第8試合
第6回Kー1ビューティーマックスの決勝戦が行われる。
対戦カードは菜々央と蒼野楓だ。
楓の方が試合間隔は短いものの菜々央は激戦を勝ち抜いての決勝進出だけにコンディションは五分五分か。
『赤コーナー 172cm 82-57-83 菜々央~』
菜々央は黒のパンツに黒のグローブで登場してきた。
『青コーナー 169cm 82-58-86 蒼野楓~』
楓は青のパンツに青のグローブで登場してきた。
菜々央も楓も勝てば優勝とあって絶対に勝ってやろうと気合いを入れている。
『カーン』
決勝戦のゴングが打ち慣らされた。
固くガードを固めながら相手の様子を見合う菜々央と楓。
ジャブで様子を探ると楓は思いきってハイキックを打っていく。
菜々央は予測してなかったので驚くが、ガードして防いだ。
ガードの上からでも威力のある楓のハイキック。
菜々央は一旦距離をとろうとするが、楓はすぐに距離を詰めてミドルキックを打っていく。
バシ、
楓はミドルキックをヒットさせて更に前に出ていくが、菜々央は待ち構えるとカウンターのパンチを楓の顔面に打っていく。
バキ、
菜々央のパンチを受けてふらつく楓。
逆に今度は菜々央が前に出て攻め込んでいく。
楓のボディーにミドルキックを打つ菜々央。
バシィ、
楓は表情を歪ませていると菜々央は楓の顔面にパンチを打っていった。
バキ、
菜々央のパンチに後退を余儀無くされる楓だが、楓もパンチを菜々央の顔面に打ち返していった。
バシ、
楓のパンチにそれほどの威力は無いが、前に出るのを躊躇う菜々央。
楓もさっきカウンターを喰らっているので、積極的には前に出ていかない。
両者動きが無くなってきて静かな展開になっていく。
膠着状態になるが、楓は距離をとりながらローキックを打って様子を探りながら菜々央の脚を削っていく。
バシ、バシ、
菜々央は嫌がっているが、同じく楓の脚にローキックを打ってやり返していく。
バシ、バシ、
共に脚を削り合う楓と菜々央。
静かながらも美脚を痛め付け合う展開に観客が盛り上がってきた。
すると両者は場内の雰囲気に後押しされたのか徐々に距離を詰めると脚の角度を上げてミドルキックを打ち合っていく。
バシィ、バシィ、
わき腹を叩き合うと菜々央はパンチを楓の顔面に打っていった。
バキ、
リーチの長さを活かした菜々央のパンチを受けて楓は頬を紅潮させている。
しかし、楓は落ち着いてカウンターのパンチを菜々央のボディーに打ち返していく。
バシ、
菜々央も表情を歪めて苦しそうにしている。
楓は再び距離をとるとローキックを菜々央の脚を蹴っていく。
バシ、
地味ながらも確実にダメージを与える楓。
楓は有効な攻め手が見つかるまで、取り敢えずローキックで菜々央の美脚を削る作戦をとったようだ。
菜々央は逆に最近練習しているキックボクシングのテクニックを活かしてハイキックで一気に流れを掴みにかかるが、楓は菜々央のハイキックを易々と避けた。
菜々央の大振りのハイキックを完全に見切った楓。
『カーン』
1ラウンドが終了した。
菜々央は蹴られた脚を少し気にしているが、気丈に自陣コーナーに戻った。
楓は菜々央のサイズを活かした強力な打撃に苦しむ場面もあったが、慣れてきて2ラウンドでの反攻を誓っている。
両者はパワーを溜め直してリング中央に出てきた。
『カーン』
2ラウンドが始まった。
ファイティングポーズをとって向かい合う菜々央と楓。
菜々央はパンチを楓の顔面に打っていく。
バキ、
幸先良く楓の顔面にヒットする菜々央のパンチ。
菜々央は更にパンチを連打して畳み掛けていくと必死にガードを固める楓。
菜々央は勢いよくパンチを連打していくと楓をコーナーに追い込んでいく。
バシ、バシ、バキ、
菜々央のパンチに顔を腫らす楓。
しかし、楓もガードからカウンターのミドルキックを菜々央のボディーに打ち返していくと一瞬動きが止まる菜々央。
楓は押し返そうとパンチを菜々央の顔面に打っていく。
バキ、
菜々央の顎を叩く楓。
菜々央がふらついていると楓はハイキックを打っていった。
バキィ、
楓のハイキックを喰らって目を虚ろにさせて後退する菜々央。
楓は一気に攻めようと追いかけると今度は楓が菜々央の顔面にパンチを連打していく。
バキ、バシ、バキ、
楓のラッシュに3度鼻血を吹き出す菜々央。
菜々央はガードを固めるが、楓は再びハイキックを打っていく。
バキィ、
よろめきながら倒れる菜々央。
ダウンを奪った楓はまだKOでは無いと自陣コーナーに肘をかけて気を引き締めている。
菜々央は頭をグローブで抑えながらも何とか立ち上がってカウント8でファイティングポーズをとった。
『ファイト』
試合が再開されるとパワーを溜め直した楓は前に出てくる。
一方の菜々央は何とか2ラウンドを凌いで、3ラウンドに勝負を賭けたいとガードを固めている。
楓は菜々央の顔面にパンチを連打していく。
バシ、バシ、
鼻血が酷くなる菜々央。
楓は菜々央をコーナーに追い込むと勢いよく膝蹴りを打ち込んでいく。
ボシュ、
菜々央:あうっ、
マウスピースを吐き出して崩れ落ちそうになる菜々央だが、何とか耐えている。
楓は一気に行きたいとハイキックを打っていくが、菜々央はガードしている。
フラフラになる菜々央だが、目はまだしっかりと楓を見据えている。
バシ、バシ、バシ、
楓は菜々央の顔面をボコボコに殴っていくが、菜々央は固くガードを閉じている。
『カーン』
ここで2ラウンド終了のゴングが鳴った。
手応えを感じたのかガッツポーズをしながらコーナーに戻る楓。
一方の菜々央は2ラウンドを耐え切ったものの倒れ込んでしまった。
レフリーは試合続行出来るかと尋ねるが息を荒くさせて小さく頷いて這いつくばる様にしてようやくコーナーに戻った。
汗をびっしょりかいてコーナーの椅子に座り込む菜々央は鼻血をセコンドに拭いてもらっている。
『カーン』
疲労困憊の菜々央には短すぎるインターバルだが、第6回クイーンカップの賜杯を賭けた3ラウンドが始まった。
菜々央はフラフラになりながらも女王になりたいからとファイティングポーズをとってリングに戻ってきた。
楓は菜々央が元気を取り戻さない間に決めてしまおうとパンチを菜々央の顔面に打っていく。
バシ、
ガードする菜々央だが、圧力をかけてくる楓はミドルキックを菜々央のボディーに打っていく。
バシィ、
菜々央:あうっ、
呻き声を上げる菜々央。
楓は再び菜々央の顔面にパンチを打っていくと菜々央もパンチを顔面に打ち返していく。
バシ、バシィ、バシィ、バシ、
激しく打ち合って打撃戦になっていく。
楓は目の上を腫らしているが、菜々央の鼻血が酷くなってリングにポタポタと滴り落ちている。
バシ、バシィ、
必死に殴り返す菜々央だが、やはり楓の勢いが勝っていて手数でも威力でも楓が圧倒している。
バシィ、バシィ、
菜々央:ブヘ、
鼻血の流血で呼吸もしにくくなる菜々央は苦しい表情になってコーナーに追い込まれていく。
バシ、バキィ、
ガードも下がってサンドバックにされる菜々央。
楓は容赦なくパンチを連打していくと、菜々央の端正な顔が崩されて倒れ込んだ。
菜々央は意識を飛ばして倒れたまま動けない。
『カーンカーンカーン』
ゴングが鳴ると歓喜のガッツポーズをする楓。
『勝者:蒼野楓、よって第6回Kー1ビューティーマックス優勝は蒼野楓!』
コールされると観客の大歓声に手を振って応えている。
間もなく主催者はKー1ビューティーマックスのトロフィーを持ってくると、グローブを外した楓に手渡した。
楓はトレードマークの青のネイルをした手でトロフィーを掲げると場内は大歓声に包まれる。
一方の敗れた菜々央はタオルで顔を抑えながら、トロフィーを掲げる楓を横目に見ながら控室へと戻った。
第6回Kー1ビューティーマックスは蒼野楓の優勝で幕を閉じた。全試合KO勝ちでの優勝という事で価値も更に上がりまさに地下リング最高峰のタイトル力でもぎ取った。