蒼野楓VS香理奈の注目の試合が行われる。
カードはランダムで選ばれるとはいえ、ルールもアルティメットバトルと何か作為的なものさえ感じる一戦。
クイーンカップでの優勝が無い両者は優勝を目指すの勿論だが、先ずは目の前の一戦に賭ける意気込みが強い。
地下リングのエースの座を狙うと言い、先ずはKー1ベルトを着実に防衛を果たす蒼野楓が香理奈に挑む構図。
年齢差から香理奈も1回追い越されれば、再逆転は難しいだけに自ずと気合いが入っている。
『赤コーナー 169cm 82-58-86 蒼野楓~』
楓は黒髪のロングヘアを靡かせてブルーのネイルをして登場してきた。
『青コーナー 165cm 80-58-88 香理奈~』
香理奈は金髪のロングヘアにブルーネイルをして出てきた。
二頭の女豹が漆黒の檻の中に入ると場内には緊迫した空気が流れている。
互いに睨み合う楓と香理奈。
26歳の楓の方が筋肉質な体をしているが、35歳の香理奈も筋肉美脚と称する脚を持っている。
『カーン』
まさに"雌雄を決する”戦いが始まった。
ゴングと同時に楓と香理奈は勢いよく飛び出すと檻の中央でぶつかり合って取っ組み合いになった。
ストライカーの両者が最初から組み合う意外な展開になるが、意地をぶつけ合うかのように互いの肉体をぶつけている。
楓:香理奈さんももう35歳でしょ。そろそろ"エースの座”譲って下さいよ。
香理奈:私はまだまだ全盛期よ。それに"エースの座”は譲ってもらうものじゃなくて奪い取るものよ。
香理奈はそう言うと楓を押し込んでいった。
背中を鉄格子に押し付けられる楓。
香理奈は楓のボディに膝蹴りを打とうとするが、楓は読んでいて香理奈と体を密着させて攻撃を防いでいる。
両者は鉄格子にもたれ掛かりながら縺れ合うと鉄板の上に倒れた。
グランドでの攻防になる香理奈と楓。
激しくマウントを奪い合う両者だが、ここは若く体にキレのある楓が制して香理奈からサイドポジションを奪った。
楓はすかさず香理奈のボディに膝蹴りを打ち込んでいった。
ドス、
香理奈:ううぅ、
楓の膝蹴りをわき腹に喰らった香理奈は表情を歪めて呻き声をあげているが、香理奈は蹴ってきた楓の脚を掴まえた。
振り払おうとする楓だが、逆にバランスを崩すと香理奈にバックマウントを奪われてしまった。
香理奈は絶好のチャンスが来たと楓の後頭部を殴っていく。
バキッ、バキッ、
頭を押さえる楓だが、逃れる術がなく、香理奈に頭を殴られ続けていく。
バキィ、バキィ、
鈍い音が響き渡る場内。
香理奈は楓の頭を両手で鷲掴みにすると鉄板に叩きつけようとするが、楓は状態が起こされた間に下から抵抗して何とか逃れた。
香理奈はチャンスを逃して悔しがっているが、楓はすぐに立ち上がってファイティングポーズをとった。
肩で息をする楓。
香理奈もファイティングポーズをとるとストライカーの両者は打撃戦に臨んでいく。
香理奈は楓の頭にダメージを与えようと長い脚を振り抜いてハイキックを打っていくが、楓はステップバックして避けた。
空振りに終わるも豪快なスイングを見せる香理奈。
すると楓も触発されたのかハイキックを打ってきた。
香理奈はガードして防ぐが、威力のあるハイキックにガードした左腕は痺れている。
華やかなハイキックの競演に観客は盛り上がっている。
楓は続けて香理奈の顔面に空手仕込みのクイックネスなパンチを打っていった。
バキッ、
顔を殴られて後退する香理奈。
楓は追いかけると香理奈の顔面にもう1発パンチを打っていくが、香理奈はガードして防いでいる。
しかし、楓はそれでも香理奈の顔面にパンチを打っていくと香理奈も殴り返して殴り合いになっていく。
バキィ、バシィ、バキッ、バキィ、
檻の中で二頭の女豹が激しく殴り合うとヒートアップする場内。
バシィ、バキッ、バキッ、バキィ、
両者共に顔を腫らして鼻血も吹き出している。
表での活動に支障が出るのではないかと観客も心配になるが、エースの座を賭けた二頭の獰猛な女豹は恐れる事無く突き進んでいく。
バキィ、
香理奈:ううぅ、
楓のパンチが香理奈の顔面にヒットすると香理奈は呻き声をあげてふらついている。
楓はチャンスと見てハイキックを打っていった。
バシィ、
楓のハイキックが側頭部にヒットすると香理奈は仰向けに倒れた。
香理奈を蹴り倒した楓は興奮した様子で香理奈の上に飛び乗るとマウントポジションを奪った。
ハンマーパンチを振り落とす楓。
バキッ、バキィ、バキィ、
香理奈はガードを固めるが、楓の拳の雨を浴びて額を割って流血している。
顔を殴られて苦しくなる香理奈。
楓は勝利は目前と拳に力が入るが、香理奈は楓のパンチを間一髪で避けると楓の拳が鉄板に叩きつけられてしまった。
バァン、
右手を抑えて痛がる楓。
香理奈はその間に脱け出すと、顔の流血を拭いながらもファイティングポーズをとった。
一方の楓も鉄板に叩きつけてしまった右手を気にしながらもファイティングポーズをとって向かい合っている。
チャンスを逃して悔しそうにする楓。香理奈は何とか逃れたもののダメージが大きくすぐには仕掛けられない。
楓はチャンスを取り返そうと攻めるが、右手が使えないので、ハイキックを香理奈の顔面に打っていくが、香理奈は読んでいて避けるとカウンターのパンチを楓の顔面に打っていった。
バキィ、
香理奈のパンチを喰らって鼻血を酷くさせる楓。
香理奈は続けて攻めたいところだが、頭のダメージが大きくふらついてすぐに攻撃に移行出来ない。
しばらく間があってから向かい合う香理奈と楓。
すると香理奈がミドルキックを打って仕掛けていく。
バシッ、
ヒットすると表情を歪める楓。
香理奈は続けてハイキックで楓の側頭部を狙っていくが、楓はガードが間に合って防いでいる。
徐々にペースを掴んできた香理奈は楓の顔面にパンチを打っていくと楓も香理奈の顔面を殴り返していくと再び殴り合いになっていく。
バキッ、バキッ、バシィ、
美女同士の殴り合いにヒートアップする場内。
しかし、今度は楓は先程鉄板に叩きつけた右の拳が万全ではなく、苦戦を強いられている。
次第にガードを固めて防戦一方になる楓はいつの間にかコーナーに追い込まれて逃げ場が無くなっている。
バキッ、バキィ、
香理奈の猛攻を受けて楓は顔面を崩壊させている。
ガードも下がりそうになる楓は前蹴り等のキックで距離をとろうとするが、香理奈は逆に打点の高い喧嘩キックを楓の顔面に叩き込んだ。
バキィ、
楓:あううぅぅ、
呻き声をあげながら倒れる楓。
香理奈:喧嘩キック、空手じゃ習わないでしょ。
香理奈は勝ち誇った表情で仰向けに倒れる楓に向かってそう言うとレフリーが楓が失神しているのを確認してゴングが鳴らされた。
『カーンカーンカーン』
ゴングが鳴ると香理奈の破壊力のある喧嘩キックに改めて歓声が沸き起こっている。
『勝者:香理奈』
"挑戦者”の楓を退けて"女王の座”を守った香理奈は倒れている楓の顔面を踏みつけてアピールしているが、香理奈も額からの流血が酷く程無くして膝から崩れ落ちた。
勝利した香理奈がうつ伏せに倒れる姿に観客も動揺している。
敗れた楓はもとより勝利した香理奈も立ち上がる事は出来ず、両者は担架で運び出された。
衝撃的なラストを迎えて場内は騒然としているが、準決勝を控える香理奈は試合に出場出来るのかが心配されている。