に自信がある香理奈はハイキックを打っていく。
バシッ、
読んでいた楓はガードして防ぐが、香理奈の前回よりもパワー・スピード共に増したハイキックに押し込まれている。
香理奈は更にもう1発ハイキックを打っていくが、楓は身を屈めて避けるとカウンターのパンチをボディに打ち返していった。
ボシュ、
香理奈:あうぅ、
楓のパンチが香理奈のボディを抉ると香理奈は声を漏らして苦しそうな表情をしている。
すると楓も香理奈の側頭部にハイキックを打っていくが、香理奈はガードして防ぐとステップバックして一旦距離をとった。
楓も自らの体力の回復と持久戦に持ち込むなら時間が空いた方が得策と深追いはしない。
バランス良く攻める楓に対して、香理奈は逞しく鍛え上げたキックに賭けている。
試合は落ち着くが、それも束の間で、両者の距離は徐々に詰まってきた。
距離が詰まると楓はパンチで香理奈の顔面を狙っていくが、香理奈はガードして防ぐとミドルキックで楓のボディを抉っていった。
バシィ、
表情を歪める楓。
香理奈はハイキックで動きが止まった楓の側頭部を狙っていくが、楓はガードして防いだ。
距離が空く楓と香理奈。
楓はローキックで香理奈の脚を狙っていくと香理奈は脚を削られる前に倒そうとハイキックを打っていった。
バシッ、
ローキックを蹴っていた楓は逃げれずに側頭部にハイキックを受けると倒れてしまった。
香理奈が待望のダウンを奪って、大歓声が沸き起こる香理奈サイドの観客とは対照的に香理奈は勝負はまだ決まって無いと落ち着いた表情で自陣コーナーで肘を掛けて楓の様子を見ている。
ダウンを喫した楓は頭部へのダメージに頭を抑えながらも立ち上がるとファイティングポーズをとった。
『ファイト』
試合が再開されると香理奈はこのラウンドで一気に勝負を決めようと前に出てきて、頭を狙ってパンチを打っていくが、楓も力を振り絞って応戦すると試合再開早々に激しい打ち合いになると場内は盛り上がっている。
バシィ、バシ、バシッ、バシッ
顔面を殴り合う楓と香理奈。
楓は元々頭部にダメージを負っているだけにここで打ち合うのは賭けになるが、このままでは香理奈のパワーに押し切られてしまうと打ち合いに挑んできた。
やはり苦しい表情を浮かべる楓。しかし、香理奈も空手をバックボーンに持つ楓のパンチを受けて顔を腫らしている。
互いに頬を紅潮させながら激しく殴り合う両者は体力を消耗させている。
楓は思いきって距離を詰めると膝蹴りでボディを突き上げていった。
ボシュ、
香理奈:おえぇぇ~、
腹筋を突き破るかという程の楓の膝蹴りの威力に香理奈は嗚咽を漏らして踞りかけている。
香理奈はクリンチで逃れようとするが、楓はその前にパンチを香理奈の顔面に打っていった。
バキィ、
マウスピースを飛ばして倒れる香理奈。
楓がダウンを奪うと今度は楓サイドの観客が大歓声をあげている。
ダウンした香理奈は悔しそうな表情を浮かべながらも立ち上がるとファイティングポーズをとった。
楓はKOとはならなかったもののダウンを奪って追い付いた事に充実した表情を見せている。
『ファイト』
試合が再開されると楓は一気に勝負を決めようと前に出てきた。
しかし、香理奈は前に出てきた楓の顔面を前蹴りで捉えた。
バシッ、
足の裏で顔面を蹴られた楓は仰け反っている。
香理奈は狙いを定めるとハイキックで楓の側頭部を蹴っていった。
バキ、
香理奈のハイキックを喰らってふらつく楓。
香理奈もダウンを奪われたダメージからか精度を欠いていて、楓はクリーンヒットは免れた。
『カーン』
ここで2ラウンド終了のゴングが鳴った。
自陣コーナーに戻る楓と香理奈。
楓はダウンを奪い返したものの度重なる頭部へのハイキックで目を虚ろにさせながら自陣コーナーに用意された椅子に座り込んだ。
一方の香理奈は先にダウンを奪ってリードしたかに見えたが、すぐにダウンを喫して振り出しに戻された事が疲労感を増幅させているのか汗をびっしょりとかいて疲れた表情で座り込でいる。
二頭の美しい女豹は死闘を繰り広げて傷だらけになっているが、雌雄を決する最終ラウンドの時が来ると意を決して闘いの舞台に戻ってきた。
『カーン』
最終ラウンドのゴングが鳴ると香理奈と楓は大歓声で迎え入れられた。
最終ラウンドが始まると楓はハイキックで香理奈の側頭部を狙っていくが、香理奈はステップバックして避けた。
香理奈は楓のバランスが崩れたところを狙ってミドルキックを打っていった。
バシッ、
ボディを蹴られた楓は苦悶の表情を浮かべている。
香理奈は続けてワンツーパンチを楓の顔面に打っていった。
バシ、バシィ、
顔を殴られて目を虚ろにさせる楓。
香理奈はハイキックで楓の側頭部を蹴っていった。
バキィ、
クリーンヒットすると倒れる楓。
同時に香理奈サイドの観客からは大歓声が上がっている。
会心の一撃で勝利に一歩近付いた香理奈はこの試合で初めて笑みを浮かべている。
リングに這いつくばる楓は意識を朦朧とさせているが、ふらつきながらも何とか立ち上がって、カウント9でファイティングポーズをとった。
『ファイト』
レフリーは楓がファイティングポーズをとったのを確認して試合が再開されると香理奈は前に出てきた。
楓も勝つにはダウンを奪い返すしかないと決死の覚悟で迎え撃つが、もうパワーは残っておらず、香理奈の猛攻にコーナーまで押し込まれていく。
バシ、バシィ、バシッ、
次第にガードを固めてカウンター狙いになる楓。
香理奈はガードを固める楓に最後の力を振り絞ってハイキックを連発していく。
バキィ、バシッ、
香理奈の物凄い迫力のあるハイキックの連打に総立ちになる観客。
香理奈も体力の限界に近付いてきているが、“エースの座”への強い気持ちを見せて、懸命に筋肉美脚を振り上げている。
バキィ、バシッ、バキィィ、
香理奈のハイキックが遂に楓のガードを打ち破って、楓の側頭部にクリーンヒットすると楓は崩れ落ちた。
『カーンカーンカーン』
会心の一撃で激戦に終止符を打った香理奈が豪快にガッツポーズを決めると場内からは大歓声が沸き起こっている。
『勝者:香理奈』
地下リングの“エースの座”を死守した香理奈は香理奈サイドの観客の側のコーナーに登ってアピールする香理奈のファンも今日一番の声援を送って讃えている。
香理奈は楓が意識を取り戻したのに気付くと歩み寄って、熱い
抱擁を交わすと今度は香理奈・楓の両サイドのファンから拍手が送られている。
楓:今回は完敗だわ。もっと強くなっていつか私が香理奈さんに勝って地下リングのエースになるわ。
香理奈:これが私よ、私がエース。でも、私をここまで本気にさせたから次のエースは楓、あなたよ。
熱く短い言葉を交わすと先に楓がセコンドの肩を借りながらリングを去った。
楓と入れ替わるようにして主催者がリングに入ってくると香理奈は迎え入れると握手を交わした。
香理奈:私が地下リングのエースだという事を分かってくれたわよね。
主催者:ワシは香理奈が勝つと思っておったぞ。
凄む香理奈に対して、珍しく少し怯えた様子を見せる主催者。
香理奈:私を信用してなかったみたいだから、罰を受けて貰うわ。
香理奈はそう言うと主催者を無理矢理跪かせると主催者の顔の前に右脚を差し出した。
香理奈:私の脚を舐めて服従しなさい。
勝ち誇る香理奈。
屈辱を受ける主催者だが、内心は美女の脚を舐めれるとあって嬉々として香理奈の脚を舐めている。
主催者の服従に満足する香理奈。
香理奈:それでいいのよ、分かったら退きなさい。
勝利した香理奈は饒舌になって主催者を蹴り飛ばすと情けなく主催者はリング下へと転がり落ちた。
再びリング内で1人スポットライトを満喫する香理奈。
香理奈サイドの観客からは絶え間無く歓声が飛んでいて、香理奈はポージングをとって好き放題に振る舞っているが・・・
香理奈:!!!、、ああぁあ、、
華麗にポージングをとっていた香理奈だが、急に股の辺りを抑えて苦悶の表情を浮かべて踞り出した。
香理奈のショーを楽しんでいた観客も心配してたらなっている。
35歳の香理奈は肉体の限界まで体を鍛えて試合に臨み、試合でも脚に負担のかかるハイキックを連発していだが、知らず知らずの内に体は悲鳴を上げていたのだった。
香理奈はリングに這いつくばると両脚を激しく痙攣させている。
必死に上体を起こして立ち上がろうとする香理奈だが、両脚は言う事を聞かないどころかブルンブルンと震えている。
試合後のまさかの香理奈の“ダンス”に観客は盛り上がる観客。
香理奈の姿にリング下で主催者はほくそ笑んでいる。
パァン、パァン、パァン、
香理奈:ハアアアァァァァ!!
しかし、香理奈は地下リングのエースが無様な姿を晒す訳にはいかないと自ら痙攣して震えている両脚を叩いて気合いを入れ直すと、リング内に湯気が昇る中、精悍に立つ香理奈の姿があった。
香理奈:ハア、ハア、ハア、(私が肉体を限界まで鍛えたのに、ここまで追い詰められるとは・・・)
殺気立つ香理奈のオーラに圧倒される場内。
香理奈:私がエースよ!!!
“雌叫び”を上げる香理奈。
エースの風格を取り戻した香理奈は最後に観客にアピールすると復活した脚を気にしながらもリングから去っていった。