《神戸市内とあるプライベートジム》
バシ、バシ、バシ、
サンドバックを軽快な動きで叩いているのはK-1ビューティーマックスを3度制している香理奈で、4度目の優勝を目指してトレーニングをしている。
会員制のジムで限られた人しか入れない環境で香理奈は集中してトレーニングに励んでいる。
そこに香理奈が許可している内の一人、主催者が入ってきた。
主催者:順調そうじゃな、次のK-1ビューティーマックスでも優勝を目指せそうじゃな。
香理奈:絶対優勝するわ、誰が来ても負ける気がしないわね。
主催者:頼もしいな。次の興行も盛り上がりそうで何よりじゃ。
しばし、談笑する主催者と香理奈。
ダン、ドン、ガン、
香理奈:何だか外が騒がしいわね。
ガチャ、
主催者、香理奈:!
空くはずの無い扉が開けられると驚く2人。
主催者:誰じゃ!
主催者が声を荒げると現れたのは3人の男。
XXX:久しぶりだな、エロオヤジ。しょうもない女の興行で稼ぎやがって。俺たち“裏の最強3兄弟”が許さねえ。
主催者:しょうもない、裏のリングで男が戦ってもしょうがないんだよ。野郎ども出てこい、やっちまいな。
主催者は黒服を呼び寄せると自身を交えた3VS3で乱闘になっていくと一進一退の攻防になっていく。
バシ、バシ、バキ、バキ、
戦いが繰り広げられているが、主催者は相手の筋肉隆々の男にボコボコにされて苦戦を強いられている。
同様に黒服も苦戦を強いられていると香理奈は主催者と戦っている筋肉隆々の男の後ろに回り込むと後頭部にハイキックを打っていった。
バキィ、
不意に後頭部を打たれて倒れる筋肉隆々の男。これを機に主催者組が敵襲を制圧していく。
自ららを“裏の最強3兄弟”と称した3人はロープで縛られている。
主催者:ゼエゼエゼエ、ボス、マッスルマン、三太郎、お前らの目的はなんだ?
主催者が息を切らせながら問い詰めると、ボスと呼ばれたリーダー格の男が答えた。
ボス:さっきも言ったろ。女で格闘技の興業をするのが気に入らねえんだ。テメエが一番の商売道具にしている女を襲って怪我でもさせれば、興業が潰れるかもしれねえからな。いずれにしても俺たちは男よりも劣る女の興業が気に入らねえんだよ。
ボスの発言に怒ったのは主催者ではなく香理奈。
香理奈は女を馬鹿にしている事に激怒している。
香理奈:女を馬鹿にする男は許さないわよ、あんた達、私と勝負しなさい。3人まとめて叩き潰してやるわ。
ボス:女が何を意気がってやがるんだ。マッスルマンを不意打ちで倒したくらいで調子に乗りやがって。わしらが男の厳しさを体で教えてやるわい。
香理奈が売った喧嘩を買うボス。
主催者:いいじゃろう。香理奈とお前ら3兄弟の試合を組もう。だからしっかり用意しておいけ
主催者の言葉に頷く香理奈と3兄弟。
3兄弟は納得した表情で笑みを浮かべながらトレーニングジムから去っていった。
香理奈:アイツら誰なのよ!
主催者を問い詰める香理奈。
主催者:アイツらは“裏の最強3兄弟”。表の世界では反則になる様な危険なルールで試合を行う団体でトップに君臨する3人じゃ。ワシも裏の世界で生きているが、アイツらは実力は確かで見ての通りワシや黒服より実力は上で、たまに呼んでいるMONSTARよりも上かもしれんな。
香理奈:面白いわ。誰が相手でも女を馬鹿にする男は許さない。必ず3人まとめてボコボコにしてやるわ。
強敵相手にも尻込みする事なく、やる気満々の香理奈。
又しても香理奈の性別を越えた戦いが地下リングで繰り広げられる事になった。
トレーニングジムの中には香理奈と主催者、黒服となった。
主催者:どうするつもりじゃ?やつらの実力は本物じゃぞ。いくら地下リングで実績があるお前と雖も勝つのは至難の業のはずじゃ。
香理奈:これから女を捨てて筋肉をつけてパワーアップするわ、どうせ仕事も無いんだし集中してトレーニング出来るわ。だから1ヶ月頂戴、スーパーボディーでファイトして股間を蹴り上げれば男なんて余裕で倒せるわ。
主催者:そんなに甘いもんじゃないと思うが、分かった。試合は1ヶ月後に組むとしよう。
香理奈:ルールはK-1ルールにして、私のパワーが一番発揮出来るわ。
主催者:あいつらはK-1が主戦場じゃぞ。危険じゃ、アルティメットバトルルールの方がまだマシじゃ。
香理奈:何言ってるの?私の主戦場がK-1なのよ。あんたやMONSTARレベルだったらアルティメットバトルの方が楽しいけど、あいつらみたいな強そうなのに掴まれてパワー勝負になったら厄介だわ。K-1ルールで股間を蹴り上げる方が得策だわ。それよりもあんた達、これから私のトレーニングに付き合いなさい。男に勝てるボディーを作るんだから並大抵のトレーニングじゃないわよ。
主催者:ちょっと待て、わしらって1ヶ月もトレーニングに付き合せられるのか?興行はどうするんじゃ。
香理奈:延期に決まってるでしょ。元々はあんた達が不甲斐ないのが悪いんだから。それに私で稼げるでしょ。女が男相手に3試合するんだからそれくらいしなさいよ。
主催者を脅す香理奈。
流石の主催者も怖々としているが、頭の中で算盤を弾いた結果、確かにこちらの方が得策と了承した。
《1ヶ月間のトレーニングの様子》
“裏の最強3兄弟”に勝利すべく猛烈なトレーニングに励む香理奈は食事の時間と睡眠時間以外の全ての時間をトレーニングに割いている。
香理奈:んあ、ハアハアハア、
ダンベルを持ち上げながら息む香理奈。
主催者:凄まじいトレーニングじゃ。香理奈、もう少しペースを落とした方がいいぞ。
香理奈:ハアハア、何言ってるのよ。女が男に勝つにはこのくらい追い込まないとダメなのよ。ホラ、黒服君、次はスパーリングにいくわよ。
香理奈は休むこと無くスパーリングに臨んでいく。
相手の黒服は地下リングを取り締まる役柄だけに女のスパーリング相手としては非常に厳しいが、果敢に勝負する香理奈。
汗をビッショリかきながらも香理奈は体を苛め抜いて“スーパーボディー”を作り上げていく。
香理奈は一心不乱にトレーニングに励んで決戦の時を見据えている。